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まだ頭の芯の辺りが熱い。
なんだかわけがわからない、奇跡みたいな時間を抜けて、窓の向こうのオレとサクラは薄暗い城の中を進んでいく。
オレたちは地下を抜けたようだった。
だが1階に上っても、城からは出られないようだった。
巨大な扉――おそらくは出入口へと繋がる通路に、うず高く瓦礫が積み上がっていて、越えられそうにない。
オレたちはまず、本棚がたくさんある部屋に入った。きっと書庫かなにかだろう。
その部屋には、魔法陣の痕跡が残っていた。
そちらに向かって、サクラが歩み寄っていく。魔法陣を描き写すのだろう。
一緒に作業できることでもない。そのあいだ、オレは本を読んでいることにしたようだ。
――オレに理解できる文字なのか?
と、すこし疑問だったが、その点は問題ないようだ。
オレはページをめくっていく。その内容は、バスの窓からだとよくみえない。
やがてサクラが魔法陣を描き終えて、彼女に向かって、窓の向こうのオレが尋ねる。
「サクラってのは、この王家の名前らしいな」
サクラは頷く。
「あ、はい。私は国王の娘です」
さも当然だ、という風に、彼女は頷いた。
あるいは彼女にとっては、相手が自分のことを知っているのが常識なのかもしれない。
オレは険しい顔つきで尋ねる。
「この国の王家には、聖女の血を引く女の子が必ずひとり生まれる。だが双子の姉妹が生まれたときは気をつけなければいけない。なぜなら聖女は、その血に悪魔を封じているから。双子のうちの一方が聖女の血のみを、もう一方は悪魔の血のみをひいている」
――双子のうち、一方が悪魔。
それは現実の、みさきを想像させた。なら、ちえりは? 彼女が聖女なのだろうか? わけがわからない。
君はどちらだ、とは、オレは尋ねなかった。
サクラもうつむいているだけで、なにもいわなかった。
だとしても、だ。
――この少女は、自身の姉を助けたいといった。
聖女は悪魔を助けるだろうか。
悪魔は聖女を助けるだろうか。
――いや。姉妹なら、助けようと思って当然か?
オレは深く考えるのをやめる。
窓の向こうのオレも、そうしたのかもれしない。
「次の部屋にいこう」
と言って、書庫をあとにした。
比火@sol @c01010dec 2014-08-09 02:23:37
これ、まだねむれないwwww…(T_T)
リコリス@単冠湾泊地 @lycoris_alice05 2014-08-09 02:24:05
ここの話がな。姉妹の扱いが逆っぽいのよなー
カムリン@yp @kamurinn 2014-08-09 02:25:54
寝かして(嬉しい悲鳴)
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