主張

被爆70年世界大会

非核と反戦の願いをひとつに

 戦後70年・被爆70年の原水爆禁止2015年世界大会は、20カ国140人を超える海外代表と全国から1万人の参加者が集う熱気あふれる大会として大きく成功し、閉幕しました。

広がる民主主義の流れ

 世界大会国際会議が採択した宣言(4日)は、今年5月の核不拡散条約(NPT)再検討会議について、最終文書を採択できなかったものの「世論と運動の発展を反映して、重要な到達を築いた」と評価しました。とくに、多数の国が核兵器禁止条約の交渉を求め、NPT参加国の8割以上が、核兵器の非人道性を訴える共同声明に賛同したことに注目し、「核保有国を追いつめた」と強調しました。

 政府代表も「(核兵器の)人道性への関心やイニシアチブは、確実に多くの支持と勢いを得ている」(オーストリアのアレクサンダー・クメント大使のメッセージ)と指摘し、運動団体代表も「今後の核軍縮運動の土台となるもの」(アメリカ)とのべました。国際政治の舞台でも、多数の声で大国の横暴を包囲し、打ち破るという、民主主義の流れが広がりつつあるのが重要な特徴です。

 この変化を後押ししてきたのが、草の根からの市民の運動であることが、大会でも浮き彫りになりました。インドネシアのムハンマド・アンショル大使は「(NPT再検討会議に際し日本代表団が)大勢で国連を訪問したことはとても心強い励ましになりました」とのべ、核保有国などの「核抑止力」論を乗り越えるためにも、「市民社会のみなさんの助けが必要です」と訴えました。「圧倒的多数の世論で核兵器に固執する勢力を包囲し、迫っていくならば、『核兵器のない世界』への道はひらかれる」(国際会議宣言)。これは、市民の運動と国際政治の共通の思いだといえるでしょう。

 今年の大会は、戦争法案と安倍晋三政権の暴走に反対する運動の歴史的な高まりのなかで開かれました。戦争のもっとも悲惨な体験をした被爆者の訴えとそのたたかいに、多くの参加者が心を揺さぶられ、「絶対に戦争はしてはいけない」との決意を新たにしました。

 海外の参加者からも「安保法制で日本を変えようとする動きに、ともに抵抗します」(アメリカ)、「民主主義と平和のために、国境を超えて連帯します」(韓国)と激励が表明されました。そして、このたたかいで注目される青年や女性たちのエネルギッシュで、フレッシュな発言が全体を大きく励ましました。

 中谷元・防衛相が国会で、自衛隊による核兵器の輸送も戦争法案の法文上は「排除せず」と答弁し、安倍首相が広島の平和記念式典で、歴代政権が言及してきた非核三原則の厳守に触れないなど被爆国にあるまじき姿が、次々とあらわになりました。アメリカの「核の傘」に頼り、核兵器使用を容認する政権がたくらむ戦争法案が、いかに危険であるかを示しています。被爆者が戦争法案の廃案を首相に強く迫ったのは当然のことです。

声を上げ立ち上がって

 核兵器廃絶の願いと戦争法案阻止の決意をひとつに、運動を大きく広げるならば、安倍政権の暴走を打ち破ることは可能です。一人ひとりが声をあげ、立ち上がれば日本も世界も変えられる―世界大会のこの確信は、今後の運動の大きな力になるに違いありません。