主張

いまいくつ?

「政党らしい政党」伸ばす年に

 いまの選挙制度になってもっとも多い、12の政党で争われた総選挙から間もなく1カ月―。いま政党の数はいくつですかという問いに、すぐ答えられるひとはどれだけいるでしょうか。

 「新党大地」「新党改革」「新党日本」は総選挙で議席を減らし「政党」の要件を失いました。「国民新党」も獲得議席が少なく政党として残るかどうか論議を呼んでいます。選挙直前登場した「日本未来の党」は「未来の党」と「生活の党」に分裂しました。一方、政党の離合集散の中で「みどりの風」が「政党」に復帰しました。政党の消長はめまぐるしい限りです。

助成金目当ての「政党」

 総務省は毎年1月1日現在で国会議員が5人以上か、国会議員が1人以上で国政選挙での得票率が2%以上の政党を、助成金を受け取ることのできる「政党」の要件としています。「国民新党」も前々回参院選では得票率2%を超えているので要件は満たしますが、「政党」の届け出は基準日から15日以内なので、確定は少し先です。

 もちろん政党は、国民が思想・信条の自由にもとづき政党の憲法ともいうべき綱領や組織として不可欠な規約を認めて自由に結成するもので、政党助成金がもらえるかどうかというのは本来関係のないことです。日本共産党は政党助成金の受け取りを拒否していますが、立派な政党です。衆参でそれぞれ2人以上ならつくれる「会派」も政党といえば政党です。政党の数は単純ではありません。

 1995年に政党助成金が導入されてからは、選挙である程度の得票や議席が見込めれば、綱領や規約はそっちのけでも「政党」を名乗る傾向がますます強まっています。民主党はいまだに綱領がありません。「日本未来の党」も、政党の体裁を整える間もなく分党し、党首も交代しました。選挙のときだけの「選挙互助会」という「政党」も少なくありません。毎年1月1日の基準日前になると政党の分裂や新党結成が目立つのは近年の傾向ですが、こうした党は本来なら政党とは呼べない「政党」です。

 政党助成金は思想・信条に関わりなく国民1人当たり250円の負担を押し付け、税金で政党を助成する、憲法違反の制度です。日本共産党は制度発足以来1円も受け取っていません。発足以来の支給額は5677億円にのぼります。「日本未来の党」は「生活の党」に分党したため、助成金はほとんど「生活の党」にはいる計算です。

 政党ならば当然、国民と草の根で結びつき、地域や職場に組織の根を張るべきなのに、党員の党費や支持者の寄金で賄うべき財政も、自民党は約7割、民主党は8割以上を政党助成金に依存しています。政党助成金は、政党の足腰を弱め、国民との結びつきを断ち切る、文字通り政党劣化の元凶です。

民主主義担う土台

 政党が乱立し離合集散を繰り返した総選挙の結果を受け、いったい政党とは何かを問い直そうという議論が出ています。政党助成金目当ての、政党とは呼べない「政党」は論外ですが、政党の役割が終わったようにいうのは早計です。

 国民を代表する政党は民主主義を担う土台です。しっかりした綱領を持ち国民と草の根で結びついて活動する、日本共産党のような「政党らしい政党」が求められます。新しい年こそ、その出番です。