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■久瀬太一/8月3日/17時15分
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■久瀬太一/8月3日/17時15分

2014-08-03 17:15
    久瀬視点
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     ブログはタイトルの通り、愛媛の話題ばかりだった。短いテキストばかりのブログだが、確かな郷土愛を感じる。
     オレもほんの一時期だけ、愛媛に住んでいたことがある。でも転校が多かったせいか、どの土地にも愛着はない。だからこのブログが少しだけ羨ましかった。
     オレは記事のひとつで目をとめる。
     ――最近、愛媛を離れてずっと音沙汰のなかった弟から急に連絡があった。
     それは珍しく、長い記事だった。
     とはいえテキスト量が多いわけではない。
     こんな内容だ。

           ※

     どうやら絵を描ける人に頼んで、LINEのスタンプを作るんだと。
     自慢げに、それっぽいイラストが添付されてるメールがきた。
     愛媛を捨ててどこをほっつき歩いてるかと思えば、くだらない。
     みかんの絵もないし。
     
     なので、発表前のイラストをここで晒してやろうと思います。
     ザ・不買運動だ!

           ※

     その下には、40枚ものイラストが掲載されていた。
     あまり手の込んだものではない。中には明らかにふざけているものもあった。一方で、見過ごせないイラストも混じっていた。
     なによりもまず目についたのは、クロネコを背中にのせて飛ぶ、赤い帽子をかぶったロケットのイラストだ。
     むかつく目と口に見覚えがある。
     ――少年ロケット。
     バスにいる、あのきぐるみ。バスのきぐるみは少年の形をしていて、このイラストではロケットになっている。だがふたつとも同じ顔だ。
     ――いったい、どういうことだ?
     ノイマンがブックマークをつけたブログに、少年ロケットがいた。
     ただの偶然だとは思えなかった。
     他のイラストをざっとながめて、その直後、顔の左半分に激痛を感じた。
     汗がにじんで、血の気が引く。視界が霞むほどの痛みだった。その苦痛を紛らわせようと、オレは必死に顔を押さえる。
    「おい、どうした?」
     八千代の声が聞こえる。珍しくシリアスな口調。
     首を振って、オレは無理やりに笑った。
    「なんでもない」
    「なんでもないってことはないだろう」
     八千代の大きな指が、モニタを指した。
    「このイラスト。思い当らないか?」
     彼が指したのは、少年と少女が、どこか丘の上から星を見上げているイラストだった。
     もちろん、心当たりがある。
    「どうして?」
     とオレは尋ねた。
    「協会内じゃ有名な話だ。英雄と呼ばれる少年は、少女の手をひいて星をみにいく」
     そうだ。オレは、あのクリスマスパーティで。
     独りきりだったみさきの手をひいて、会場を抜け出した。
    「でもその少女は、悪魔だった。それで英雄は――」
    「やめろ」
     彼女を、悪魔とは呼んで欲しくなかった.
     八千代に悪意はないのだろう。あくまで、聖夜協会の説明だ。でも、なぜか今は、それを聞き流せなかった。
     八千代は肩をすくめて、別のイラストを指す。
    「なら、英雄。このイラストは知らないか?」
     丸いイラストだ。ヒーローのような仮面を被った、少年ロケットに似た口元の何かが描かれていた。
     ――知らない。
     そう答えそうになって、思い当る。また、顔の左半分がひどく傷む。
    「それは、ヒーローバッヂだ」
     ヒーローの絵がついた缶バッヂ。
     オレはそのヒーローバッヂを知っていた。
     どうして? いつみたんだ?
     ――よく思い出せない。ずきん、ずきんと顔が痛む。
     八千代は明るい声で言った。
    「それだ」
     痛みに耐えながら、オレは答える。
    「それって、なんだよ?」
    「メリーはヒーローバッヂを捜している」
    「どうして?」
    「さあな。よくわからない。だが、とにかくそのバッヂがあれば、メリーに近づける。お前の彼女だって助けられるもしれない」
     八千代は、また別のイラストを指さす。
    「みろよ。これも、ヒーローバッヂじゃないか?」
     それは「タイムカプセル」と書かれたイラストだった。
     宝箱のようなものの中に、小さな丸いものが入っている。それはたしかに、ヒーローバッヂのイラストのようだった。
    「想い出さないか、英雄? お前は、タイムカプセルにヒーローバッヂを入れたのか?」
     タイムカプセル? そんなもの、埋めたことは――
     いや、なにか。なにか引っ掛かる。愛媛。タイムカプセル。なにか思い出しそうな。くそ。頭が、痛い。思考するたび痛みが増していく。
     立っているのも辛くて、オレはPCラックに手をついた。
     その時。
     高く、間延びした、玄関ベルの音が聞こえた。
    読者の反応

    光輝 @koukiwf 2014-08-03 17:19:32
    嘘。愛媛のある地域特定して
    タイムカプセルからヒーローバッチを取り出せと?!


    しゅんまお@ sol軍事班 @konkon4696 2014-08-03 17:20:00
    これは愛媛のソルが行動か?
    でも、タイムカプセルなら地中だよな… 


    ちょくし@[3D小説 bell]参加中 @DodoRoku 2014-08-03 17:19:13
    愛媛にソルはいらっしゃいませんか!?


    シロクロパンダ@3D小説まとめ編集天神班 @Miraclekurami 2014-08-03 17:25:04
    やたらとお菓子とかジュースとか出てくるな   


    VIOLA@ソルコミュ!オーナー @viola_vfreaqs 2014-08-03 17:22:08
    愛媛だったら結構近いからフェリーで行けるんだよなぁ…


    ふゅー@ソル愛媛勢? @777Moyashi 2014-08-03 17:29:32
    唐突に地元の名称が出てきて鼻水吹いた 


    空つぶ@3D小説bell参加中 @sora39ra 2014-08-03 17:29:59
    顔の半分に激痛って気になる・・・少年ロケット頬だったかに傷なかったっけ  


    TeamFirpfut / 南雲 @jin_nagumo 2014-08-03 17:32:51
    LINEのアイコンイメージにミュージックプレイヤーが……。  





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    お気に召さない場合は「転載元のアカウント」から「3D小説『bell』運営アカウント(  @superoresama )」にコメントをくださいましたら幸いです。早急に対処いたします。
    なお、ツイート文からは、読みやすさを考慮してハッシュタグ「#3D小説」と「ツイートしてからどれくらいの時間がたったか」の表記を削除させていただいております。
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