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石川 温の「スマホ業界新聞」
2012/12/15(vol.014)
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《目次》
1.2012年、スマホ業界10大ニュース
━━iPhoneに翻弄されたキャリアとメーカーたち
2.au版iPhone5「パケ詰まり」の原因は何なのか
━━実体験から原因を考察してみる
3.ソフトバンク版iPhone5、ETWS報道の裏側
━━緊急速報メールでの広告配信は是か非か
4.今週のリリース&ニュース
5.編集後記
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1.2012年、スマホ業界10大ニュース
━━iPhoneに翻弄されたキャリアとメーカーたち
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今年も残すところ2週間ちょっと。先週の「2012年、歴史に残るスマートフォンBEST10」に引き続き、今週は「2012年、スマホ業界10大ニュース」で今年のスマホ業界を総括していきたいと思います。今年は本当に最初から最後まで、話題が豊富な年で、年がら年中、取材であちこちに飛び回り、いろんな人に話を聞きまくっていたような気がします。このメルマガを創刊できたのも、毎日のように新しいニュースや事件が起こっているからこそだったりしますし。
さて、10大ニュースは、石川 温が個人的な感想だけでランク付けしたものなので、クレームとかは一切、受け付けません。「インパクトが大きい」とか「今年を象徴する出来事だ」という、かなりアバウトな理由で順位付けがされています。
■■2012年、スマホ業界10大ニュース■■
第10位 auスマートパスが大ヒット。「使い放題」サービスが主流に
スマートフォン時代となり、コンテンツは「定額制」が一般的になってきた。 NTTドコモの「ビデオマーケット」が順調にユーザーを増やし、 KDDIはアプリやサービスが使い放題となる「スマートパス」を投入して、新たな顧客基盤を作りつつある。KDDIでは「ビデオパス」や「うたパス」「ブックパス」なども開始。Yahoo!も「Yahoo!プレミアム for Softbank」としてサービスを提供。「使い放題」はこれからのスマホ向けのコンテンツ消費スタイルとして定着していきそうだ。
第9位 苦戦続く日本メーカー。再浮上のチャンスはあるか?
日本メーカーが軒並み元気がない。スマートフォン関連でも、パナソニックは春に進出を始めたばかりの欧州市場から撤退を決定。NECもタイやメキシコでスマートフォンの販売を始めるが、あまりいい話は聞かない。国内市場ではサムスンやLGにシェアを取られており、またリストラもあって、商品開発力も落ちつつある。シャープもホンハイとの提携を模索するも、交渉は難航中。ただ、シャープはIGZOという武器もあり、復活の兆しが少し見え始めたようにも感じる。いずれにしても、日本メーカーの存在感が日に日に失われている。
第8位 韓国、台湾メーカーが躍進。日本仕様対応で「怖いものなし?」
日本メーカーが苦しむ中、日本でもシェアを伸ばしつつあるのが韓国と台湾メーカー。サムスン電子は一時期の勢いが失われつつあるが、LGエレクトロニクスはOptimus itがヒット。台湾・HTCも今冬モデル「HTC J Butterfly」が売れており、店頭では品薄状態で、予約をしないと手に入らないほどだ。今後、不気味な存在となりつつあるのが中国・ファーウェイ。ブランド認知はこれからとなるが、豊富な資金力と開発力で、韓国、台湾メーカーですら脅かされる可能性もあるだろう。
第7位 Windows8発売開始。で、WindowsPhone8は発売されるのか?
Windows8パソコンのセールスが好調のようだ。しかも、タッチパネル対応のWindows8マシンが在庫薄になる事態にも発展している。どうやら、タッチパネルの部材がスマートフォン向けに大量に供給されており、パソコン向けのディスプレイ用には調達が困難なのだという。日本のパソコンメーカーにとって、商機であったが、出鼻をくじかれたのは何とも残念。次に気になるのがWindowsPhone8の発売だ。昨年、KDDI向けに供給した富士通はとてもやる気のようだが、一方でKDDIはiPhoneとAndroidがあり、WindowsPhone8についてはあまり興味がなさそうだ。HTCも日本でのWindowsPhone8展開にやる気を見えるが、日本国内ではKDDIとがっちりタッグを組んでいるので難しそう。サムスン電子は海外でWindowsPhone8を投入しているが、実はパソコン系の事業部が担当している。日本法人の社長はパソコン系ではなく、携帯電話系の人間なので、「WindowsPhone8よりAndroid」というスタンスだ。マイクロソフトとしては「キャリアと交渉中」(クリス・カポセラ最高マーケティング責任者)というが、果たして、いつごろ商品化されるかは全く不透明だ。
第6位 LINE大ヒットで、無料通話アプリに続々と大手参入
LINEのユーザー拡大ぶりには驚きだ。12月12日現在、世界で8500万人、日本でも3700万人を突破。「ここ最近は1週間で200万人ペースの伸びとなっている」(NHNJapan、舛淳Chief Strategy & Marketing Officer)という。
すでに単なる無料通話アプリに留まらず、企業の参入を促し、公式アカウントとして、企業とユーザーの接点になるつつある点が面白い。クーポンの配信だけでなく、有料スタンプの配信などコンテンツ配信のプラットフォームへと進化しつつある。DeNAも「Comm」で参入。スタンプを無料化するなど、早くも競争が激化しつつある。
第5位 KDDIがMNPで絶好調。CATVとの連携も強化
本格的なスマートフォン時代となり、KDDIが絶好調だ。田中社長は「3M戦略」として、スマートフォンだけでなく、タブレットやパソコン、テレビへのサービス展開を模索。CATV会社との連携も強化し、セットトップボックスも投入してきた。NTTグループがNTT法で縛られるなか、固定と移動体を組み合わせて割り引くなど、攻めの姿勢が、結果となって表れてきた。ただ、ここ最近の田中プロは、他社のことに言及するのはいいが、それが意外と間違っており、信頼を失いつつあるのが残念なところ。キャラクターとしては、一般に定着してきただけに、しっかりとしてもらいものだ。
第4位 ソフトバンクがイー・アクセス買収で「テザリング競争」も本格化
KDDIがiPhone5でテザリングを導入し、一気にユーザーを獲得していく中、焦ったのが孫社長。宮川CTOが「うちはテザリングの導入は無理」とギブアップしていたにも関わらず、テザリングの導入を宣言。ネットワークの容量が足りなくなる中、目を付けたのが、イー・アクセスだった。同社が持つ1.7GHz帯の周波数をiPhone5で活用する気だ。2013年春からはイー・アクセスの周波数帯も使い、ネットワークに余裕を持たせたいとしているが、果たしてどうなるか。ついに12月15日からテザリングを解禁したが、来春までのイー・アクセスとの統合までに、安定してネットワークを維持することができるのか。とても興味深いところだ。
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