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山田玲司のヤングサンデー 第301号 2020/8/3

オタクの血は青い

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今回のヤンサンの「映画版ナウシカ解説」はきつかった・・・


風の谷のナウシカは、一見単純なアイドル映画なのだけど、内容は複雑でとにかく要素が多い上に科学的な薀蓄であふれている。


とにかく「オタク的」な映画なのだ。


映画ファンに向けた「純粋な面白さ」の話もしたかったのだけど、とにかくこの映画は作り手の思いが圧倒的に強い上に「重い」・・



王蟲を始めとする「醜くて高貴な異形の者達」の中には、いつも「宮崎駿」がいる。


特に王蟲には「若き日の宮崎駿」が入っていて、その内的エネルギーは強烈だ。


そしてその「若き日の宮崎駿」は「俺たち」でもある。


醜くて、孤独で、理解されないけれど、心はどこまでも「高貴」で、世界の汚れを浄化していると信じている、そんな「若きクリエイターたち」が「王蟲」なのだ。


なので映画全体が、そんな「若き男たちの怒りと悲しみ」に満ちている。


そう見えてしまう僕には、この映画を普通に見ている人達の目線で語るのが難しくて、放送は何度も迷走してしまって反省している。


有料枠に入って1度メンバーに進行を預けたのは、このままだと「若きクリエイターの孤独と悲しみ」の話ばかりに偏ってしまうので、一旦「普通目線」に戻す必要があると思ったからなのです。


混乱させてしまって申し訳ない。



【青い血】


ナウシカの服は最初「ピンク色」だ。


彼女の服が青になるのは、王蟲の体液を浴びまくったからだ。

王蟲の身体に流れる様々な体液は「青い」。


宮崎駿が意図的にこの色を選択したかは定かではないけれど、とにかく「青」なのだ。

「若く」「純粋」で「未熟さ」や「孤独」「憂鬱」の色でもある青。


そう言えば、ナウシカと同時期に現れたパンクバンド「ブルーハーツ」も同じ意味を抱えたバンドだった。


そして当時10代だった僕も、完全に「青い男」だった。


理解されなくて、醜くて、地面を這いずり回るしかできない、悲しい「青い男」。

そんな「俺たちの色」に染まってくれた女が「ナウシカ」なのだ。


僕たちは表面的にはカッコつけて「知識」や「理論」で武装しているけど、心のなかではそんな「ナウシカ」の胸で泣きたいと思っている。(言えないけど)



【金色の野】


作中の伝説では「青き衣をまとい」「金色の野に現れる」とある。