解釈改憲による集団的自衛権行使容認で「海外で戦争する国」づくり、あからさまな軍国主義復活を狙う安倍政権が、武器輸出を成長戦略の一環に据え、輸出を禁止してきた「武器輸出三原則」の撤廃にともなう暴走を始めています。武器国際展示会への日本企業出展を推進したほか、軍需産業を育成し「国際競争力を強化」する「新戦略」を防衛省が打ち出しました。まさに、官民一体の“死の商人”です。
防衛省は19日、およそ10年先までの国内軍需産業の強化・支援方針を示した「防衛生産・技術基盤戦略」(新戦略)を決定しました。安倍政権が武器禁輸から輸出推進へ転換したことを受け、軍需産業の海外展開・国内基盤を国策として後押しするもの。大学や研究機関を動員して産官学共同で武器開発体制を構築する方針も打ち出しました。
「新戦略」により、武器の自主開発と国産の推進を定めた「国産化方針」(1970年通達)は廃止。国際共同開発や輸出を前提とする方針へ転換します。
軍需産業に対して▽武器輸出関連事業に対する財政投融資▽国と企業の不正の温床となってきた随意契約の活用▽財政法で定める上限5年を超える長期契約の導入―など、これまでの枠組みを超えた優遇策の検討を明記しました。
政府自身も防衛省の外局として武器調達関連部門を統合する防衛装備庁(仮称)を創設し、体制強化します。
また、「大学や研究機関との連携強化」として学問・民間分野への資金提供と研究成果の活用を打ち出しました。産官学一体で国の軍事政策への協力体制を平時から敷くもので、米国などのように大学が最先端の武器開発に動員させられる危険があります。
防衛省が次期主力戦闘機として導入を進めるF35A戦闘機のアジア太平洋での整備拠点を国内に設ける考えも示しました。
武器国際展示会―武田防衛副大臣が人に銃口
「持っている国力を発揮できる環境を安倍内閣がつくったわけだから、それを生かしてどんどん成長していっていただきたい」。パリ郊外で開かれている武器国際展示会「ユーロサトリ」で16日、安倍内閣の官民一体による異常な“死の商人”路線を誇示した武田良太防衛副大臣。異常なのはそれだけではありませんでした。
TBSが17日のニュース番組で放映し、番組のネットサイト上でも公開されている映像には、展示されていた訓練用の模擬銃を武田氏が手に取り水平に構える姿が。しかも、銃口を人に向け、引き金には指もかかっています。その直後、銃口を向けられた人が嫌がって手で振り払う姿も映し出されました。
各国の駐在武官などの軍人も多く来場する展示会での異常な振る舞いに、ツイッター上では海外での“死の商人”ぶりを発揮する武田氏への厳しい批判とともに「集団的自衛権(行使)を認めたら途端に引き金を引いて戦争を始めそうだ」などの批判も出ています。