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日本共産党の堀内照文議員が12日の衆院本会議で行った労働者派遣法改悪案の質問(要旨)は以下の通り。
安倍晋三首相は、「戦後以来の大改革」などと称して、「正社員ゼロ」、労働者の使い捨て、長時間労働の押し付けと、さらなる過労死を生み出す「残業代ゼロ」制度など、雇用の破壊を進めようとしています。その最初の具体化がこの派遣法改悪です。
1985年の労働者派遣法審議の際、わが党は、直接雇用の原則に風穴を開け労働者の尊厳を奪うものだと批判しました。この派遣法制定から30年。この間、派遣労働の原則自由化、製造業への解禁などの規制緩和が進められ、非正規雇用が広がり、働く貧困層が増え続けました。
リーマン・ショック後、大量の「派遣切り」が社会問題となりました。登録型派遣や製造業への派遣禁止など規制強化の世論が高まりました。しかし、2012年改正までにそれらはほとんど骨抜きにされ、唯一残ったのが、期間制限違反などを犯した派遣先企業が労働者に労働契約を申し込んだとみなす規定でした。それさえ、施行は今年10月1日へ先送りされました。本法案が施行日を9月1日にしたのも、この「みなし規定」を実質発動させないためではないですか。
法案について具体的に伺います。
派遣労働は、あくまで臨時的、一時的な雇用が原則で、常用代替であってはならないと政府は説明してきました。しかし法案は、これを担保する派遣期間制限を効力なきものにしようとしています。
法案では、派遣労働者が派遣元に無期雇用されていれば、期間制限がかかりません。有期雇用に比べ身分が安定しているというのが理由ですが、無期雇用の派遣労働者も、派遣先の仕事がなくなれば契約を解除され、解雇されてしまいます。
リーマン・ショック後の「派遣切り」でも、常用型無期雇用の派遣労働者のうち雇用が継続したのは2割強で、離職者のうち解雇は94・3%にものぼっています。これで雇用が安定していると言えますか。
法案は、新たに事業所単位及び、個人単位で期間制限を設けます。
事業所単位では、同一事業所での派遣労働者の受け入れは3年を上限とするとしています。しかし過半数労働組合等から意見聴取し、仮に異議があっても対応方針等の説明をすれば、3年を超えての受け入れが可能になります。意見聴取と説明を義務付けただけで、どうして規制が強化されるのですか。派遣先企業の都合で歯止めなく派遣労働を使えることになります。
個人単位の期間制限は3年を上限とするというものの、部署さえ変えれば同じ派遣労働者をずっと使い続けることが可能となります。まさに「生涯派遣」と言われるゆえんです。そればかりか、正社員から派遣への置き換えがますます進むことになりませんか。
法案は、いわゆる専門26業務を廃止するとしています。一般業務との区別が分かりにくいというのが理由です。そもそも期間制限のない専門業務と言いながら一般業務と変わらない仕事に従事させてきたことが問題です。現状を追認するのではなく、専門業務をより厳密化し、3年を超えて働いてきた派遣労働者を派遣先に優先的に雇用させるべきです。
法案は、派遣労働者の正社員化を含む雇用の安定のためとして、キャリアアップやキャリアコンサルティングを定めています。教育訓練や情報提供、相談活動を進めても、それだけでは正社員への登用は保障されません。
派遣期間終了時に雇用安定化措置を派遣元企業に義務付けるとしていますが、派遣先企業へは義務を課さないのですか。派遣元に対して圧倒的に力の強い派遣先企業が断れば正社員への道は絶たれてしまいます。
安定した雇用というなら派遣先企業に雇用責任を果たさせるべきではありませんか。
法案は、昨年の臨時国会で公明党が示した修正案を取り込んでいます。3点伺います。
第一は、派遣労働が臨時的、一時的なものであることを原則とする旨を明記していますが、その原則を担保する保障はどこにもありません。しかも、条文は第25条「運用上の配慮」の条項に盛り込まれました。原則と言いながらなぜ「配慮」の位置づけなのですか。
第二に、施行後の動向を踏まえ、「日本の雇用慣行が損なわれるおそれがある場合は速やかに検討する」旨を付則に規定しています。政府自身が、本法案によって派遣労働が拡大することを危惧しているのではありませんか。
第三に、均衡・均等待遇のあり方を検討するため調査・研究等を行う旨を付則に規定しています。政府は均等待遇に背を向けてきましたが、これまでの姿勢をあらためるべきではありませんか。
今回の修正は、労働政策審議会では一切審議されていません。これまで労働法制を決める際には、ILO(国際労働機関)原則にのっとり、政府、労働者、使用者による労政審審議を通じて、法案が閣議決定され、国会で審議してきたのに、なぜですか。産業競争力会議や規制改革会議などの議論を政府の方針とし、厚生労働省の頭越しに法改正を迫るやり方は極めて異常です。
