主張

現職知事の公約

普天間固定論は「無能」の証明

 目前に迫った沖縄県知事選(30日告示、11月16日投票)に立候補を表明している仲井真弘多(なかいまひろかず)知事の政策発表に怒りが込み上げてきました。仲井真氏は米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)の「県外移設」という4年前の公約を裏切り、名護市辺野古(へのこ)の新基地建設に向けた埋め立てを「承認」したことを正当化するため、「普天間基地を固定化させてはいけない」と強調しました。沖縄県民に新基地を押し付ける脅しとして安倍晋三政権が使う決まり文句と同じです。新基地建設に反対する県民を、これほど愚弄(ぐろう)するものはありません。

5年以内はまやかし

 仲井真氏は昨年11月の定例会見で、記者から「政府に取材をすると、辺野古が駄目なら固定化しかないといった声も聞こえてくる」として感想を聞かれたのに対し、次のように答えていました。

 「政府のどの筋の方の見解か知りませんが、固定化ということの意味を軽々にお使いになるのは、自分が無能だという表現なのです」「固定化するという発想、言葉が出てくるということ自身が、一種の堕落だと思います」「それをイージー(簡単)に口にされる人がいたとすれば、その人は、その任に置いちゃ駄目だと思うくらい問題がある発言だと思います」

 「県外移設」公約を裏切る前のこの発言はまさに正論でした。

 ところが、仲井真氏は先週末の政策発表では、「私が、(日本)政府のいろんな方々とお会いしてきた感じ、それからアメリカ政府、アメリカの安全保障関係の研究者の方々といろいろ議論した感じからいくと、普天間があのまま居続けかねない」と開き直りました。

 驚くべき、変わり身、日米政府への追従ぶりです。仲井真氏の言葉を借りれば、「『自分が無能』だという証明であり、『一種の堕落』であり、『その任に置いちゃ駄目』ということ」(日本共産党の志位和夫委員長)にほかなりません。沖縄県民を代表する知事としての資格がないことは明白です。

 仲井真氏は政策発表で、普天間基地の「5年以内の運用停止」を強調しました。しかし、その足場もすでに崩れています。

 米政府は一貫して、「5年以内の運用停止」の可能性を否定しています。最近も、安倍政権が2019年2月までの運用停止実現に取り組むとしたことに対し、米側は今月2日の日米協議で、「空想のような見通しだ」と強く反対したと報じられました。沖縄の地元紙も「『5年以内』がまやかしに過ぎないことは、もう誰の目にも明らか」(琉球新報)と断じています。

 保守・革新の垣根を越えて「オール沖縄」の代表として立候補を表明しているオナガ雄志(たけし)前那覇市長は政策発表で、オスプレイ配備撤回、普天間基地閉鎖・撤去、県内移設断念を求めた「建白書」実現へ、県政転換の決意を力強く語りました。

県民の声 総結集を

 仲井真氏はオナガ氏の主張を「非現実的」などと攻撃していますが、全く道理はありません。沖縄県民が一つにまとまれば必ず歴史は動く―。このことは、不可能と思われた祖国復帰実現など県民の「島ぐるみ」のたたかいで実証済みです。「オール沖縄」の声を総結集してオナガ氏を知事に押し上げれば、沖縄の新しい歴史がつくられることは間違いありません。