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第66号 2013.12.17発行

「小林よしのりライジング」
『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。
毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、よしりんの心を揺さぶった“娯楽の数々”を紹介する「カルチャークラブ」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」、珍妙な商品が盛り沢山(!?)の『おぼっちゃまくん』キャラクターグッズを紹介する「茶魔ちゃま秘宝館」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが無限に想像をふくらませ、とことん自由に笑える「日本神話」の世界を語る「もくれんの『ザ・神様!』、秘書によるよしりん観察記「今週のよしりん」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行)

【今週のお知らせ】
※2012年度のいじめの認知件数は20万件となり過去最多になった。そしてネットの普及に伴い、差別語は公然と氾濫し始めた。中流階級が崩壊し、リアルな他者との親交が崩壊した現代では、ついに差別が商売になるレベルにまで膨張。在特会&ネトウヨ、そしてそんなエセ愛国・差別主義者を味方につけ利用する安倍政権は、本物の強者ではない!!日本に増殖した“人間的弱者”の実態を直視せよ!
※「ザ・神様」…国土の開拓をめざすオオクニヌシのもとへ、陽気に現れたちっちゃいおっちゃん・スクナビコナ。神代の国土開拓コンビ『デコボコブラザーズ』を結成した二人は、ひょんなことから男の意地をかけた勝負をすることに…!!土が先か、うんこが先か!?無意味でおバカと思えるケンカが、ミラクルを巻き起こす!?
※よしりんが直接回答「Q&Aコーナー」!2014年度版「UGN48選抜メンバー」は選考しないの?「あなたとのSEXじゃ濡れない」と言われ振られた友人をなんと言って慰めたら良い!?AKB48は今年のレコード大賞を取るべき?よしりんが論戦や恋愛で「負けた」「失敗した」と思ったこととは?安倍政権の経済政策についてどう考えるか?拉致問題、果たして望みは持てるのか?おとがするオナラはクサくないのに、おとがしないオナラがクサイのはなんで?…6歳女児の質問に、よしりんは何と答えるのか!?


【今週の目次】
1. ゴーマニズム宣言・第68回「言葉の暴力を誰に使うか?」
2. しゃべらせてクリ!・第27回「サンタお父ちゃまにおねだりぶぁい!の巻〈前編〉」
3. もくれんの「ザ・神様!」・第23回「オオクニヌシ vs スクナビコナ~『漏らしちゃ、負けよ』~」
4. よしりん漫画宝庫・第57回「『メンぱっちん』①熱血リスペクトのスポ根パロディ!」
5. Q&Aコーナー
6. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど)
7. 読者から寄せられた感想・ご要望など
8. 編集後記


【ニコニコ生放送】

 

 本年最後の生放送! 

 次回の生放送は12月20日(金)20時からです! 
 本年最後ということで、穏やかに1年を振り返る放送かと思ったら、天下の大悪法「特定秘密保護法」強行成立というとんでもない事態が勃発! 
 さあ、今年最後の生放送、何が飛び出すか? 

 お楽しみに!




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第68回「言葉の暴力を誰に使うか?」

 2012年度のいじめの認知件数は20万件となり、過去最多になったという。
 ネット社会になって、いじめは罪悪感も感じず、匿名で手軽にできる遊びになった。
 他人を罵り、多くの人々と一緒に悪口を言い合うのは楽しいのだろう。
 わしも相当に口が悪いので、本気を出したら、相手の傷口をえぐって立ち直れなくすることくらいは朝めし前だが、「匿名」でそれをやるほど落ちぶれたくはない。
 やられたら、やり返されるという「実名」の条件下でなければ、他人を批判してはいけないのだ。

 この言葉の暴力を、気に入らない個人を排除するために使ったり(学校のいじめ)、社会的弱者や少数民族を侮蔑・排除するために使う奴ら(在特会&ネトウヨ)を、わしは心底軽蔑する。
「いじめ」の増加と、「在日差別」の過激化は、それを行う者たちの心理的動機が似ている。
「匿名」で、ネットで罵詈雑言を書きまくり、「集団」で在日の人々に対する「ヘイトスピーチ」を叫びまくったりするような輩は、どんな大義を掲げていても、政治的主張があるように装っても、それはカモフラージュに過ぎない。
 真の動機は単に自分自身の弱さ、自信のなさにあり、自分の存在に価値を実感できない空虚さにある。

オレ様より下がいる。それがあの異民族だ。本来、社会的弱者のはずなのに不当にオレ様より甘い汁吸ってやしないか?オレ様は立派な存在だ。だって日本人だし、奴らをいじめる強い存在だから。こうして奴らを罵っていれば、愛国心がある証明になるし、ヒマも潰せるし、仲間と集えるし、寂しくない。この運動を止めたら、オレ様は何のとりえもない、特に何かに夢中で打ちこむ情熱もない、しょうもない人間に逆戻りだ。差別は自己満足を得られる手軽な娯楽なんだ。他人を罵って愛国者と思えるなんて、なんて楽しいのだろう。この国から出ていけ、チョーセンジン!

 昔からいたのだ。差別が好きな奴が!
 自分のコンプレックスを誤魔化すための憎悪、卑小な自己像を客観的に見る勇気のない弱さからの他者憎悪、そういうものは昔からあった。
 ただし、昔は差別は大っぴらにやるものではなく、公衆便所に「誰々はブラク」とか「チョン」とかこっそり書いていたもので、その犯人が見つかったら大問題になり、場合によっては部落解放同盟の糾弾に晒されるようになっていた。
 それが恐くて差別はもっと淫靡な形でしか残っていなかったのだ。

 ところがネットが普及し、差別語は公然と氾濫し始めた。その上、中流階級が崩壊して、リアルな他者との親交が崩壊した現代では、ついに差別が商売になるレベルにまで膨張してしまった。
 差別することが商売になる!?
 こんなことは一昔前まで考えられなかった。淫靡に残っていたとはいえ、差別が悪であることは常識だったし、ましてや差別で商売なんかしても買う者がいなかったし、解放同盟の抗議も恐かったからあり得ないことだった。