第389号 2021.2.16発行
「小林よしのりライジング」
『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。
毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、著名なる言論人の方々が出版なさった、きちんとした書籍を読みましょう!「御意見拝聴・よいしょでいこう!」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが現代社会を鋭く分析「トンデモ見聞録」や小説「わたくしのひとたち」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行)
【今週のお知らせ】
※「ゴーマニズム宣言」…とうとう森喜朗はオリンピック組織委員会会長の職から追放された。「女性蔑視発言」をしたとされる老人を、マスコミが叩き、大衆が集団リンチで糾弾し、全世界が袋叩きにして追放したわけだが、こういう「糾弾」「集団リンチ」が女性差別の解消になるのだろうか?今回は、問題とされた森の発言の全文を、区切りながら解説していこう。
※泉美木蘭の「トンデモ見聞録」…金塚彩乃弁護士をゲストにお迎えしての『ゴー宣道場:コロナ禍と女性の地位向上』、今回は体調不良のためネットで視聴したので、感想を書いておきたい。水商売とはなにか、風俗とはなにか、森発言は本当に許されざる女性蔑視発言なのか、生きるとはなにか…厳しい現実を知る「夜の女王」の意見を聞け!
※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」!「金は命より重い」という言葉をどう思う?国民主権党の活動や主張についてどう思う?今の日本の政治家はかなり悪辣になっているのでは?2022年の北京五輪も、チベット・ウイグルの女性に対する人権侵害を理由に開催反対を主張すべきでは?五輪ボランティアが500人ほど辞退したことをどう見る?駐日大使館などのSNSでの日本批判についてどう思う?…等々、よしりんの回答や如何に!?
【今週の目次】
1. ゴーマニズム宣言・第409回「森喜朗発言は女性差別ではない」
2. しゃべらせてクリ!・第346回「みんな喝采してクリ~!ぽっくん何かの凱旋ぶぁい!の巻〈前編〉」
3. 泉美木蘭のトンデモ見聞録・第203回「ゴー宣道場感想:コロナ禍と女性の地位向上」
4. Q&Aコーナー
5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど)
6. 編集後記
第409回「森喜朗発言は女性差別ではない」 とうとう森喜朗はオリンピック組織委員会会長の職から追放された。
「女性蔑視発言」をしたとされる老人を、マスコミが叩き、大衆が集団リンチで糾弾し、全世界が袋叩きにして追放したわけだが、こういう「糾弾」「集団リンチ」が女性差別の解消になるのだろうか?
男尊女卑に虐げられた女性のルサンチマンが炸裂して、一人の老人を血祭りにあげただけだと主張する人がいてもいいが、まるでフランス革命の構図そのものだ。
糾弾は左翼、集団リンチは左翼、王殺しは左翼、それがわしの認識である。
先週のライジングではわしはまだ森の発言の全文を読んでおらず、マスコミ報道のみを根拠に書いてしまった。
森は古い価値観の持ち主で、男尊女卑的な感覚を残しているのも確かだと思うのだが、そもそもわしは「森が何を言おうが大した問題ではない」と思っている。
それに先週号は「たとえ森がどんなに酷いことを言ったとしても、それよりも優先して怒らなければならないことがある」という主旨だったため、森の発言そのものには関心が湧かなかったのだ。
とはいえ「何の根拠もなく、ただ化石化したような男尊女卑感覚だけで言ってる、ろくでもないものだ。その発言を擁護するつもりもないし、女性が憤慨するのもわかる」などと書いたのは間違っていた。
先週号のコメント欄に、森発言は「女性蔑視」ではないと指摘する人がいたので、そこで気になって全文を読んでみた。そうしたら、確かにその発言の真意は報道とは全く違うものだった。
わしの読者はわしの「信者」になっているわけではなく、わしが間違っていると思ったらちゃんと指摘してくれる。実にありがたい。
それにしても、新型コロナの件でマスコミは嘘ばっかり言っているということを散々見てきたのに、時間がなかったりするとついマスコミ報道を基に考えてしまったりする。だが今回の件で、それは本当に危ないと思った。マスコミ報道には、もっと徹底的に警戒してかからなければならない。
