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 石川 温の「スマホ業界新聞」

                                                  2013/01/26(vol.019)

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《目次》
1.KDDI田中社長にパケ詰まり問題について直撃してきた
━━「普段からやれることはすべてやっている」
2.INFOBAR A02、開発担当・砂原氏に会ってきた
━━「auのフラグシップにふさわしい製品を目指した」
3.「iPhone導入は決めていないし、従来と何も変わっていない」
━━ NTTドコモ加藤社長の囲みにツッコミ
4.今週のリリース&ニュース
5.編集後記

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1.KDDI田中社長にパケ詰まり問題について直撃してきた
━━「普段からやれることはすべてやっている」
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 1月21日、東京・品川でHTML5の関連技術を発表するイベント「HTML5とか勉強会」に参加した。テーマが今話題のTizenとFireFox OSだったというのもさることながら、KDDI田中孝司社長が登壇すると聞きつけたからだ。
 当日、会場では田中社長は参加者には事前に誰だか知らされない「サプライズゲスト」という扱いだった。勉強会の中盤に田中社長が登壇し「KDDIとしてはHTML5に注目しており、このようなイベントで会場を貸したり、様々なことで開発者を支援していたい」と、 HTML5開発者たちにエールを送った。
 その後、駆けつけた記者との囲みが開催された。そこで、なぜ「KDDIはHTML5に関心があるのか」と田中社長に聞いてみたところ「なんか、面白いよね」と一言返ってきた。
 HTML5は、オープンな世界とされる。オープンなだけに、そこに何かしらの「革新が起きるのではないか」と田中社長は期待しているようだ。いまあるスマートフォンOSと同じことができても意味がない。iPhoneやAndroidとは異なる世界観が出てくることにKDDIは期待しているようだ。
 HTML5に準拠したスマートフォン向けプラットフォームというと、勉強会でもテーマとして掲げられていたように「Tizen」と「FireFox」の2つが注目を浴びている。KDDIとしては、昨年、一度、田中社長が自社の端末にFireFoxOSを内蔵させて、アプリ開発者に見せるなど、どちらかというとTizenよりもFireFoxに注力しつつあるようだ。実際、囲みの場でも、田中社長の手にはFireFoxの入った端末があり、「ハードウェアにパワーがなかったが、落ちずに動いた」と端末に対する感想を述べていた(ハードのスペックとしては800MHzのシングルコアだったようだ)。
 では、一体、KDDIとしては、FireFoxOSでどんな端末を作ろうとしているのか。
 関係者によると、ハイエンド機種は従来通りiPhoneやAndroidになるのだが、フィーチャーフォンからスマートフォンに乗り換えていない人に向けて、FireFoxOSでスマートフォンに近いモデルを投入できればいいと考えているようだ。
 実際、FireFoxOSは、すでに対応機種なども発表されているが、テレフォニカがブラジルで販売しようとしている。世界的に見れば、ローエンドのスマートフォンとして、安価な端末として売り出されようとしている。HTML5で、高いスペックを必要としないことから、安価な部材で製造できるからだという。
 KDDIとしては日本でも、できるだけ安価に製造し、いまのフィーチャーフォンに置き換わるような存在として製品化できればいいと漠然と考えているようだ。
 
 KDDIのHTML5に対する考え方が分かったところで、囲みが終了してしまった。しかし、本当に自分が聞きたかったのはそれだけではない。昨年末からTwitter上を賑わせている「パケ詰まり」について、どうしても聞きたかったのだ。11月から年末にかけて、田中社長が記者の前に登場することはほとんどなかったので、パケ詰まりに関して聞けるタイミングがなかったのだ。どうしても直撃したかったので、わざわざ、この日は出張先から駆けつけたのだった。
 田中社長も記者も立ち上がり、帰ろうとしたとき、おもむろに田中社長に「パケ詰まり、どうっすか」と聞いてみた。一瞬、たじろいだようだったが、田中社長は素直にこう答えてくれた。