元規制庁審議官の資料漏えい

保安院と体質変わらず

島崎委員長代理が指摘

 原子力規制庁の名雪哲夫・元審議官が敦賀原発敷地内破砕帯調査の評価報告書案を公表前に日本原子力発電に渡していた問題で、原子力規制委員会の島崎邦彦委員長代理は6日、同庁の体質が旧原子力安全・保安院などと変わっていないと指摘しました。同日の定例会合の席上、述べたものです。島崎氏は、規制委の有識者による原発敷地内破砕帯調査を担当しています。

田中規制委員長は「個人の考え違い」

 島崎氏は有識者の最初の会合で「規制庁の職員の多くが旧保安院や旧原子力安全委員会の人々であって何も変わらないという批判があるけれども、変わったと皆さんに思っていただけるよう努力したいという趣旨の発言をした」と振り返りました。さらに「この言葉を信じていただいた方々にたいへん申し訳ない状態だと思っている」と続けました。

 名雪元審議官が日本原電に報告書案を手渡した経緯の中で、委員の了解が得られたかのような発言をしている点について、島崎氏は「報告書案を事業者に見せるよう小生が言うはずがありませんし、実際に言っておりません」と強調しました。

 そのうえで、名雪元審議官個人だけでなく、組織全体の問題に言及。「敦賀発電所の敷地内破砕帯が問題となっている最中に、当事者の日本原電がたびたび審議官と会っていたということです。日本原電の人は日本原電だとちゃんと名乗って対面しているわけです。それで審議官の仕事の内容も組織内の人間は知っているわけです。こういうふうにたびたび面会があるということにおかしいと思った人はいなかったのか」と疑問を呈しました。

 これに対し、池田克彦・規制庁長官は「各審議官の行動対応については私ども実は把握しておりません」と述べるにとどまりました。また、田中俊一委員長は記者会見で「組織の問題というより、今の時点では個人の考え違いがあったと思っている」と述べました。

 定例会合では、規制庁から事業者との面談について「儀礼上のあいさつ」を5分以内に限定するなどのルールの見直しが提案されましたが、島崎氏の主張で必ず複数で対応することなどが決まりました。また、事業者から面談の申し込みがあった時点で全て報告することや、面談の実施状況や内容をホームページで公表することも決めました。