一、本日、安倍政権は、「平和安全法制」なる全体で11本におよぶ法案を閣議決定した。国民多数の反対の声を無視して、「海外で戦争する国」へと日本をつくりかえる戦争法案の閣議決定を行ったことに、強く抗議する。
一、閣議決定された法案には、憲法第9条を根底から破壊する三つの大問題がある。
第一は、アメリカが、世界のどこであれ、アフガニスタン戦争、イラク戦争のような戦争に乗り出したさいに、自衛隊が従来の「戦闘地域」まで行って軍事支援を行うようになる。「戦地」に自衛隊を派兵し、「殺し、殺される」戦闘を行うことになる。
第二に、形式上「停戦合意」がつくられているが、なお戦乱が続いているような地域に自衛隊を派兵し、治安維持活動などに取り組めるようにする。3500人もの戦死者を出したアフガニスタンのISAF(国際治安支援部隊)などへの参加の道が開かれる。
第三に、日本がどこからも攻撃されていなくても、集団的自衛権を発動し、米国の海外での戦争に、自衛隊が参戦し、武力行使に乗り出すことになる。首相は、国際法上違法な先制攻撃の戦争でも、集団的自衛権の発動を否定しなかった。
政府は「平和安全法制」を標榜(ひょうぼう)するが、その内容は、日本の国の「平和」とも、国民の「安全」ともまったく無縁のものだ。アメリカが、世界で行う戦争にさいして、いつでも、どこでも、どんな戦争でも、自衛隊が支援・参加する戦争法案がその正体だ。
一、戦後、日本政府の憲法第9条解釈の根本は、一貫して、「日本に対する武力攻撃がないもとでの武力の行使は許されない」=「海外での武力の行使は許されない」というものだった。ところが、昨年7月1日の「閣議決定」、今日決定された戦争法案は、日本に対する武力攻撃がなくても、政府が「新3要件」を満たしていると判断すれば、武力の行使を認めるものとなっている。従来の政府見解を百八十度転換する乱暴な解釈改憲を、一内閣の判断で行い、立法作業を強行したことは、立憲主義の破壊であり、断じて許されるものではない。
一、安倍内閣は、戦争法案の閣議決定に先だって、米国と新ガイドライン(「日米防衛協力のための指針」)を交わし、戦争法案の内容を実行することを、米国に全面的に誓約した。さらに、首相は、米国議会での演説で、戦争法案を「この夏までに成就させる」と、期限を区切って力ずくで強行することを米国に誓約した。
「海外で戦争する国」への大転換を、国会での一切の議論もないまま、まず米国に誓約するというのは、日本の独立と主権をないがしろにする異常なアメリカ従属の姿勢を示すものであって、厳しく批判しなければならない。
一、日本共産党は、戦後最悪の安倍政権による、戦後最悪の憲法破壊の企てを阻止するために、党の総力をあげて奮闘する決意だ。
戦争法案反対の一点で、国会内外で、思想・信条の違いを超えて、すべての政党・団体・個人が力をあわせることを心から呼びかける。