主張

企業・団体献金禁止

抜け道ふさぐには全面禁止を

 日本共産党が衆院に、企業・団体献金全面禁止法案を提出しました。通常国会冒頭の政党助成法廃止法案に続くもので、昨年の総選挙で躍進し、衆院でも獲得した議案提出権を活用したものです。

 「政治とカネ」をめぐる疑惑が、安倍晋三政権のもとであとを絶ちません。しかも、小渕優子前経済産業相の疑惑も西川公也前農林水産相の疑惑も、閣僚を辞任しただけで解明がつくされていないのは重大です。企業・団体献金は腐敗政治の温床です。疑惑の徹底糾明とともに、企業・団体献金を全面禁止し、腐敗政治防止の抜本策を取ることが不可欠です。

疑惑はあいまいにできぬ

 安倍政権のもとで昨年来噴出している一連の「政治とカネ」の疑惑は、関係する閣僚や政治家の多さとともに、いずれも真相の究明や責任の明確化がつくされていない点で、文字通り異常のきわみというべきものです。疑惑の糾明も腐敗防止の抜本策も取られないとすれば、それ自体、日本の政治を劣化させることになります。

 安倍政権で昨年から今年にかけ、「政治とカネ」の疑惑を指摘されて辞任した閣僚は、小渕、西川両氏に松島みどり前法相を加え3人にのぼり、第3次政権で再任を辞退した江渡聡徳前防衛相を入れれば、半年間に4人もが「政治とカネ」の疑惑で閣僚を辞めるという異常事態です。しかも、後援会の観劇費用を立て替えたなどの疑惑で経産相を辞任した小渕氏はその後も「捜査中」などを理由に真相を説明せず、選挙区内で「うちわ」などを配って法相を辞任した松島氏は、追及に開き直り、「反省」さえ示していません。

 西川前農水相が国から補助金などをもらっていた企業から企業献金を受け取った疑惑では、西川氏は閣僚をやめ献金を返しただけで、企業が補助金をもらっていたとは「知らなかった」などの口実で、罪を免れる態度です。相次いで明らかになった望月義夫環境相や上川陽子法相らの補助金をもらっている企業などからの献金疑惑もいまだ解明されていません。任意団体を利用した政治資金集めが明らかになった下村博文・文部科学相は、度重なる国会での追及にもしらを切り続けています。

 「政治とカネ」をめぐる疑惑があとを絶たない背景に、自民党などの政治家が企業・団体献金と税金で賄われる政党助成金の「二つの財布」を持ち、支持者や後援会員に金をばらまいてでも議席を確保しようとする、政治の著しい退廃・劣化があるのは明らかです。

 とりわけ営利目的の企業が政治家に資金を提供する企業・団体献金は、これまでもたびたび腐敗政治の温床として全面禁止が求められてきたのに、政治家個人はだめだが政治家が代表の政党支部ならいいとか、政治資金集めのパーティー券購入ならいいと抜け道が残されてきました。企業献金の抜け道を防ぐ全面禁止が不可欠です。

企業献金も政党助成金も

 国会議員を選ぶのは「国民固有の権利」(憲法15条)です。選挙権がない企業が献金し、金の力で政治を左右しようとするのは国民の権利を奪い損なうものです。

 企業・団体献金も政党助成金もただちに禁止すべきです。日本共産党が議案提出権を活用して提出した法案の成立に向け、国会での各政党の態度が問われます。