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na85さん のコメント

 2日ほど当コメント欄を見られない間に随分話が進んだようですね。

 私が山本太郎氏の行動を天皇の政治利用と感じた理由は、陛下に手紙を渡すという行為をマスコミ報道に晒すことによって国民への波及効果を期待したのでは?僅かでもそのような気持ちがあったのでは?と感じたからです。脱原発という正しい目的のためであっても、陛下の存在をその目的のために利用したことには変わりないと考えたわけです。
 しかし、ここまでの皆様の意見を読んでいて若干考えが変わりました。山本氏は純粋に後先考えずに直接陛下に訴えたい気持ちを抑えられなかったのではないかと思うようになりました。陽明学徒・吉田松陰の辞世「かくすれば・かくなるものと・知りながら・やむにやまれぬ・大和魂」のような心情でしょうか。>>255で尻毛屋さんが仰った、赤信号を無視して車道の真ん中の子供を救いに行くのに深い考えは要らない、これは陽明学の知行合一の真髄です。結果的に氏の主張は意図しないままマスコミ報道に乗って万人に伝わり影響を与えることになってしまいましたが、それは二次的な問題だという気がします。
 ただ山本氏は訴えに行った相手である天皇陛下のことをあまり知らなかったことが問題です。恐れ多い存在であり過ぎたことと、訴えた内容ぐらいは既にご存じであった可能性が高いことです。しかし、それでも行動を起こしたことには意味があったと思います。なぜなら、多くの日本人は原発問題もTPP問題ももう何も変わらないと半ば諦観とニヒリズムに囚われていたからです。ニヒリズムを超える行動を示して見せた山本氏は、やり方に拙さがあったとしてもある種のヒロイズムを身にまとったように感じます。
 以上で忍者悟さんの>>248に答えたことになると思いますが、ラブレターについても。第三者の惨状を伝え訴える直訴状と自分の恋心を伝える恋文では若干違うという点にはまず目をつぶります。問題は手紙を渡す行為が衆人環視で行われたか否かです。山本氏の件では園遊会での周囲の目やマスコミ報道による主張の拡散があれば本人の意図とは関係なかったとしても政治的な効果が一応あったわけです。ラブレターの場合、もしクラスメートの多くの目がある場所で渡したとすれば、手紙の内容やことの成否に関わらずクラスの他の男子の以後の行動に制限を加えるという政治的な効果が出てきます。この場合相手の女子は政治力行使に利用されたと言えなくもないですが、この女子はそれ以前に目標・対象ですが。

