第6テーマ「ロケットで宇宙を目指す」の事前学習課題について,まとめましょう。
このプログラムで学ぶことは,あなたの生活とかけはなれたムズカシイことではありません。なぜなら,スマートフォンや自動車で利用されているGPS機能,天気予報に用いている人工衛星をどうやって宇宙に持っていくかという話だからです。

今回は実際に実験をして考えました。

課題1 (有効回答数37)

1 できるだけ重いものを載せて,遠くまでものを運ぶためには,どのような設計が必要でしたか? 

いくつかの回答は非常に細かく実験条件を制御してくれています。
  • 機体は重さを軽くして、バランスよく尾翼をつけ、真っすぐ 飛ぶように、形を整える。輪ゴムの強度は、強いほうがよいが 強すぎると飛ばすときに不安定になるので、成功率を上げるために、強すぎないものにする。 ロケットを遠くに飛ばすためには、うまく放物線を描けるよう に発射台の角度を決めることが必要で、上に飛ばすには、発射 台を安定させることが重要である。 
  • 筒を長くして安定して飛ぶようにしなければならない。また、荷物は後ろに乗せるより前に乗せたほうが安定した。そしてできるだけ輪ゴムの数を多くしたほうが良い。しかし輪ゴムが強すぎると機体が壊れやすいので3本ぐらいがちょうどよかった。
  • ぼくのした工作実験では、ゴムが1重と2重場合で比較すると、ゴム2重の方がよく飛んだので、まずは強い動力が必要。 第2に、筒の重さを25gに条件をそろえ、直径5.5センチ・長さ11㎝のものと、直径9㎝・長さ4.5㎝のものとを飛ばして比較した。結果は、縦の長さが短くて、直径が大きいものの方がよく飛んだ。 比翼をつけたものとつけてないものは、飛距離は変わらなかった。つまり、形は太くて短い筒型が良い。 
  • まず、重いものを乗せる場所はどこが一番良いのか実験をしました。上、真ん中、下にそれぞれおもりをつけて比べてみました。結果は真ん中が一番安定して遠くまで飛びました。私の推測では、例えば、セグウェイは前に体重をかけると前に倒れる(進む)し、後ろに体重をかけると後ろに倒れ(進む)ます。ですが、前後のどちらにも体重をかけずにいると安定します。ロケットも同じで真ん中に重心を置くと安定しました。
全員を紹介できないのは,残念ですが,かなり実験を繰り返して考えていますね。簡単に見える実験ですが,目標を決めて実験をすると,さまざまな工夫が必要になります。

今回も見える化エンジン(プラスアルファ・コンサルティング社)でテキスト・マイニングを行いました。全体のマッピングは以下の通りです。

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図2 マッピング

全体の傾向としては,バランスに関する話題と輪ゴムに関する話題に分かれていることがわかります。単語のランキングからは,ゴムの話題が多いことがわかります。

表1 単語の出て来る回数ランキング

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・小中学生の差は?
小中学生の違いはあるでしょうか?

表2 小学生の回答
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表3 中学生の回答
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小学生と中学生のもっとも大きな差は『バランス』に注目しているかどうかのようです。中学生では単語が出て来る回数1位のバランスが,小学生では20位以内にランクインしていません。

・男女の差は?
男女間には差があるでしょうか?
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図2 男子

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図3 女子

男女ともに左側のグループでバランス,右側のグループでゴムの強さを考えています。女子の数が少ないという点はありますが,男女の差はあまりないと予測できます。

2〜4 バランス,ゴムの強さ,ロケットの長さを変えて検討
・バランスを変えると,どうなる?
  • 後ろに重心を置くと機体が回り安定した飛行が出来なかった。しかし前方に重心を置くときれいな放物線を描いて、安定して飛んだ。コントロールをよくするためには、前のほうに重心を置いたほうがいい。
  • 同じように重さをつけてバランスをとったときコントロールへの影響は、とてもいいと思います。その理由は、重さにばらつきがないので思ったところに飛ぶのではないかと思ったからです。
・ゴムの強さを変えると,どうなる?
  • ゴムの強さは、ゴムを重ねて強くした方が遠くまで飛んだ。 ゴムを引っ張る時に、伸ばす長さを図りながら飛ばしたが、トイレットペーパーの芯では、約6センチ以上は伸ばす必要があった。 紙が太い重さのある芯では、10センチ以上は必要。 コントロールそのものには、直接的な影響はなかった。 
  • 重りをつけずに、輪ゴム1本のときと、輪ゴム2本のときを比較してみると、輪ゴム1本だったら、少し左にいったけれど、このロケットが飛ぶ普通の距離を飛びました。輪ゴム2本だったら、これも少し左にいったけれど、輪ゴム1本のときよりも1.5倍くらい飛びました。
・ロケットの長さを変えると,どうなる?
  • まず、紙筒の長さは長いのと、短いのではどちらがよいのか実験しました。トイレットペーパーの芯をそのままの長さと半分にしたもので比べました。結果は半分の方がよくコントロールできました。私の推測では、芯が半分の方が空気抵抗が少なく済むので、よくコントロールができるのだとと思いました。
  • 紙筒の長さを変えるとロケットのコントロールへの影響は、紙筒が長いほどコントロールが上手くとれると感じました。距離も伸びるのでとてもよかったです。
以上,何名かを代表して回答を紹介しました。紹介できなかった回答も含めて,実験内容を整理して,オリジナルな方法を検討できていました。

日本でのロケットの開発は宇宙航空研究開発機構(JAXA)を中心に行われています。来るべき宇宙時代に,みなさんならロケットを設計するでしょうか?