マテリアル駅伝という名のレジスタンス
「シンジくん、あなたは何もしないで」
このセリフは「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」で、ミサトたちがシンジに言ったセリフだ。
いや、その理由を説明してやれよミサト!リツコ!!
…てか、ちょっと待てよ、これって、今の俺たちのことそのままじゃないか。。??
家にいろ、出歩くな、人に会うな、できる限り自粛してくれ。
余計なことは何もしないでくれと、緊急事態宣言を出した政府が言っている。(まぁ理由はコロナを抑えるためってのがわかってはいるが)
しかもそれを破ったものは罰則が課せられるかもしれない。(それでも首輪つけられてともすれば爆破されるよりマシだが)
なるほど、多少強引だが俺たちはあの時のシンジと同じようなもんか。
ふらっと旅に出て感染したり、それを知らずに誰かに伝染させてしまうかもしれない。
クラスターなんか発生させたりしたらそれこそ医療崩壊の始まりである。
ヤケになって無茶なことするとフォースインパクトが起こる、シンジと同じ状況である。やれやれ。
というわけでこんな状況で前向きなことなんて何も書けんわな。
ピアノ弾こうかと思ったけどピアノもないし、連弾相手を呼んでくるのもなんか悪いしよ。
愚痴ばかりにもなるというか、そう、愚痴ばかりになる。
まったく、イケイケの新自由主義全盛期が懐かしいよ。
ごきげんでいることが非常に困難な時、何をすればよいか。
一生懸命探しました。
…見つかりました。(えっ?)
これめちゃくちゃシンプルなんだけど、あえてめんどくさく説明するね、いつもの小林秀雄スタイルで。
先ずはこの宣言から。
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(前略)
…最後に、この企画の本質について話しておきます
この『マテリアル駅伝』…けっこう最初参加者少なかったんだけど、迷ってる人からよく聞いたのが「自分でもできるかなぁ」的なことでした
その気持ちもわかります
だけど今回は我々みんなが初参加の企画なので、条件は同じです
どんな技術やキャリアがあったとしても、そもそも何が入ってるかわからない箱が届くんだから、準備とかしても無駄です
しかも基本的に1週間しか制作期間がないし、動画だってロクな機材もないんだから、これはそもそも失敗作を創るってことなんです
もっと言うとこれからみんなが作る作品と動画自体がイレギュラーであり、トラブルであり、ハプニングそのもの
だって、こんなことすることそのものが予定してなかったことなんだから
だから「期日までに完成させられるかな」とか「次の人に迷惑かけたら悪い」とか、そういう“ちゃんとしよう”みたいな思考やスタイルはあきらめてください
もちろんその他にも、単純に送り先間違えたとか、台風や病気やサボりや失踪など、いろんな予期せぬことが起こると思います
でもそれは当然です
実はこの企画はそれを最初からアクセントとして入れ込んだゲームなので、それがないと逆におもしろくないんです
なのでどうぞ大いに失敗してください
だって、プライベートじゃ失敗するのヤでしょ?
だから美術部では失敗しまくって笑い合いましょ
というかコロナしかり、何も起こらないなんてありえないのが人生ですし、トラブルもハプニングもすべてその動画に、ドキュメントとして入れ込んじゃってくださいな
これは余談だけど、運ばれてくる偶然、巻き起こるトラブルを、さも当然と思うことで楽しむ
そのうちいつの間にか、あの日の当然は今への必然に変わってる
それが人生の楽しみ方だと、俺は旅から教わりました
俺のストロングスタイルです
今それを、企画としてみんなにプレゼントします
真剣な大人の遊びは完成や、成功や、答えを求めちゃいけません
子供のころ、意味もなくグルグル回ったり、奇声を発しながら踊ったり、どしゃ降りの雨の中で歌うみたいな、あの眩しい混沌(イリンクス)が、もし何かを作ることで味わえたら
大人の、圧倒的な理性と経験と想像力を駆使してその光を垣間見れたら
そんな実験?かもしれないね、このマテリアル駅伝は
どんな作品が、どんなトラブルが、どんな物語ができるのか、来年2月の完走が楽しみで仕方ないよ
それでは、第1回ヤンサン美術部『マテリアル駅伝』開幕デス‼️
2020.10.5
明るく、楽しく、激しい美術駅伝を、ストロングスタイルで
奥野晴信
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…これは最後の日付通り10月頭に、ヤンサン美術部の「マテリアル駅伝」という新企画の参加者のみに送った開幕宣言である。(ルール等はここに載せるとややこしいので割愛した。ぜひ後述添付の動画をご覧いただきたい)
この「マテリアル駅伝」という企画は最初、2020年に予定していた第4回ヤンサン美術部展がコロナ禍により無期限延期を余儀なくされたことによる、何かしらの代替案として考えた企画だった。
まぁ言ってみれば何もできなかった美術部と俺の憂さ晴らしみたいなもんなんだが、やるからにはちゃんと意味をつけたいし、個人的にもしっかりカッコつけたいし、少しでも参加者のモチベーションが上がるようにと、上記の開幕宣言のようなものを書いた。