いすゞ自動車が臨時従業員の賃上げなどを6月1日から実施することが18日、分かりました。JMIU(全日本金属情報機器労働組合)いすゞ自動車支部に提案したものです。

 臨時従業員の基本日給9000円を9100円に、100円引き上げます。月額で2000円以上の賃上げになります。残業代も上積みになります。

 いすゞでは今春闘、正社員に月額平均2500円のベースアップ(ベア)を行いましたが、非正規雇用の待遇改善策を打ち出していませんでした。

 JMIUは春闘要求で▽全労働者の賃上げを行う▽臨時従業員を2年11カ月で雇い止めする施策をやめて正社員化する▽慶弔休暇や有給休暇などでの正社員との差別的な取り扱いをやめる―ことなどを掲げ、4回の団体交渉を重ねてきました。栃木県の栃木工場と神奈川県の藤沢工場で門前宣伝も行いました。

 5月12日の団交で、会社側は臨時従業員の賃上げに応じない姿勢でしたが、組合側はこれからも待遇改善を要求し続けると強調。2日後の14日、会社が賃上げを提案しました。

 会社は60歳定年後の再雇用者(契約1年更新の有期雇用)に対しても、基本給を日額9800円から9920円に引き上げ、特別賞与として夏冬それぞれ6万円支給すると決めました。

 JMIUいすゞ自動車支部の星野貞雄特別執行委員は「組合が要求を貫き、賃上げを求める社内外の世論が盛り上がったことで賃上げを実現することができた」と話しています。

 いすゞでは、2008~09年に「非正規切り」された労働者がJMIUに加入して正社員化を求める裁判をたたかっています。現在、会社の業績回復によって採用再開された臨時従業員もJMIUに加入しています。