集団的自衛権の行使容認に対して、政府の憲法解釈を担った元法制局長官が違憲・逸脱と指摘したのは、衆参の法案審議を通じて大森氏で3人目。法的安定性を無視した戦争法案の違憲性が改めて浮き彫りになりました。
大森氏は、砂川事件最高裁判決(1959年)が集団的自衛権行使を許容しているとする安倍政権の主張について、「全くの暴論だ」と述べ、是正しない現法制局に対しても「任務の懈怠(けたい)だ」と異例の苦言を呈しました。
従来の海外派兵法で自衛隊の活動区域とされてきた「非戦闘地域」の概念について大森氏は、米軍の戦闘との「一体化」を避けるため「(戦闘現場との間に)緩衝地帯を置く立法上の工夫だった」と説明。戦争法案で「非戦闘地域」を撤廃し、「戦闘地域」での活動を可能にした点については、「戦闘地域は時々刻々変化する。ある日、戦闘地域のど真ん中にいることが起こる」と警鐘を鳴らしました。日本共産党の井上哲士議員の質問に答えました。
日弁連の伊藤真・憲法問題対策副本部長(弁護士)は「本案は国民主権、民主主義、平和主義、ひいては立憲主義に反するもので、ただちに廃案にすべきだ」と表明しました。