本法案は国民の反対の前に2度も廃案に追い込まれました。経済界の言うままに、労働者に「生涯派遣」を押し付けるような法案は廃案以外にありません。
安倍晋三首相は、「戦後以来の大改革」などと称して、「正社員ゼロ」、労働者の使い捨て、長時間労働の押し付けと、さらなる過労死を生み出す「残業代ゼロ」制度など、雇用の破壊を進めようとしています。その最初の具体化がこの派遣法改悪です。
1985年の労働者派遣法審議の際、わが党は、直接雇用の原則に風穴を開け労働者の尊厳を奪うものだと批判しました。この派遣法制定から30年。この間、派遣労働の原則自由化、製造業への解禁などの規制緩和が進められ、非正規雇用が広がり、働く貧困層が増え続けました。
リーマン・ショック後、大量の「派遣切り」が社会問題となりました。登録型派遣や製造業への派遣禁止など規制強化の世論が高まりました。しかし、2012年改正までにそれらはほとんど骨抜きにされ、唯一残ったのが、期間制限違反などを犯した派遣先企業が労働者に労働契約を申し込んだとみなす規定でした。それさえ、施行は今年10月1日へ先送りされました。本法案が施行日を9月1日にしたのも、この「みなし規定」を実質発動させないためではないですか。
法案について具体的に伺います。
派遣労働は、あくまで臨時的、一時的な雇用が原則で、常用代替であってはならないと政府は説明してきました。しかし法案は、これを担保する派遣期間制限を効力なきものにしようとしています。
法案では、派遣労働者が派遣元に無期雇用されていれば、期間制限がかかりません。有期雇用に比べ身分が安定しているというのが理由ですが、無期雇用の派遣労働者も、派遣先の仕事がなくなれば契約を解除され、解雇されてしまいます。
リーマン・ショック後の「派遣切り」でも、常用型無期雇用の派遣労働者のうち雇用が継続したのは2割強で、離職者のうち解雇は94・3%にものぼっています。これで雇用が安定していると言えますか。
法案は、新たに事業所単位及び、個人単位で期間制限を設けます。
事業所単位では、同一事業所での派遣労働者の受け入れは3年を上限とするとしています。しかし過半数労働組合等から意見聴取し、仮に異議があっても対応方針等の説明をすれば、3年を超えての受け入れが可能になります。意見聴取と説明を義務付けただけで、どうして規制が強化されるのですか。派遣先企業の都合で歯止めなく派遣労働を使えることになります。
個人単位の期間制限は3年を上限とするというものの、部署さえ変えれば同じ派遣労働者をずっと使い続けることが可能となります。まさに「生涯派遣」と言われるゆえんです。そればかりか、正社員から派遣への置き換えがますます進むことになりませんか。
法案は、いわゆる専門26業務を廃止するとしています。一般業務との区別が分かりにくいというのが理由です。そもそも期間制限のない専門業務と言いながら一般業務と変わらない仕事に従事させてきたことが問題です。現状を追認するのではなく、専門業務をより厳密化し、3年を超えて働いてきた派遣労働者を派遣先に優先的に雇用させるべきです。
法案は、派遣労働者の正社員化を含む雇用の安定のためとして、キャリアアップやキャリアコンサルティングを定めています。教育訓練や情報提供、相談活動を進めても、それだけでは正社員への登用は保障されません。
派遣期間終了時に雇用安定化措置を派遣元企業に義務付けるとしていますが、派遣先企業へは義務を課さないのですか。派遣元に対して圧倒的に力の強い派遣先企業が断れば正社員への道は絶たれてしまいます。
安定した雇用というなら派遣先企業に雇用責任を果たさせるべきではありませんか。
法案は、昨年の臨時国会で公明党が示した修正案を取り込んでいます。3点伺います。
第一は、派遣労働が臨時的、一時的なものであることを原則とする旨を明記していますが、その原則を担保する保障はどこにもありません。しかも、条文は第25条「運用上の配慮」の条項に盛り込まれました。原則と言いながらなぜ「配慮」の位置づけなのですか。
第二に、施行後の動向を踏まえ、「日本の雇用慣行が損なわれるおそれがある場合は速やかに検討する」旨を付則に規定しています。政府自身が、本法案によって派遣労働が拡大することを危惧しているのではありませんか。
第三に、均衡・均等待遇のあり方を検討するため調査・研究等を行う旨を付則に規定しています。政府は均等待遇に背を向けてきましたが、これまでの姿勢をあらためるべきではありませんか。
今回の修正は、労働政策審議会では一切審議されていません。これまで労働法制を決める際には、ILO(国際労働機関)原則にのっとり、政府、労働者、使用者による労政審審議を通じて、法案が閣議決定され、国会で審議してきたのに、なぜですか。産業競争力会議や規制改革会議などの議論を政府の方針とし、厚生労働省の頭越しに法改正を迫るやり方は極めて異常です。
本法案は国民の反対の前に2度も廃案に追い込まれました。経済界の言うままに、労働者に「生涯派遣」を押し付けるような法案は廃案以外にありません。