 ニヒリズムを超えていくマジを山本太郎氏にも感じてしまった na85
No.288
128ヶ月前
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第59号 2013.10.22発行 「小林よしのりライジング」 『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。 毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、よしりんの心を揺さぶった“娯楽の数々”を紹介する「カルチャークラブ」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」、珍妙な商品が盛り沢山(!?)の『おぼっちゃまくん』キャラクターグッズを紹介する「茶魔ちゃま秘宝館」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが無限に想像をふくらませ、とことん自由に笑える「日本神話」の世界を語る「もくれんの『ザ・神様!』、秘書によるよしりん観察記「今週のよしりん」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行) 【今週のお知らせ】 ※戦前をどう捉えるか?戦争をどう捉えるか?近代をどう捉えるか?日本的なるものをどう捉えるのか?男女の関係性をどう捉えるか?そして死生観と職人の業をどう捉えるか?今週の「ゴーマニズム宣言」は、映画『風立ちぬ』を通じて読み取れる製作者や観客の心理背景を分析します! ※ウィキペディアの記事を徹底的に添削しちゃう大好評「よしりんウィキ直し!」。今週は、前回の「死闘・オウム真理教事件」から、息をつく暇もなく始まった次なる闘い「薬害エイズ」編に突入!薬害の加害者と、左翼市民運動家という異なる敵を相手にする二正面作戦を強いられた「薬害エイズ事件」、今明かされる真相とは!? ※『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて、一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」。今回は少しひねったお題!毎回、快作を生み出す猛者たちは、果たして見事にひねり返すことが出来たのか!?   【今週の目次】 1. ゴーマニズム宣言・第61回「『風立ちぬ』をどう見るか?」 2. しゃべらせてクリ!・第20回「ぽっくんと柿野くんを見くらべて…?の巻」 3. よしりんウィキ直し!・第8回「ゴーマニズム宣言④:『新・ゴー宣』開始・薬害エイズ編」 4. よしりん漫画宝庫・第53回「『しんすけ』追記」 5. Q&Aコーナー 6. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど) 7. 読者から寄せられた感想・ご要望など 8. 編集後記 第61回「「風立ちぬ」をどう見るか?」  映画の感想は人それぞれで、正解があるわけではないが、その感想を通じて製作者や観客の心理背景を探ることは出来る。  宮崎駿監督最後の長編アニメ映画となった 『風立ちぬ』 ほど、賛否両論、観客に多様な感慨を抱かせる作品も珍しい。  それは戦前をどう捉えるか、戦争をどう捉えるか、近代をどう捉えるか、日本的なるものをどう捉えるか等々の命題が、製作者が意図せぬままに映画に込められてしまったからであり、観客の側も戦前・戦後の評価が定まらぬままに分裂しているからでもある。  リベラル・サヨクの評論家が、ゼロ戦に「 暗黒の時代の殺戮兵器 」とレッテルを貼ったが、なにしろ宮崎駿本人が、ゼロ戦の設計者・堀越二郎を主人公にすることに躊躇いを感じているのは明らかだ。  わしの小学生の頃は、『ゼロ戦レッド』『ゼロ戦はやと』『ゼロ戦太郎』『紫電改のタカ』などの漫画が大人気で、日本の戦闘機が米英機を撃墜する痛快さが少年漫画誌で堂々と描かれており、子供たちは無邪気にそれを楽しんでいた。   ゼロ戦や戦艦大和への憧れは、現在の子供たちのガンダムやエヴァンゲリオンなどへの憧れと通じており、子供の頃はわしもゼロ戦のプラモデルを作って楽しんでいたものだ。  少年漫画誌から戦時中のパイロットの活躍が消えるのは1970年代くらいからであり、朝日新聞や朝日ジャーナルが「日本の戦争責任」を追及し始め、旧日本軍の加害行為を過剰に報道するようになり、学生運動が過激化し、団塊の世代が急激に左翼化していった時代からである。  兵器マニアの宮崎駿が、テレビアニメにもなった『ゼロ戦はやと』を知らないはずはなく、ちばてつやの名作『紫電改のタカ』を知らないはずもなかろう。   兵器マニアは宮崎の童心であり、ゼロ戦を「殺戮兵器」と捉える感覚は、70年代以降に芽生えた宮崎のイデオロギーのはずである。  もちろんリベラル・サヨクの最近の言論人も、70年代以降に形成された空気に汚染された頭脳で、相変わらず自虐史観を唱えているだけのことだ。   「ゼロ戦はカッコいい!」それは単なる童心であるから、誰に恥じる必要もない。子供アニメを作ってきた宮崎が、大人向けのアニメを作った途端にイデオロギーに嵌ったというのが残念なことだ。  そもそもゼロ戦を「 殺戮兵器 」というのは間違っている。 ゼロ戦は 戦闘機 であって爆撃機ではない。  「殺戮」とは民間人を無残に殺す場合に使う言葉だが、 爆撃機は民間人を殺戮する可能性があるものの、戦闘機は敵戦闘機と決闘する兵器であって、民間人殺戮には使われない。  戦闘機が戦時国際法を違反する可能性は極めて低いのである。  したがってゼロ戦を描くことに罪悪感を持つ必要などないはずなのに、『風立ちぬ』には堂々たるゼロ戦の勇姿は描かれない。妄想の中のヘンテコな飛行機ばかりが描かれるので、童心を失わないわしとしては物足りない映画である。  それでも多くの大人が感動したと言うのは、日本人の職人的な気質と、控え目で節操のある純愛が描かれるからであり、戦前の人々の礼節と美しい風景がノスタルジーを誘うからであろう。  近代化されない美しい風景や、童心でしか見えない日本的な神々や精霊を描くのは、宮崎アニメの特徴なようだが、それが今まで大人の観客も増やしてきた要因となっている。   ところがまさにその前近代的なものへの憧憬が、近代主義者であるリベラル・サヨクの論客の反発を誘う原因でもある。   近代主義的なサヨクは、資本主義や情報社会を、「 時代を支配する重力 」と考えている。だからグローバリズムへの反発も、原発推進への反発もない。それは戦前回帰であり、前近代へのノスタルジーに過ぎず、そんなことを唱えている者は、「 重力に抗って飛ぼうとする 」ジジイとしか映らないのだ。   だがそもそも飛行機も鳥も重力に抗って「揚力」で飛ぶのであり、もし重力に抗わなければ、墜落して地上に叩きつけられるだけである。  グローバリズムも原発も重力ではないのだが、もし重力なら、抗って自然の力で軽やかに飛んだ方が良いに決まっている。  近代主義サヨクは『風立ちぬ』の二郎と菜穂子の関係性も、前近代的なマチズモ・男性優位だと非難する。これは大きな勘違いだろう。  
小林よしのりライジング
常識を見失い、堕落し劣化した日本の言論状況に闘いを挑む!『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりのブログマガジン。小林よしのりが注目する時事問題を通じて、誰も考えつかない視点から物事の本質に斬り込む「ゴーマニズム宣言」と作家・泉美木蘭さんが圧倒的な分析力と調査能力を駆使する「泉美木蘭のトンデモ見聞録」で、マスメディアが決して報じない真実が見えてくる! さらには『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成させる大喜利企画「しゃべらせてクリ!」、硬軟問わず疑問・質問に答える「Q&Aコーナー」と読者参加企画も充実。毎週読み応え十分でお届けします!