号外 2013.9.13発行
東京五輪 PART2.「確実に皇室の政治利用をした安倍政権」
オリンピック東京招致決定の馬鹿騒ぎにすっかり紛れてしまったが、決して見過ごすわけにはいかないことがある。
安倍政権は、五輪招致活動に皇室を平然と利用した。
3月4日には皇太子殿下が、開催候補都市視察に訪れたIOC評価委員会メンバーを初めて接見された。
この際、宮内庁は「皇室は招致活動に参加しない」という方針から「ご接見はあくまで国際親善が目的」との姿勢を貫いていた。
しかしさらに安倍政権は開催都市を決定するIOC総会への高円宮妃久子殿下の出席を要請した。皇族がIOC総会に出席するのはもちろん初めてだった。
風岡典之宮内庁長官は記者会見で、下村博文文科相が宮内庁を訪れ「IOC委員がそろった場で震災復興のあいさつをお願いしたい」と要請したことを明かした。
文科省の方から、スピーチ後は壇上を離れるなど、宮内庁側への配慮も示されたことから「時間もなく、内閣の一員としてぎりぎりやむを得ないと判断した」と風岡長官は説明している。
また風岡長官は「招致活動と受け取られる懸念はあったが、苦渋の決断をした」と言い、さらに天皇、皇后両陛下に報告した際、これまでの皇室の対応との違いから「両陛下も案じていらっしゃると感じた」と異例の発言をした。
わざわざこの時期に地球の裏側のブエノスアイレスまで出かけて、オリンピック開催地を決定するIOC総会に出席して、プレゼンテーションの壇上でスピーチして、「でもそれは東日本大震災支援への感謝を表すスピーチだから、五輪招致活動とは無関係」なんて言い訳が通用すると安倍政権は本気で思っているのか!?
そもそも、招致活動に役立つと見て「復興五輪」をアピールしている一方で、震災復興支援への感謝を表すスピーチは五輪招致活動とは無関係ということにしようと思える神経が信じられない。
ここにも、安倍政権は被災地のことなど何も考えておらず、ただ五輪招致の道具として都合よく利用しようとしか考えていないことが露呈している。
これは明らかに、ついに一線を越えてしまった皇室の政治利用であり、風岡長官の異例の発言も当然と言える。
だが菅官房長官は「宮内庁長官の立場で両陛下の思いを推測して言及したことは非常に違和感を感じている」と発言。これを受けて産経新聞は9月6日付のコラム「産経抄」で、次のように風岡長官を批判した。
菅義偉官房長官の口癖通り、非常に違和感を覚えたのは、風岡典之宮内庁長官の発言だ。「天皇、皇后両陛下もご案じになっているのではないかと拝察している」。「陛下のお気持ち」を持ち出すのは、君側(くんそく)の奸(かん)の常套(じょうとう)手段である。
じゃあ何か? 天皇陛下は高円宮妃のIOC総会出席を実は喜んでおられたのに、風岡長官が勝手に陛下の思ってもいないことを言ったとでも言うのか? 一体、何のために?
オリンピックは紛れもなく「政治」である。
その代表例が、ナチスの威信を内外に誇示するために最大限に利用されたベルリン五輪や、ソ連のアフガニスタン侵攻に抗議して西側諸国がボイコットしたモスクワ五輪である。
そしてオリンピック招致は、多額の予算を湯水のように使い、世論操作を図り、国と国で利権のぶん捕り合いをする、政治闘争以外の何物でもない。
そんな場に皇族が利用されるようなことになれば、天皇陛下が案じられるのは当然である。
これは確信を持って言えることだが、天皇陛下は風岡長官に、事態を懸念する何らかのお言葉をおっしゃったはずである。
だがそれを直接公表するわけにはいかないから、あえて「推測」としているだけだ。
宮内庁長官が天皇陛下のお気持ちを勝手に想像して話すことはありえないと断言していい。
宮内庁長官を「君側の奸」と非難し、その発言を否定するのは、天皇陛下のご意向を無視したい「奸賊」の常套手段である。
さらに奸賊「産経抄」は次のように書いている。
コメント
コメントを書く配信お疲れ様です
小沢さんが政治利用した時も今回も、どんな目的であろうが「利用してやろう」って考えに、皮膚感覚的に拒否感が表れないものかなあと思いました。天皇の意義を問われても「皇室外交でこんなに世界ででかい顔が出来るんだぞ!」というような意見が多いのにも違和感が激しいです。天皇陛下が国民のために常に祈ってくださり、国民もそれに応える相思相愛の絆が第一義であって、皇室外交はあくまで副次的なものであると思うのですが。俺達の正しい目的のために利用するのはOKだ!と言う人は、保守リベラル関係なく、何事かに「敬虔になる」という事を忘れてしまったのかも知れませんね。
『戦争論2』や『靖国論』で小林先生が「敬虔な気持ちになった事がない人間など絶対信用できない」「不気味なニヒリズムに精神が浸食されていそうである日突然発狂しそうで怖い」と描いてましたが、私も自戒しつつ同感です。そういったニヒリズムが国のトップにまで及んでいるとしたら、相当危険な状態だと思います。個人的には今回政治利用した人、それを認めた(黙認した)人達には相当痛い目に遭って欲しいですし、悪しき前例にならないよう、小さいですが声を挙げたいと思います。
テーマ、クモで一首(「句」は俳句の数えかたですよ。短歌は「首」です。)
TPPという網にかかる獲物をば待ち続けてる米国という蜘蛛
あっ、やべ… 蜘蛛じゃなくて雲だった!
