主張

辺野古の海上作業

強権に次ぐ強権は許されない

 沖縄の辺野古の海で、豊かな自然環境を壊し、県民の意思を踏みにじる蛮行が繰り広げられています。防衛省沖縄防衛局は、米海兵隊の最新鋭基地を建設する埋め立て工事に向けた海底ボーリング(掘削)調査のため、フロート(浮具)を固定する数十トン規模ともされるコンクリートブロックを辺野古の海に次々投入しています。翁長雄志沖縄県知事が工事の中止を要請した翌日(1月27日)に投入を開始するという、なりふり構わぬ強権ぶりです。沖縄の民意に敵意をむき出しにする安倍晋三政権に、民主主義国の政権を名乗る資格はありません。

深刻な環境破壊明らか

 ボーリング調査の実施海域を囲むためのフロートの設置により、既に環境破壊が引き起こされていることが明らかになっています。

 沖縄防衛局は昨年夏、フロートを固定するため海底に最大重量160キロの鋼板アンカー(いかり)248個を設置しました。ところが、このうち120個が昨年10月の台風通過後なくなっていたことを、中谷元防衛相が日本共産党の赤嶺政賢議員の追及に明らかにしました(1月30日、衆院予算委員会)。アンカーが海底を動いた痕跡も36本見つかっています。

 今年に入り、従来のアンカーの重量をはるかに上回るコンクリートブロックが投入されているのは海底で動くのを防止するためとされていますが、それがサンゴ礁破壊などさらなる環境破壊につながる危険があります。環境破壊の再発防止などはまったく念頭になく、ボーリング調査ありきの姿勢を示すだけです。

 加えて重大なのは、沖縄防衛局がボーリング調査のため巨大な「仮設桟橋」の建設に向けた作業を強行していることです。

 「仮設桟橋」は長さ約300メートル、最大幅25メートルとされ、大型ダンプトラックで5千台分という大量の石材を投入して造るものです。「事実上の埋め立て工事」だとの強い批判が上がっています。中谷防衛相はボーリング調査が終われば撤去する予定だと答弁しましたが、いったん石材で埋め立てられれば、取り返しのつかない環境破壊になることは明らかです。

 新基地建設に反対する市民らの海上監視・抗議活動に対し、海上保安庁が暴力的な威圧、妨害を行っていることは異常です。

 1月20日には、政府が不当に設定した立ち入り禁止海域の外にもかかわらず、海上保安官が抗議船に乗り込み、映画監督の影山あさ子さんに馬乗りして押さえつけ、カメラを奪おうとしました。赤嶺議員が沖縄の地元紙が報じた証拠写真を示して追及したのに対し、太田昭宏国交相が「写真の見方であろうと思う」と述べ、否定したのにはあ然とさせられました。

建設強行の根拠揺らぐ

 翁長知事は1月26日、安倍政権が新基地建設の唯一の根拠としている仲井真弘多前知事による埋め立て承認を検証する第三者委員会の設置を発表しました。検証の結果、承認に法的瑕疵(かし)があれば取り消しを検討し、瑕疵がない場合でも「辺野古の基地は造らせないという私の政策は変わらない」と語っています。新基地建設の根拠は根底から揺らいでおり、追い詰められているのは安倍政権です。新基地建設を断念させる運動と世論をさらに大きくする時です。