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党首討論会 メディア注目―「自共対決」論戦に決着
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党首討論会 メディア注目―「自共対決」論戦に決着

2013-07-13 17:34

     参院選投票を前にしたテレビ・ネット中継での党首討論会が10日放映の「報道ステーション」(テレビ朝日)で終了しました。一連の討論会では、安倍政権の暴走を批判し、どんな問題でも抜本的対案を提示する日本共産党の志位和夫委員長と自民党・安倍晋三総裁(首相)のやりとりが注目をあびました。大手メディアの記者からも「首相は共産党を意識した発言がけっこう目立ってきている」(8日、国会内の記者会見)との声があがった“自共対決”の実相は―。

    暮らし・景気

    志位 所得増やせと対案

    首相 「内部留保多い」認める

     志位氏は街頭演説で、聴衆の笑いを誘います。「安倍さんは“デフレが賃下げの原因だ”という。これはアベコベですね。アベコベミクスですね」

     この指摘のように首相は、「デフレ下では賃金は絶対に上がらない。それどころか、毎年毎年下がっていく」(7日、NHK)と主張します。志位氏は「原因と結果を取り違えています。長期にわたって国民の賃金が下がってきた、労働法制の規制緩和をやってきた結果が、デフレ経済をつくっている」と真っ向から反論しました。雇用のルールを壊し、史上空前の消費税大増税までかぶせ、いっそう国民の所得を奪うアベノミクスは「180度間違っている」とピシャリとたしなめています。

     「共産党だから紙に書けばいいかもしれないが…」と反論を試みる首相に対しても、しっかりとした雇用のルールを持つ欧州を例に出し、「EU(欧州連合)でやっていることが日本でやられていない。世界のスタンダード(標準)が日本でやられていない。これは自民党政治の異常なんですよ」と批判しました。

     雇用が60万人増えた、有効求人倍率も0・9に戻った―。あれこれの数字を挙げて実体経済がよくなったという首相に、「雇用が60万人増えたといいますが、増えたのは非正規で116万人。正社員は1年で47万人減っている。正社員から非正規社員の置き換えがおこっています」(7日、フジテレビ系)とズバリ切り返した志位氏。「大企業の内部留保の一部を活用し、所得を上げていくという転換が必要です」

     討論で首相は問わず語りにこう言いました。「いま志位さんから、企業の内部留保が多すぎる(という指摘がある)。私たちも同じだ。しかし、バブル崩壊の経験から内部留保をなかなか崩せない」(7日、NHK)

     志位氏は街頭でこう訴えています。「そこまで認めるなら、経済界に正面から『内部留保を活用して賃上げをおこなえ』と迫るべきではないですか」

    原発

    志位 再稼働は論外 ゼロに

    首相 避難計画でごまかし

    「地元の同意を得る努力をしながら、再稼働していきたい」「責任ある立場としていま(原発)ゼロとはいえない」(9日、TBS)―。

     昨年総選挙で公約した“原発に依存しない社会”をすっかり投げ捨てた首相に、「現実的に考えたら再稼働ができるかと(いいたい)。事故の収束がされていない、原因究明もされていない。いまなお15万人が避難生活を強いられている。そのもとでの再稼働は論外だ」という立場から「原発即時ゼロ」を迫ったのが志位氏です。

     原発の「新規制基準」についても「大穴だらけだ」と批判。重大事故が起こったさいの「避難計画」をとりあげ、関連する自治体の63%でつくられていないことを指摘しました。「住民の命より原発のもうけを上におくとんでもないことだ」(TBS)と厳しく批判しました。

     その場で「県と市町村が避難計画をつくっていくことになっている」としか答えられなかった首相は、翌日の「報道ステーション」での討論で“反論”を試みます。「志位さんが『避難計画』が60%できていないと言われた。確認したが、今の段階で八十数%できている」

     志位氏は「それは防災計画ですよ。避難計画と防災計画は違います」とピシャリ。首相は「あと1カ月で福井でもできますから」と返すのが精いっぱいでした。

     ツイッター上には、「勉強不足」「ごまかしが破たんしたら再稼働はやめるべき」などのつぶやきが書き込まれました。

    憲法

    志位 自民草案は人権抑圧

    首相 「97条削除」答えられず

     9日放映のTBS「NEWS23」。志位氏は、自民党の改憲草案を「本当に恐ろしい内容だ」として二つの問題点をあげました。

     一つ目は、憲法9条を変えて「国防軍」をつくり、「アフガン、イラクのような戦争で米軍とともに最前線に出て行き、『殺し、殺される国』に変えてしまう」ことです。二つ目は、「基本的人権は侵すことのできない永久の権利」との97条を削除し、表現の自由などの基本的権利が「公益及び公の秩序」の範囲内でしか認められないことです。

     志位氏は「法律の範囲内でしか国民の権利を認めなかった大日本帝国憲法時代に逆行するもの」と批判しました。

     翌10日の「報道ステーション」で首相は“回答”を用意してきて、「基本的人権は侵すことのできない永久の権利」との文言は自民草案では「11条に残した」と弁明しました。

     すかさず志位氏は批判しました。「安倍さんは11条に入っているからいいとおっしゃるが、現行憲法の97条は第10章の憲法全体を統括する最高法規のなかに入っており、これを削り、“公益及び公の秩序”で制約すると基本的人権に対する重大な抑圧の危険がある」

     首相は、最高法規の章から外したことについて答えられませんでした。また、「国防軍」については、憲法9条2項があるため海外での武力行使はできず、「(これまで)自衛隊は一人の外国人も殺していない」との志位氏の指摘に対し、「一発の弾も撃っていないのは(日本が)侵略されていないからだ。抑止力が効いている」と意味不明な主張を展開しました。

    外交・歴史

    志位 村山談話踏襲するか

    首相 話そらし、持論展開

     7日のNHKで首相は、「日米同盟関係が日本の外交・安全保障の基軸」と主張。民主、維新、みんな、生活などの諸党も、相変わらず「日米同盟基軸」という呪縛(じゅばく)から抜け出せない認識を示しました。

     「(共産党は)土台から日米基軸を変えるべき立場」と司会者から紹介された志位氏は、環太平洋連携協定(TPP)交渉参加、沖縄・米軍基地問題などで「アメリカいいなり政治を続けていいのかということが問われる」と主張し、「9条を基軸にした平和外交」「安保条約を廃棄して日米友好条約を結ぶ」などの党の外交政策を示しました。

     歴史認識問題をめぐっては、志位氏はTBSで、過去の「植民地支配と侵略」を反省した1995年の「村山首相談話」の認定を引き継ぐかどうか首相の認識をただしました。

     しかし首相はまともに答えず、“それよりも日中首脳会談が行われないのは歴史問題でなく尖閣問題”“外交と歴史問題は別。中国は尖閣を外交に活用している”などと話をそらしました。「私の質問に答えてください」との志位氏の抗議にもかかわらず延々と持論を展開。これには司会者も首をかしげ、「安倍さんは歴史認識と外交は別との認識ですが、外交交渉をやるなかで(過去の)戦争の評価は出てくる」と反論される始末でした。

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