では、ここで問題とされた森の発言の全文を、区切りながら解説していこう。
これはテレビがあるからやりにくいんだが、女性理事を4割というのは文科省がうるさくいうんですね。だけど女性がたくさん入っている理事会は時間がかかります。これもうちの恥を言いますが、ラグビー協会は今までの倍時間がかかる。女性がなんと10人くらいいるのか今、5人か、10人に見えた(笑いが起きる)5人います。
まず注意しなければならないのは、ここで森が言っている「時間がかかる会議」はオリンピック組織委員会のことではなく、いわば森の「身内」である「ラグビー協会」のことなのだ。
ラグビー協会の5人の女性理事のうち、元選手は1人しかいない。女子ラグビーはまだマイナー競技で、理事になれる女性の人材が足りないのだ。
だがそれでも文科省が理事の4割を女性にしろとうるさく言うもんだから、専門外の人を理事にせざるを得なくなる。しかしそうなると、知識のない理事から初歩的な発言や的外れな発言が出たりする。それで、会議に時間がかかると言ったのだろうということは、容易に想像がつく。
女性っていうのは優れているところですが競争意識が強い。誰か1人が手を挙げると、自分も言わなきゃいけないと思うんでしょうね、それでみんな発言されるんです。結局女性っていうのはそういう、あまりいうと新聞に悪口かかれる、俺がまた悪口言ったとなるけど、女性を必ずしも増やしていく場合は、発言の時間をある程度規制をしておかないとなかなか終わらないから困ると言っていて、誰が言ったかは言いませんけど、そんなこともあります。
一般論としては、女性が集まると話が弾んで止まらなくなるなんてことは日常的にあって、当たり前のこととして言われているのではないか?
昔から「女三人寄れば、かしましい」という。「かしましい」は漢字で「姦しい」と書くことから言われているのだが、これも女性蔑視になるのか?
今後は、ママ友が集まってやってる井戸端会議も、立派な議論でございますとか言わなければならないのか?
別に男だって、井戸端会議的な無駄話をすることもなくはないだろうが、これは一般的な常識として現実に言われている話の範囲内だとわしは思う。
発言時間の規制云々というのは、一般論とすると女性蔑視的になるが、これはラグビー協会の話だろう。
専門外の女性が無駄に長い発言をすることに相当手を焼いていて、素人でも何でもいいからとにかく必ず女性を増やせと言うのなら、発言時間の規制くらいしないと会議が終わらないという感覚があったのではないか。
コメント
コメントを書くライジング配信ありがとうございます。
先日の道場のインパクトが強すぎて、しばらく、女性蔑視については何も考えられませんでした。
というか考えたくなかった、です。
感情で動くからなーという自省もあり。
森氏の発言が切り取られたものであっても、そんなに大騒ぎするほどの事か、と思っていました。
先日の道場の最後の議論で、私は、
知的冷静なイメージだった金塚弁護士が、何故こんなに感情を抑えるのに苦しんでいるのか?
数回髪をかきあげたり、表情も必死で感情を抑えているように見えて、どうしたの?
何にイラつき何にそんなに怒っているの?という方向へ感情が引っ張られて行きました。
道場が終わった後、いつまでも、その時の様子が頭から離れず、
きっと、過去の何か耐え難いことが積み重ねられ蘇って、感情をコントロールするのが困難だったんだろう、と、
狼狽し混乱していた様子を擁護したい気持ちで、前回コメントを書きました。
過去に少し病んでいる親しい友人が、会社の上司から言われた、許しがたいセクハラ発言を不意に思い出し、
その時湧き上がった、「男だからなんなんだーっっっ!」という激しい怒りを思い出し書きました。
そのあと、「ルサンチマンだな」、そうだな、と思い、終了、という感じでした。
感情的になること、戸惑ったり狼狽したり、涙ぐんだり泣いたり、そういうことは人間としてあって当然だけど、
その様子を見て、同情し、感情が動き、ちゃんと言いたいことが言えなくなってしまう事、ってあると思って。
私はある。
自分がかつて、(計算したつもりはないが) 怒りを、泣いて訴えた過去を思い出し、
泣く事で相手を黙らせたんだ、結果的に、という思いがまた不意に湧いてきて、(不意にばかりでスミマセン)
感情的になる事で、女性は同情されたりするけど、(もちろんヒステリックだと非難される事もある)
でも男性は?というあたりで、思考がストップしてしまいました。
もくれん師範の文章には、それでも生きていかなきゃならない!嘆いている暇なんてない!
