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magomeさん のコメント

時浦師範代がブログで取り上げた週刊文春の記事を本日、立ち読みして呆れてしまいました。
 週刊文春は皇太子殿下、皇太子妃殿下が白衣を着ずに味噌製造所に入れたのにカメラの三脚は持ち込めなかったと書いていますが、これは発酵食品はおろか、加工食品の製造所のことについて何一つ知らないことを自ら暴露しています。味噌などの発酵食品は特定の微生物を増殖させる事によって雑菌や遺物を排除させて食品の変敗を防ぐことを目的としていますが、土足や土足と同じく、土壌や床に付着する多量の雑菌や異物となると排除しきれないので、味噌製造所を含む食品の製造所では専用の上履きを使用します。
 以前、酒蔵を見学した時も靴を脱いだ状態で蔵の中を見学し、酒蔵の案内員や関係者も専用の上履きを吐いていました。ネットでも「味噌 加工」で検索すれば味噌を製造している時の従業員が専用の白い長靴を履いている画像を見ることが出来ることからもこの指摘が間違っていないことがお分かりいただけるかと思います。土足や土足と同じく地面に設置し、土壌の雑菌や異物が付着しているカメラの三脚と人体に付着している雑菌や異物とでは条件が全く異なります。
週刊文春は皇太子殿下や皇太子妃殿下が土足や土足と同じくらい不衛生であるカメラの三脚よりも不潔だと罵ったのです。そして、土足や土足と同じくらい不衛生であるカメラの三脚の方が人体よりも衛生的であると、食品加工業界の衛生観念そのものを冒涜しているのです。
 さらに、週刊文春は味噌の製造所が、皇太子殿下、皇太子妃殿下が御見学された時に製造した味噌を「やらせ」と罵倒していますが、これも週刊文春が伝統的な味噌の製造をネトウヨと同じくらい知らないことを自ら暴露しています。通常、味噌は大豆の収穫が終わり、種麹が採取される冬に製造されます。伝統的な味噌は役一年間かけて熟成させ、最初に時間をかけて熟成させるためには低温である冬の寒い季節が欠かせないからです。また、乾物である大豆や麹菌も長期間保存ができるとはいえ、時間がたつにつれて品質が劣化して、味噌に加工しても味が変敗してしまう恐れがあります。これは新米と通常の米、そして米の違いについて知っていればすぐにわかる事です。
 ただし、「岡田さん味噌」のHP等を見てみますと、一年を通じて家庭用に麹菌、大豆などの味噌の製造に必要な原料がそろった家庭用味噌製造セットを一年を通じて販売しています。家庭では味噌を製造する規模が小さいので一年を通じて味噌が製造できることから味噌の製造所は副産物としてこのような味噌の製造セットを年間を通して売っていますから恐らく、「岡田さん味噌」も皇太子殿下、皇太子妃殿下が訪れたときはこの味噌製造セットから原料を用いて製造をしていたのだと思います。よって、これらの規模で製造された味噌は販売しても規模が小さく、元が取れないので、皇太子殿下、皇太子妃殿下が訪れた記念として地元で消費されるということになるわけです。これは味噌製造所としての拘りを持っていれば、当然の結論であり、「やらせ」と吐き捨てている週刊文春は発酵食品を含む、食べ物の製造と販売について何らわかっていない、無知で無責任な畜生の言い訳そのものとしか言いようがありません。さらに解りやすく例えるとすれば、今回の味噌は祭日に作られる料理と同じで、地元で何らかの祭りがあり、その日に備えて料理が作られて振る舞われれば、地元で消費されて一般向けの商品として出回るとはないのと全く同じなのです。恐らく、週刊文春は祭日に振る舞われる料理や食材も「やらせ」として罵倒するのでしょう。
 今回の週刊文春の記事を読んで、私は週刊文春が勧める料理や食品、そして週刊文春に広告を載せている食品会社についても一切信頼しないと決めました。食べ物に対して、土足や土足に値するカメラの三脚の方が人体よりも衛生的と考えるような雑誌が絶賛する食べ物や、祭日に振る舞われる料理を「やらせ」と罵倒するほど季節感を含む食文化に対する姿勢が欠けているような雑誌が絶賛する料理や食べ物など、だれが食品衛生、また食文化や食習慣の見地から信頼できるのでしょう。また、食品業界の衛生観念そのものを罵倒している雑誌に平然と広告を載せるような食品業界としての拘りも誇りもないような食品会社の食品の安全性を誰が信じることが出来るのでしょう。これは美味い不味い以前の問題なのです。
 ネットで皇太子殿下、皇太子妃殿下を罵倒した匿名投稿者が伝統的に料理や加工食品に対して無知であるのに対し、週刊文春は加工食品や料理に対して何一つ知らない、食品業界や食文化、食の伝統にとって危険極まりない存在であることがこの記事で証明されてしまいました。恐らくは週刊文春の記者は家庭で料理を食べたこともなければ路上で土足を吐いたまま、皇太子殿下、皇太子妃殿下を罵倒したネトバカ、ネトウヨと同じく大工場で大量製造された出来合いの即席(インスタント)食品や惣菜しか食べたことがないからこそ、土足に値するカメラの三脚の方が人体より綺麗という記事を書けるのだと思います。週刊文春および、週刊文春に広告を載せている食品会社こそTPPに支配された雑誌と会社の結末なのだと思います。
