公明は調整へ
自民党の高村正彦副総裁は24日、自民、公明両党の解釈改憲に関する協議会で、閣議決定文の最終調整に向けて、従来の「自衛権発動の3要件」に代わる「武力行使の3要件」の修正案を「座長試案」として新たに提示しました。修正案は解釈改憲に慎重姿勢を示す公明党に“配慮”する体裁をとっていますが、集団的自衛権に加えて、集団安全保障の軍事的措置参加にも“抜け道”をつくっており、海外での無限定の武力行使が可能な点は何ら変わっていません。 (関連記事)
試案は、4カ所にわたって文言を調整。公明党の意見を反映し、第1要件の「おそれ」という表現を「明白な危険」に、「他国」との表現を「密接な関係にある他国」と変更しました。
これにより、公明党は集団的自衛権行使を、米国などの同盟国が攻撃を受けた場合の、より切迫した事態に限定し、「厳格な歯止め」と主張したい考えです。
しかし、高村氏は会合後、この試案でも中東ペルシャ湾での戦時中の機雷除去を含め、議論してきた全事例が「視野に入る」と指摘。「弾丸が飛び交う中で(機雷除去を)やるかやらないかは(政府の)判断だ」と述べ、何の歯止めにもならないことを認めました。
また、「憲法9条の下で許容される自衛の措置」とした別の文書では、「国際法上は集団的自衛権が根拠となる」との記述に、「場合もある」との文言を潜り込ませました。
高村氏は軍事的な集団安全保障措置への参加の扱いについて、「両党でできるともできないとも決まっていない」と議論を“先送り”する方針を表明。一方、試案によって集団安全保障の容認も可能との見方を示しました。
公明党は前回協議で、集団安全保障も容認するよう求める自民側の提案に強く反発していた姿勢を一転。試案を持ち帰って党内調整に入る方針です。閣議決定では、集団安全保障に直接ふれないことで玉虫色の早期決着を図るものです。
高村氏は次回27日の協議会までに、試案をもとに閣議決定の最終案を作成するよう政府側に指示しました。