主張

待機児童の急増

保育所大増設で事態打開を

 4月からの保育所入園をめぐる事態が、昨年にも増して深刻です。日本共産党東京都議団の調査では、都内で認可園を希望しても入れない児童は昨年より3919人増えて2万5992人(3日現在)となり、入れない割合は平均でも約4割、武蔵野市や世田谷区では6割にものぼります。さいたま市、川崎市でも過去最多の不承諾数です。まさに異常な事態です。

子どもたちが犠牲に

 父母たちの行動が今年も各地で膨らみ、東京の小金井市では60人の父母が、練馬区でも50人が、やむにやまれぬ思いから子ども連れで役所にかけつけ、「異議申し立て」をおこしています。「第5希望まで全滅」「入所できないと内定が取り消される」の悲鳴を、これ以上絶対に放置することはできません。

 国と自治体は、その責任で待機児童解消に足を踏み出すことが求められます。児童福祉法第24条は、保育に欠ける児童について、保護者からの申し込みがあった場合に、保育所で保育させることを市町村に義務づけており、現在の実態はこの法律に反した状況です。

 とりわけ国には大きな責任があります。待機児童の急増は、1980年代からの保育所運営費の国庫負担割合の引き下げや、「規制緩和」「民間委託」「民営化」の施策のもとで、認可保育園をつくらずに済ませてきた自民党政治によってつくりだされたものだからです。

 待機児童数が急増し始めた90年代後半から、政府は「詰め込み」と「民間任せ」で対処してきました。定員を年度当初115%、年度途中125%の基準さえなくした結果、「廊下でお昼寝」などをひろげました。職員の目が行き届かなければ命の危険が生じます。「民間任せ」のもと2011年までの10年間に私立保育園は2390カ所増える一方、公立は2927カ所も減らされました。もうけ優先で「高架下の保育園」もうまれています。一番の犠牲者は子どもたちです。これでは子どもたちの豊かな発達は保障されません。

 この間の父母や保育関係者の運動と日本共産党のたたかいによって認可保育所増設にとりくむ自治体もうまれていますが、思い切った大幅増設が必要です。

 安倍政権が“女性の活用”と言ってすすめる待機児童解消は、園庭のないビル内の企業園や株式会社の参入です。ましてや「子ども・子育て支援新制度」はさらに企業参入を促し、基準を緩めた小規模保育の活用をすすめて公的保育を後退・解体させるものであり、「認可保育所に入りたい」の願いにこたえるものではありません。

 国と自治体がその気になれば、待機児解消は可能です。日本の子育て予算は国内総生産(GDP)比でフランス、スウェーデンの3分の1です。増額が不可欠です。

国有地など活用し

 待機児童の6割強が大都市圏に集中しています。すでに日本共産党は国有地、都有地などの活用を提案しています。保育所整備への用地取得費用、補助事業の拡充と減額貸し付け、無償貸与などを行えば道は大きく開けます。保育士の待遇改善と確保、学校の空き教室などを利用した認可基準での緊急保育、無認可保育所への補助強化なども待ったなしです。

 日本共産党は、希望する子どもたちがいつでもどこでも入所できる保育行政へ奮闘します。