 安全で安心できる食材、加工食品を安定して確保できるように、そして伝統的な食文化と食習慣を守るためにも今週の週刊文春の記事を記録して広く皆に伝え、TPP反対を唱え続けましょう。

 今週もまた、ライジングとは関係のない長文を度々書いてしまって失礼しました。出来るのならば週刊文春にも送りつけようと思います。それでは失礼します。
No.71
131ヶ月前
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第51号 2013.8.27発行 「小林よしのりライジング」 『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。 毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、よしりんの心を揺さぶった“娯楽の数々”を紹介する「カルチャークラブ」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」、珍妙な商品が盛り沢山(!?)の『おぼっちゃまくん』キャラクターグッズを紹介する「茶魔ちゃま秘宝館」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが無限に想像をふくらませ、とことん自由に笑える「日本神話」の世界を語る「もくれんの『ザ・神様!』、秘書によるよしりん観察記「今週のよしりん」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行) 【今週のお知らせ】 ※作品自体の評価や存在意義、作家の情念や業、子供への影響、表現とイデオロギーの問題…今週の「ゴーマニズム宣言」は『はだしのゲン』閲覧制限問題に結論を出す! ※最高に笑えると大好評の「よしりんウィキ直し!」。今回は「『討論番組』『その他』編」!ここまで来るともう、百科事典どころか単なる「雑記帳」と化していた!どこからツッコめば良いのやら!? ※『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて、一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」。今回のお題はこちら!!みんなでお父ちゃまにツッコミ入れるぶぁい♪      【今週の目次】 1. ゴーマニズム宣言・第53回「『はだしのゲン』を図書館に置く条件」 2. しゃべらせてクリ!・第13回「お父ちゃまに突っ込もう!の巻」 3. よしりんウィキ直し!・第4回「『討論番組』『その他』編」 4. Q&Aコーナー 5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど) 6. 読者から寄せられた感想・ご要望など 7. 編集後記 第53回「『はだしのゲン』を図書館に置く条件」  松江市の教育委員会が市立小中学校図書館に蔵書している漫画『はだしのゲン』を、倉庫などにしまって閲覧に制限をかける「閉架」扱いにするよう指示したことが大きな話題となっている。  新聞各紙の論調は、「閲覧制限はすぐ撤回を」(8月20日付朝日新聞)、「戦争知る貴重な作品だ」(同日付毎日新聞)、「彼に平和を教わった」(21日付東京新聞)といった調子で、『ゲン』を高く評価した上で、市教委の指示を批判するものが大多数を占めている。  そんな中で、産経新聞は8月22日付の阿比留瑠比記者の記事で『はだしのゲン』について「『閉架』措置うんぬん以前に、小中学校に常備すべき本だとはとても思えない」と非難し、その理由を以下のように挙げている。   「ゲン」では何ら根拠も示さず旧日本軍の「蛮行」が「これでもか」というほど語られる。  「妊婦の腹を切りさいて中の赤ん坊を引っ張り出したり」「女性の性器の中に一升ビンがどれだけ入るかたたきこんで骨盤をくだいて殺したり」…。  特に天皇に対しては、作者の思想の反映か異様なまでの憎悪が向けられる。  「いまだに戦争責任をとらずにふんぞりかえっとる天皇」「殺人罪で永久に刑務所に入らんといけん奴はこの日本にはいっぱい、いっぱいおるよ。まずは最高の殺人者天皇じゃ」  なるほど。無茶苦茶な嘘を描いていたんだな。  わしは『はだしのゲン』は「ジャンプ」連載中に読んでいたが、こんなシーンは全く覚えてない。  『はだしのゲン』は「週刊少年ジャンプ」昭和48年(1973)6月25日号から連載が始まった。既に読者アンケートによる人気投票至上主義が導入され、不人気作品は即打ち切りというシステムとなっていた同誌において、『ゲン』は一定の支持はあったものの決して人気作ではなかった。  しかし「アンケート至上主義」を導入した張本人である初代編集長・長野規(ただす)がこの作品を気に入り、人気に関わりなく連載を続けさせたのである。  連載は1年3カ月続いたが、『ゲン』を守っていたのは長野編集長だけだったようで、長野が編集部を離れると連載も終了となる。