凄みのある、半端ない潔い力強さを、ガンガンに投げつけられました。
「せめて自分を着飾って‥そうしていないと自己憐憫に陥ってしまう」深く心に残りました。
前回の道場の議論、よしりん先生、金塚弁護士、師範方、スタッフの皆様、
ライジングでもくれん師範。本当にありがとうございました。
ゴー宣道場は、日本の希望です。
あまりに勉強不足で未熟な私には、ぶざまな事ばかりですが、
ただ、感謝でいっぱいです。
3連投すみません。
大切なことを書き忘れました。
「羽鳥慎一モーニングショー」許すまじ。
>>236
>>244
希蝶さん、チコリさん、ありがとうございます。
「無職」って言葉の響きが重苦しいから、「吟遊詩人」とか「自称ミュージシャン」とかの方が…ダメか(^_^;)
社会主義体制だったら、私みたいなのんは抹殺されちゃうのかな?
謎の背中の痛みと闘いつつ、程々に頑張ります(=゚ω゚)ノ
>>237
私もそう思いました。しかも天皇皇后両陛下が寄り添う姿が事前で良かったです。
また記者会見の全文を拝読しましたがコロナの直接の病気に遭った人によりも
「心から哀悼の意を表します。」とふれたあと次のようにおっしゃることで天皇皇后両陛下は、わかっていらっしゃると思いました。
「また、コロナ禍(か)の閉塞感からでしょうか、自ら命を絶つ人が増えていることも極めて痛ましいことで、皆で何とか防がなくてはなりません。その一方で、強い使命感を持って医療に取り組んできた方々や保健所などで現場の対応に当たってきた関係者を始め、高齢者や障害者など、社会的に弱い立場にある人々を支えてきた関係者や、子供食堂のような、困難な状況に置かれた子供たちを支援してきた関係者など、多くの方々からお話を伺う機会を得、皆さんの有り難い尽力に思いをより深く致しました。」
事前→自然
失礼
こんにちは、ライジング配信ありがとうございますvv
ゴーマニズム宣言・第409回「森喜朗発言は女性差別ではない」について。
森氏の発言は、全文を読むと、その内容は「女性ラグビーはまだ国際的にもマイナー競技で、協会理事にふさわしい女性が育っていないのに、文科省が理事の4割を女性にしろとうるさく言ってくるので困っている」という愚痴です。
この発言に対してツッコミを入れるなら、「同じ理事という役職でも、理事候補をオリンピック種目になってる全てのスポーツからかき集められるオリンピック組織委員会と、ラグビーという一つの競技のみから捻出しなければならないラグビー協会では、分母が違い過ぎますよ!」で十分だったでしょう。
「わきまえる」を悪い意味で使ったかのように報道して貶めるのは、かつて福田康夫元首相が北京五輪に出場する選手たちに対して「せいぜい頑張って」と声を掛けたことが批判を浴びたのと似ていると感じました。
「せいぜい」は漢字で「精々」と書き、「がんばって」、「一生懸命」、「力を振り絞って」という意味で福田元首相は使っていました。
それを、マスコミは「いやみ」という意味で使ったかのように報じたのです。
森氏の後任となった橋本聖子氏の高橋大輔選手へのキス強要については、橋本氏が当時酒に酔っていたゆえにやらかしてしまった、と記憶しています。
酒は飲んでも飲まれるな、です。
これも橋本氏が男性、高橋氏が女性であれば、今回の後任の話はこなかったでしょう。
木蘭さんのトンデモ見聞録・第203回「ゴー宣道場感想:コロナ禍と女性の地位向上」について。
木蘭さんと金塚先生の討論、ぜひ拝見したいです。
昼間の事務職だけで大金を稼ぐ、というのは現実無理でしょう。
障がい者雇用は、給料は最低賃金ギリギリ、雇用形態はほとんど非正規です。
「最低賃金上げて」と声を上げても、上がるのは時給数円です。
生きていくにはお金が必要ですし、他の職業よりも時給が高く、本来行政がやるべきセーフティーネットとしての役割を果たされている風俗業は魅力的です。
人付き合いが苦手かつ、きつい態度をとられると脳内がフリーズしてどうすればいいか分からなくなってしまう自分からすれば、接客業をされてる方々は凄いなあと心から思います。
こんにちは。
