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【本の紹介】国際政治の中心地ロシアを理解するための優れた歴史書『クレムリン 赤い城塞の歴史』上下
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【本の紹介】国際政治の中心地ロシアを理解するための優れた歴史書『クレムリン 赤い城塞の歴史』上下

2019-05-30 03:20

    先日行われた欧州議会選挙で反グローバリズムを掲げる

    イギリスの離脱党、フランスの国民連合、イタリアの同盟

    などの新興政党が各国でトップの票を獲得した。

     

    それらの政党の党首の共通点は、EUの既存政党が打ち出してきた反ロシア的姿勢と違い、親ロシアを打ち出している事だ。

    HX4HOALc_normal.jpg天野 統康@amanomotoyasu 

    ロシアのハニートラップ汚職で副首相が辞任、オーストリアで解散総選挙 欧州を揺るがすプーチン大統領(木村正人) https://t.co/N36jtakfwK 経済規模でEUで2位の英国、3位のフランス、4位のイタリアでプーチ… https://t.co/feqC98OhW8

    2019年05月29日 03:23

    特にイギリスの離脱党のファラージ党首などは、最も尊敬する人物としてプーチン大統領の名前を上げているほどだ。

    トランプとヒラリーが争った米国の大統領選でもロシアは選挙に介入したとして激しく非難されている。

    事の当否はともかく、現在のプーチン・ロシアが欧米および世界の政治に圧倒的な影響を与えている大国であることは間違いない。

     

    その影響力はもう一つの国際政治の中心地である米国のワシントンDCに対抗するほどのものだ。

     

    そのロシアの政治的中心地はモスクワにある城塞「クレムリン」である。

     

    今回、ご紹介するのはその「クレムリン」を中心にしてモスクワとロシア社会を包括的に取り扱った歴史書

     

    『クレムリン 赤い城塞の歴史』 上下巻 白水社 キャサリン・メリデール(著) 松島 芳彦(訳)

     

    https://amzn.to/2wqaUFN




    現在の大国プーチン・ロシアは一日にしてならず、ということがこの本を読むと良く分かる。

     

    500年前のモスクワ大公国から、18世紀のピョートル大帝から始まる帝政ロシア、ナポレオン戦争、20世紀の超大国ソ連、現在のロシア連邦まで、常に時の権力の中心地でありその影響を直接受けてきたクレムリンの変化の歴史はロシアの変化の歴史である。

     

    そのロシアとクレムリンの歴史を、政治、経済、文化、芸術、戦争、宗教も含めて総合的に語っていく。

     

    上下巻ともイデオロギー的に偏らず客観的な姿勢で書かれており、非常に読みやすく面白かったので一気に読んでしまった。(私がロシアの歴史マニアであることを差し引いても面白かった)

     

    この本を読めば、一度はクレムリンをこの目で見たいと思ってしまうほどの魅力がある。

     

    ロシアという政治大国を理解するための最適な教科書の一つだ。

     

    クレムリンを理解することはロシアを理解することになり、ロシアを理解することは現在の国際政治を理解することになる。

     

    惜しむらくは、プーチン大統領のクレムリンにもっとページを割いてほしかった。

     

    ロシアの歴史と文化と国際政治を学びたい方におすすめします。

     

     

     

     

    (amazonより内容紹介を転載)

     

    《「力と美」の正体とは?》

    神話と伝説に満ち、今なおロシアの「心臓部」を探る試み。
    ナポレオン侵攻から革命と共産党独裁、ソ連崩壊、現代のプーチンまで、
    権力者と民衆、戦争と革命、建築と聖都など、陰影豊かに描く通史。
    地図・カラー口絵・人名/事項索引収録。

    「ロシアは大公国から王朝支配へ、さらに全く異質の体制へと姿を変えた。ロシアの主(あるじ)として完璧な正統性を誇った者はいない。長い間それぞれの体制が、独自の神話を紡いで国を治めてきた。神話には今も昔も変わらない確固たるメッセージが込められている。それは石盤に刻み込まれた伝承ではなく、常に生身の人間の創作である。権力の座にとどまることこそが、権力者の至上課題なのだ。クレムリンの歴史は、生き残りをかけた闘争の物語である。いつの時代にも、運命があらかじめ定めた必然などなかった。ロシアの今日の繁栄は、歴史の領域に去った過去の体制と同様に、人間が意図的に計算した選択の産物である。」
    第12章「正常化」より

    モスクワのクレムリン(城塞)は当初、あくまでも戦いのための構造物でしかなかった。ロシアの各地には今も様々なクレムリンが存在する。しかし、伝説と神話を宿し、今なおロシアの「心臓部」として鼓動を続けているのは、モスクワのクレムリンだけだ。政治・軍事・宗教が混然一体化したクレムリンは、ロシア人の欲望と祈り、そして恐れの結晶と言えるだろう。中世のモスクワ大公国からタタールのくびき、エカチェリーナ大帝、ナポレオン侵攻、革命と共産党独裁、ソ連崩壊、現代のプーチンまで……権力者と民衆、戦争と革命、建築と聖都など、陰影豊かに描く通史。
    英国の歴史家である著者は、これまでもロシアやソ連の歴史の深層に迫る数々の名著を生み出してきた。モスクワのクレムリンを舞台に、権力者の興亡と民衆の姿を活写した本書でも、事物や現象の背後に透徹する視線と執念が随所にうかがわれる。波乱のロシアの歴史を、城壁の内外から権力者と民衆による双方向のまなざしで見つめ、見事な歴史絵巻に仕立て上げている。30年前、クレムリンに「一目で魅せられてしまった」と語る歴史家が、その「魔力」の正体を追い求めた旅路の記録とも言える。

     

    [上巻目次]
    はじめに
    第1章 礎石
    第2章 ルネサンス
    第3章 黄金の間
    第4章 クレムレナグラード
    第5章 永遠なるモスクワ
    第6章 伝統の秩序

     

    [下巻目次]
    第7章 不死鳥
    第8章 郷愁
    第9章 アクロポリス
    第10章 赤い城塞
    第11章 クレムリノロジー
    第12章 正常化
    謝辞/訳者あとがき

     

    (転載終了)


     

    (記事終了)

     

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