一、戦争法案のたたかいの舞台が参院に移った段階での日本共産党のたたかいの基本姿勢ですが、三つの点を重視して、たたかい抜きたいと考えています。
一、第一は、「徹底審議を通じて廃案へ」という立場で戦争法案を必ず阻止することです。衆院の論戦の到達にたって、法案の違憲性、危険性を全面的に明らかにする論戦に力をつくします。
この問題で、安倍政権は、非常に深刻な行き詰まりに直面しています。強行採決後の国民の激しい批判を受けて、安倍首相は、この間、民放テレビに出演し、法案の説明をやりました。しかし、「模型」までつくって「戦争」を「火事」にたとえて説明する姿はあまりにひどいものでした。「火事」は消し止めれば済みますが、「戦争」は武力行使をすれば相手から反撃されるわけです。根本的に性格が異なることを「例え話」に使って説明するのは、安倍首相が法案について国民に説明するまともな論理も能力もないことを、自ら告白するものにほかなりません。法案の説明をするなら、法案の論理に即した説明をするべきで、あのような軽い、そして的外れの例え話で済む問題ではありません。ひきつづき論戦で徹底的に追い詰めていきたい。
政権・与党の一部から「60日ルール」がいわれていることは、たいへんに重大です。「60日ルール」の発動とはどういうことかといえば、参院の審議を通じて、法案の問題点がさらに噴出し、国民的な怒りがさらに広がり、採決ができなくなっている、そういうもとでの衆院での強行再議決にほかなりません。民意を無視し、二院制を事実上否定し、しかもこれだけ憲法違反という批判が強い法案を、「60日ルール」で再議決するなど絶対に許されないと強く言っておきたいと思います。
一、第二は、「空前の国民運動で安倍政権を包囲を」という立場でのぞみたいと思います。
衆院での戦争法案の強行採決は、国民の怒りに油を注ぐ結果になりました。
15日から17日にかけての国会抗議行動は、のべ19万人という大規模な動きになりました。それに続く3連休も、全国各地でかつてない広がりをもって、抗議行動が取り組まれました。
とりわけ若いみなさんの抗議行動が、すばらしい自発性・創意性を持って広がっていることも本当にうれしいことです。
150人を超える学者・研究者の方々が、1万2000人を超える賛同者を得て、安保法案反対のアピールを発表したのも、「オール知識人」の理性と見識を示す画期的な動きだと思います。
そういうもとで、どの世論調査でも、内閣支持率が3割台に急落し、不支持率もだいたい5割を超えつつあり、安倍政権は深刻な政治的危機に陥りつつあります。
私たちは、この流れを広げに広げ、圧倒的な国民世論で安倍政権を包囲する状況をつくるならば、戦争法案を参院で採決不能の立ち往生に追い込むことは十分可能だと考えています。
空前の規模に発展しつつある国民運動のいっそうの発展に貢献する国会論戦を取り組んでいきたいと思います。
一、第三は、各分野での安倍政権の暴走ストップの論戦とたたかいを発展させ、合流させて、「安倍政権打倒」の大きな流れをつくることに力をそそぎたいと思います。
沖縄問題が、大きなヤマ場を迎えています。県の「第三者委員会」が、前知事の埋め立て承認に「瑕疵(かし)」があるという報告書を翁長知事に提出しました。知事はこれを受けて判断を下すことになるでしょう。大激動が起こってくると思います。沖縄に連帯したたたかいがきわめて重要です。
原発問題では、8月上旬にも川内原発の再稼働の動きが伝えられています。この問題は、反原連(首都圏反原発連合)のみなさんを中心に国会前の抗議行動が3年半にわたって続けられてきました。そういう粘り強い運動の積み重ねのうえにたって、それを大きく発展させ、再稼働を許さないたたかいも、たいへんに大事なヤマ場になってきます。
雇用問題では、労働者派遣法の大改悪法案がいま参院にかかっています。参院本会議での審議入りは強行されたわけですが、厚生労働委員会での審議は始まっていません。こういうもとで、戦争法案を阻止するたたかいと一体に、「正社員ゼロ」に道開く希代の大改悪法案を廃案に追い込むたたかいを、労働運動のナショナルセンターの違いを超えて、発展させたいと思います。
そしてTPP(環太平洋連携協定)問題です。「大筋合意」にむかう動きが伝えられていますが、仮にそういう方向が具体化されることになれば、たいへん深刻な矛盾が農業者、消費者、国民との関係で噴き出すことはさけられません。TPP阻止のたたかいも新たな重大な段階に入ってきます。
戦争法案、沖縄、原発、雇用、TPPなど、あらゆる分野でのたたかいを広げ、合流させて、安倍政権打倒の大きな流れをつくりだしていきたい。
一、安倍政権の暴走は、そのすべてが国民多数の民意に背く暴走です。私たちは“民主主義を守れ、独裁政治を許すな、安倍政権打倒”という大きなスローガンを掲げて、たたかいを院内外で進めていきたい。暑い夏ですが、力いっぱい日本共産党としての責任を果たしていく決意です。