今号の感想です。
ゴー宣、トンデモ見聞録、両方とも今までの中で最も読み応えのある内の一つとして記憶に残りそうな、私の中では満塁ホームラン級の内容でした。
まず私は前々回のライジングの回で、こんなコメントを書いてしまったので、再掲します。
> 森喜朗が批判されるべきなのは、男性中心と精神論であって、それは現在の感覚からはずれているから、この文脈で批判されるべき
森喜朗氏の発言の全文を読む前だとはいえ、このように批判のコメントをしてしまったことについて、深く反省します。
そして前回、ライジング読者様の(136番の?)方のコメントから森喜朗氏の発言は女性蔑視ではないという指摘を受けて改めて全文を読んで見ると、全く女性蔑視ではなかった、と判断するに至り、(寧ろ持ち上げている)いわゆる"女性蔑視発言問題"は完全にマスコミの捏造報道であったことに、マスコミに対して強い憤りと怒りを感じました。
いつも記すのを忘れてしまって、すみません。しゃべクリ、Q&A採用有り難うございます。しゃべクリは本当につまらないネタしか思いつかなくて、申しわけないです。運転免許の質問は先生にとって、失礼だったのかも知れないと、反省しています。
また今回、マスコミの捏造報道とかそういうのとは別に、森発言自体について(捏造だとわかった後でも)よく思わない方(門下生、ライジング読者、道場参加者)がいることについては、それはそれでゴー宣道場(ライジング)が一方的な意見に偏らないというものを視認できたことで、その事は大きな収穫でした。
これをもってしても、今号はホームラン級の読み応えのある内容でした。
"利口な人""賢い人""先進的な人" そういう人達の意見が実際の実存の生活の場面において、どこまで実りのある説得力を持つのか、身過ぎ世過ぎではなく実がこもっているか、それを知る良い機会になった回でした。
色々思うところ在りスルーも有りかと悩まれたかも知れません。しかしそれでもあえて火中の栗を拾う覚悟をされ、連続して森発言を取り上げたよしりん先生と、病と闘いながらトンデモ見聞録を書いてくださった木蘭先生に感謝します。
先週のゴー宣道場では、万難を排して来てくださった金塚彩乃弁護士に感謝します。
考え方には違いがあるものの、フランスと日本の政治意識の違いについて、女性の政治参加の歴史について、詳しく語ってくださったことにありがとうとお礼を言いたいです。
金塚さんを貶すコメントが見られますが、それは違うと思います。
また、(これは前にも書いたけど)高森先生が意外とリベラル寄りだったのは新しい発見でした。
さて、来月開催される「オドレら正気か?」でゲストに我が兵庫県明石市から泉房穂市長が出演されるとのことで俄然ワクワクしております。
明石市は古墳時代の遺跡もありますから、高森先生もゲストに呼んで欲しいのは、私の過ぎたる願望です。
個人的には泉房穂市長と高森先生の対談も聴いてみたいですが、それは今回の趣旨と外れそうだから無理かな?
>>200 まー様。
考え方をブラッシュアップするためには、"問いかけ"という方法は重要だと思います。
ある思考に於いて、その根源的なものを放置したまま流されるまま進んでしまうと、それが枷になって思考のより良い着地には結び付かないと思います。
>>206 丑三やギ様…もとい、やギさん。
その通りです。本当は判っていました。
あえて問題提起したのは、やギさんの"覚悟"は真の言葉なのか、それを見極めることで、自分への励み(改まった決意)を新たにする事を体得したかったからです。
生意気にも試すようなことを書いてしまい、すみませんでした。
でも、聞きたかったことが聞けて、嬉しいです。
>>241 ねこまる様。
ステイ・ホームという特殊な事情がある事に激しく同意します。
特殊な事情が無ければ、ここまで社会的に広がりを見せる事はなかったと思います。
それだけに、この現象を手放しで喜んでいいのか、複雑な心境ではあります。
勿論、「遊郭」があるから子供に見せたくないというアホな考えは論外ですが。
3人に対する返信が遅れてしまいました。本当にすみません。