日米の軍事一体化進む
2012年度(12年4月~13年3月末)に自衛隊と米軍が実施した共同演習(日米が参加した多国間共同訓練含む)が、少なくとも44回、のべ854日に上ることが、防衛省への本紙の情報公開請求などで分かりました。
演習日数では、11年度(715日)と比べ139日増と激増。10年度の759日を上回り過去最多となりました。回数は11年度比4回減となりました。
米国などでの海外訓練増加が日数激増の主な要因。日米の軍事一体化と自衛隊の海外遠征部隊化が加速していることを示しています。
安倍内閣は17日、外交・安保政策の中長期的な指針となる初の「国家安全保障戦略」と新「防衛大綱」を決定しました。集団的自衛権の行使をにらんだ「積極的平和主義」を掲げ、世界の「主要プレーヤー」として、軍事面でも関与していく姿勢を打ち出し、自衛隊の統合運用と日米同盟の強化に力点をおきました。演習の増加はそれと合致するものです。
陸上自衛隊は、米海兵隊や米陸軍との実動訓練がそれぞれ増えて過去最多となりました。
陸自による米海兵隊との実動訓練では、12年8月21日~9月26日(米領グアム)と13年1月15日~2月22日(米カリフォルニア州)の2度にわたり、「離島奪還」を掲げた強襲揚陸訓練を実施。米カリフォルニア州における訓練では、米海兵隊の垂直離着陸機MV22オスプレイを初めて使用しました。
南西諸島防衛強化を口実に「大綱」が明記した本格的な水陸両用作戦能力の強化につながる動きです。
陸自と米海兵隊による実動訓練は、「大綱」に盛り込まれた「島しょ部に対する攻撃への対応」を先取りし、「大綱」に具体化されました。
海上自衛隊は、イージス艦「みょうこう」などが5カ月近くにわたって米国での訓練に参加。隔年で開かれているリムパック(環太平洋合同演習)への参加など、米国派遣訓練が前年度比120日増と過去最多となりました。
航空自衛隊は例年同様、米領グアムでの「コープ・ノース」(グアムにおける日米豪共同訓練)に参加。米軍に加えてオーストラリアも正式に参加しました。アラスカ州で実施された「レッド・フラッグ」でも豪州軍との共同演習を行い、日米豪の軍事一体化も加速しています。