雷神宮歌会:―天―
○毒放置 皇室利用 暴挙なり 天は怒りて 暴風雨寄せる
daiさん、ありがとうございます。歌会サブテーマ:―蜘蛛―
○雲間に陽 台風一過 秋の空 名残の雨滴か 光る蜘蛛の巣
今次の台風で被害を受けられた方、お見舞い申し上げます na85
東京の皆様、台風ご苦労様です。
ふと思ったのですが、こんなに風水害が多発する日本の夏場に、オリンピックが滞りなくやれるのでしょうか?。
前回のオリンピックは天候が安定してる10月くらいに行われた記憶があります。
夏に開催したらゲリラ豪雨とか台風襲来などでたとえ国立競技場に屋根をつけてもインフラが止まって何もできない、ってこともあり得るのにな。
na85さんの「雲間に…」は情景が浮かんでいいですね。創作意欲も旺盛で、びっくりしてます。以前から和歌の素養がありそうですね。
僕も負けずに作ってみました。
テーマ、天
○以前より派手な下着を干している妻の笑顔と澄わたる空
サブ、夏
○打ち付ける 雨音が恋 人たちを 不安にさせる 台風の夜
今回のゴー外を見て、ニュースで高円宮妃久子殿下がスピーチされてるのを(あ!『新天皇論』でよしりん先生と話されていた久子殿下だ!!こんなところでスピーチなんて偉いなぁ!)と、無警戒に見ていた自分を磔の刑にしてやりたいと考えてしまいましたorz
オリンピックはスポーツの祭典だから政治は抜きで見ようという意見に流されてしまいがちですが、立派な政治活動なんですよね。
08年の北京オリンピックと同じく東京オリンピックは見ないようにします。(単純にスポーツにあまり興味がないだけですが(^^;; )
皇族の方々は、日々政治利用を強制され、
それをどうにか乗り切り、
皇族としての立場を表明しておく事を、熟慮されているのだと思いました。
昭和天皇が人間宣言をGHQに強制されたときも、
GHQの目的を換骨奪胎し、
GODとしての現御神を否定し、
しかし、神の裔である事は否定していないように、
五輪招致の舞台に立たされる事を強制されながらも、
被災地支援のお礼をされて、「被災地支援のお礼>五輪」の立場を明確にされて、
「風岡長官が両陛下も案じてらっしゃる」と異例の発言をされた事で、
今回の件に関する、天皇皇后両陛下・皇室・宮内庁の公式見解は決まってると思います。
「五輪招致活動への参加を強制された」という事ですね。
号外配信ありがとうございます。
ご皇室の活動について考えさせらました。
私は今回の高円宮妃殿下のIOC総会ご出席と4年前の習近平現中国国家主席の
天皇陛下ご会見とは超えられない差があり、深刻度は4年前の方と思っています。
それは、相手が中国であるということ。
中国を蔑視している訳ではありません。むしろ逆で「朝貢」を思い出したから。
かの国とそれ以外の国とでは、関係性の前提条件が異なる。
その中国相手にルールを曲げて陛下のご会見を実現させることは暴挙です。
そこがIOC総会ご出席とは根本的に異なる、と理解していました。
平成4年の両陛下ご訪中が天安門事件以後厳しい立場に置かれていた中国が
国際社会に復帰する効果を果たした、という話を聞いたこともあります。
それを考えたら対外的なご皇室の活動はそもそも政治性を帯びる事から
自由たり得ないないのでは、、と思えてならないのです。
今回の号外を拝読してそもそも「ご皇室の政治活動」とは何だろうか、と思います。
「まつりごと」なのか「politics」なのか。
日本の国柄において区別できるものなのか。
突き詰めたら宮中祭祀のみに専念していただく、ということなのか。
ついついご皇室へ甘えてしまっていることを心苦しいと思いつつ近代国家での
ご皇室のお立場と役割についてを考える事が今後の課題と感じました。
そもそも、4年前の習近平現国家主席とのご会見への批判は政治活動ではなく、
国柄や歴史的経緯を鑑みた上での暴挙、と批判すべきだったと私は思います。
先週金曜日のニコニコ動画の放送、タイムシフト予約で拝見しました。
あの漆黒の画面に45分、皆さんのコメントが楽しくて早送りせず見ていました。
皆さん、素晴らしいですね!
雷神宮歌会・無題
○政治利用 周に会わすは カネのため 五輪を呼ぶも カネのためなり
○朝には カネ溢れても 夕べには 無一文だぜ グローバリズム
○「皇室の 藩屏たらん」と いう言葉 ネトウヨが聞けば はんぺん足らん
サブテーマ:―AKB―
○光秀を 忠誠心ゆえ 好きと言う それがさや姉 HA!しびれるぜ
いや、推しメンは大島優子だけですよ na85
ここまで読んでくださった読者の皆さん、本当にありがとう
ございます。
また、新たにライジングを購読して下さったみなさまに、感謝いたします。
次号は、
小林よしのりライジングVol.54
「五輪は経済成長の起爆剤になるのか?」
です!
また、最新の「ライジング」が
只今絶賛配信中です!
コメントを書かれる方は、
「新着記事」
のトップ(最新号)をクリックしてください。
読者の皆様とともに、「ライジング」を創っていきましょう!