日本共産党の宮本岳志議員が20日、衆院本会議で行った教育委員会改悪法案(地方教育行政法改定案=内閣提出)と民主・維新提出の対案に対する反対討論は以下の通りです。

 内閣提出法案は、教育行政の責任の明確化と称して、教育委員長と教育長を一本化し、首長が直接任命する新教育長を教育委員会のトップにするものです。一方で、教育委員会の教育長に対する指揮監督権は奪われます。

 また、地方自治体の教育政策の方針となる「大綱」を首長が決定するとしています。「大綱」には、「学校統廃合を進める」「愛国心教育を推進する」など、教育委員会の権限に属することまで盛り込むことができ、教育委員会にその具体化をさせる仕組みです。

 これでは、教育委員会を首長任命の教育長の支配化に置き、教育行政への首長の介入に道を開くことになりかねません。

 この法案の狙いは、侵略戦争美化の安倍流「愛国心」教育の押し付けと異常な競争主義を教育に持ち込むことにほかなりません。

 質疑でも明らかにしたように、この間、安倍政権・自民党は、歴史教科書を安倍流「愛国心」に沿って改めさせる圧力を加え続けてきました。

 太平洋戦争を「アジア解放のための戦争」と教える歴史逆行の特異な教科書を、「教育基本法にもっともふさわしい」と賛美し、全国の学校で使わせようとしています。

 しかし、多くの教育委員会はこうした教科書を採択していません。そのため、教育委員会を弱体化させ、国と首長の政治的圧力で、そのような特異な教科書を採択させようというのです。下村大臣が、「教育勅語」を「至極まっとう」と評価したことは、決して偶然ではありません。

 そもそも教育は、子どもの成長・発達のための文化的な営みであり、教員と子どもとの人間的な触れ合いを通じて行われるものです。そこには、自由や自主性が不可欠です。

 だからこそ、戦前の教訓も踏まえ、憲法のもとで政治権力による教育内容への介入・支配は、厳しく戒められてきたのです。

 本法案は、教育委員会の独立性を奪い、国や首長が教育内容に介入する仕組みをつくり、憲法が保障する教育の自由と自主性を侵害するものであり、断じて容認できません。

 民主・維新の法案は、教育委員会制度そのものを廃止し、教育行政の責任者を首長としており、到底賛成できません。

 日本共産党は、安倍政権の危険なたくらみを打ち砕き、教育と教育行政の自主性を守るため全力で奮闘することを表明します。