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行き場なき お年寄り―医療・介護改悪の狙い
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行き場なき お年寄り―医療・介護改悪の狙い

2014-05-26 10:42

     参院に送られた医療・介護総合法案。政府・与党は会期内成立をねらっています。医療・介護の制度を大本から変える中身を見てみると―。

    介護保険

     介護保険で「要支援1・2」と認定された人(160万人)は「訪問介護」と「通所介護」を介護保険では受けられなくなり、市町村による「地域支援事業」の対象に置き換えられます。要支援者を丸ごと介護保険制度から追い出すというかつてない内容です。

     サービス内容は市町村任せで、5~6%の伸びで増えていく給付費も3~4%の伸びに抑え込みます。予算が圧縮され、サービス単価や人件費切り下げ、利用者の負担増となることは必至です。

    特養ホーム

     特別養護老人ホーム(特養ホーム)の入所者を「要介護3以上」に限定する、かつてない改悪を行います。

     特養ホームの待機者は52万人を超え、そのうち17万8千人は「要介護1・2」の人です。これらの人は「虐待」など一部の例外を除いて対象外となり、待機者の枠からも除外されてしまいます。

     行き場のない高齢者が、劣悪な環境の「お泊まりデイ」などを“漂流”する事態に拍車をかけるだけです。

     政府は、「サービス付き高齢者住宅」などを“受け皿”にするといいますが、月15万~25万円もの負担が必要です。特養ホーム申請者の多数は貧困・低年金であり、“受け皿”にはなりえません。

    2割負担に

     これまで1割負担だった介護保険サービスの利用料が、これからは2割負担になります。対象者は「合計所得160万円以上」(単身者)で、高齢者の2割におよびます。

     在宅では、要介護1が7700円から1万5400円になるなど軒並み倍加。特養など施設でも要介護1をのぞいて入所者すべてが負担上限額(3万7200円)に達します。

     収入の少ない人が施設に入った場合、食費・居住費の負担を抑える「補足給付」(103万人利用)も縮小します。預貯金が一定額ある人や、世帯分離をしていても配偶者が課税の場合は打ち切り、月2万~7万円の負担増を求めます。

    病床の削減

     “入院難民”“看(み)取り難民”が社会問題になっているのに、病床(入院ベッド)の大幅削減を進めます。

     都道府県に「病床再編計画」をつくらせ、従わない場合はペナルティーまで科して在宅に押し戻す計画です。

     診療報酬改定でも、重症患者を治療する病床の基準や入院できる日数制限などを厳しくします。早く退院させないと病院の収入が減るため、“患者追い出し”が強まります。

     安倍内閣は、高齢化のピークとされる2025年までに202万床が必要なのに、43万床も減らす計画です。

     地域で医療や介護が受けられる「地域包括ケア」をつくるといいますが、訪問看護師は全体の2%、わずか3万人。介護職員は100万人も不足です。これでは“絵に描いたもち”です。

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