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質問者の動画と、目撃者の動画を組み合わせると、会話はこうだ。
『部屋の中にいたのは?』
『ニール』
『現場をみたのですね? どこからみていたのですか?』
『あ段の、桶の中』
今、この場にいる全員の視線が、ニールに集まる。
彼は相変わらずソファでふんぞりかえっている。
天井を見上げて、長い息を吐いて、それからこちらをみた。
「で?」
「いや。お前、この部屋にいたのか?」
「いたよ。それが?」
「どういうことだよ!」
ニールは一度、ソファから立ち上がろうとしたようだったが、やはり気が変わったのか座りなおす。
彼は早口にまくし立てた。
「事件の第一発見者はオレだ、それは全員が知っていることだ、オレは山本の次にこの部屋に入った、だがそれがどうした? オレが部屋に入ったとき、こいつは床に倒れていた。だから大方目撃者――あの声はノイマンか? あの馬鹿には山本がみえなかった。だからオレが犯人だとでも勘違いしたんだろう。いったいどこに矛盾があるってんだ?」
「第一発見者なら犯人にだってなれるはずだ」
「はずだ? は、仮定でならどんな推測だってたてられるさ」
「山本を犯人扱いしたのだって仮定だろ」
「ああそうだな。だが一番可能性が高い仮定だ。不信な点があるにせよ、ナイフに指紋があるんだぜ?」
「あんなものなんの証拠にもならない。明らかに偽装だ。きっと調べれば、きちんとした証拠がでる」
「そうね、調べてみましょう」
と、そう言ったのは宮野さんだった。
「ここにルミノールがあります」
彼女は自慢げに、銀色の小袋をかかげている。
「なんでそんなもんがあんだよ!」
とニールが叫ぶ。
「あと指紋採集用のアルミニウム粉末もあるわ。センセイへのプレゼント用に買っておいたのよ!」
百歩譲ってプレゼントを用意してるのはいい。
「クリスマスにルミノールを贈るってどんなセンスですか」
「とある極秘の消息筋から、センセイは男の子が好きそうなものならたいてい好きだって聞いたから、頑張って選んだのよ」
意外と高級品よと彼女は言う。たぶん宮野さん自身の趣味だと思う。
「指紋採集の方は実際に使ってみたわ。ね?」
と宮野さんに振られ、山本がしぶしぶといった様子で頷く。
「私は指紋を取られました」
「それで無事、ナイフの手の跡が山本さんのものだと確定したわけよ」
だからナイフの指紋のとき、自信満々に答えていたのか。
宮野さんがちゃちな説明書を読み上げる。
「ええと、このルミノールと、こっちの過酸化ナトリウムを精製水に溶かすだけで、簡単にルミノール試薬を作れるらしいわ」
「おいふざけんなよ」
ニールが怒鳴る。
「証拠品だぞ? 素人が勝手に薬品をぶっかけるつもりか?」
まあ、たしかに常識的に考えれば、あり得ない話だ。
「まあいいじゃないですか」
と、そういったのはファーブルだった。
彼は宮野さんの手の中からルミノールの小袋を抜き取る。
「センセイに起こったことです。我々で解き明かそうじゃありませんか。――それとも、ニール。なにか不都合でも?」
その嫌みな口調が、どこか頼もしく感じる。
ニールはファーブルを睨みつけ、それから舌打ちした。
「無意味だ」
「無意味? どういう意味ですか?」
「凶器はおそらく、そのナイフじゃない」
どういうことだ?
ニール。お前は、なにを知っている?
アディルカ/アザレア @adluka34
宮野さんなんで持ってるねん!!
桃燈 @telnarn
宮野さんのセンスがwwwww
アステル@福岡Sol @asuteru21
凶器が違う・・・!?
ゲコ@SOL @tuno17169264
マジかよニール…
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