しかも集英社がその内容にクレームがつくことを恐れて単行本化を躊躇したため、単行本は汐文社という小出版社から発行された。  『はだしのゲン』の連載は1年後左派言論誌「市民」で再開されたが、同誌の休刊で再度中断。さらに1年後、日本共産党の機関誌「文化評論」に連載の場を移すが、原水爆禁止運動における共産党と被爆当事者の対立等の政治的混乱の煽りで打ち切られ、2年のブランクを経て日教組機関誌「教育評論」で連載が続行された。  単行本は全10巻で、そのうち第4巻までがジャンプに連載された分である。  そんな経緯があるので、おそらくジャンプを離れた後の『ゲン』は掲載誌に合わせて、共産党や日教組のプロパガンダ色が強くなり、上記のようなシーンも産まれたのだろうとわしは漠然と考えていた。  ところがスタッフの時浦が今回、全巻を確認して、レポートを出してくれたのだが、作者・中沢啓治は掲載誌に合わせて作風を変えるようなことはしていないという。ジャンプだろうが、共産党や日教組の機関誌だろうが、ほとんど同じ調子で描いていたというのだ。  反戦主義者であるゲンの父親は、ジャンプ連載第1回から「 軍部のやつらが金持ちにあやつられ 武力で資源をとるため かってに戦争をはじめてわしらをまきこんでしまったんだ 」と言い、その後も「 悪いのは軍部・資本家で庶民は被害者 」「 ただし騙されて戦争に協力する庶民も共犯 」「 職業軍人は単なる人殺し 」といった紋切り型の反戦思想の発言を繰り返している。  天皇批判的なセリフも最初から何度も登場しており、「朝鮮人強制連行」も当たり前の事実として語られているという。  そんなのを「週刊少年ジャンプ」で連載していたことが驚きだし、集英社が単行本化を躊躇したのも無理はない……と言いたいところだが、わしには『はだしのゲン』にそんなセリフがあったという印象が全然ない。  原爆投下直後の広島の地獄絵図の光景、皮膚が溶けて垂れさがったまま歩きまわる人々、全身にガラスの破片がつきささっている人、至るところにでき上がる死体の山、川に浮かんだ死体が腐敗してガスが溜まって腹が膨らみ、その腹が破れてガスが噴き出す場面などは鮮烈に覚えている。  戦後になり、飢えに苦しむ中、本人には何の落ち度もない被爆者が差別され、迫害されていく、人の心の酷薄さの描写も印象に強い。  そして戦後の混乱期の中、逆境に負けずにたくましく生き抜こうとするゲンたちの姿も心に残っている。  ところが、天皇批判のセリフとか、軍部や資本家批判のセリフとかは、一切覚えていないのである。  『はだしのゲン』は小学1年の時に広島で被爆した中沢啓治の自伝的漫画だが、中沢は最初から原爆漫画を描こうとして漫画家になったわけではない。むしろ差別を恐れて被爆者であることも公言せず、普通の娯楽作品を描いており、怪獣映画のコミカライズも手掛けている。  転機となったのは母親が死んで火葬した際、骨が残らなかったことだった。放射性物質の影響で骨がスカスカになっていたらしく、小さな骨の破片が点々としていただけだったという。  この衝撃に「ものすごい怒りが込み上げてきた」という中沢はそれ以来、「母の弔い合戦のつもりで」原爆をテーマにした短編を次々発表し、やがてそれが長野編集長の目に止まり、『はだしのゲン』の連載へとつながったのである。   つまり『はだしのゲン』は中沢啓治が作家として、どうしても描かずにはおれなかった「業」が叩き込まれた作品なのだ。  中沢は自分の思いを完全に伝えるため、週刊連載の間もアシスタントを一切使わず、一人で描き上げたという。  だからこそ、中沢自身が体験した被爆直後の惨状や、被爆者差別の過酷さの描写は決して他の誰にも描けない、魂の込められたものとなっており、読んでから40年も経つわしの記憶にもはっきり残っている。   ところが、「 天皇が戦争を始めた 」だの「 天皇が戦争を終わらせなかったから原爆を落とされた 」だのということが中沢に実感としてあるわけがなく(しかも事実として間違ってるし)、これは単にイデオロギーでしかない。  本人は原爆にも、天皇にも、同じように怒りをぶつけて描いたつもりだったろうが、この二つは決定的に違う。それは普通の読者なら無意識のうちに見抜いてしまうものである。  
小林よしのりライジング
常識を見失い、堕落し劣化した日本の言論状況に闘いを挑む!『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりのブログマガジン。小林よしのりが注目する時事問題を通じて、誰も考えつかない視点から物事の本質に斬り込む「ゴーマニズム宣言」と作家・泉美木蘭さんが圧倒的な分析力と調査能力を駆使する「泉美木蘭のトンデモ見聞録」で、マスメディアが決して報じない真実が見えてくる! さらには『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成させる大喜利企画「しゃべらせてクリ!」、硬軟問わず疑問・質問に答える「Q&Aコーナー」と読者参加企画も充実。毎週読み応え十分でお届けします!