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コロナショックと過去の金融恐慌の違いをヴェルナー氏の信用創造理論から解説 流通速度の低下が原因
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コロナショックと過去の金融恐慌の違いをヴェルナー氏の信用創造理論から解説 流通速度の低下が原因

2020-04-04 00:38

    コロナショックによる世界経済の大幅なGDPの低下は避けらない情勢になった。

     IMF、世界経済「マイナス成長に」 新型コロナ打撃、11年ぶり

    【ワシントン時事】国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事は23日、2020年の世界経済が「マイナス成長に陥る」との見通しを示した。

    <中略>

    世界の有力金融機関で構成される国際金融協会(IIF)は同日、20年の世界経済成長率がマイナス1.5%に落ち込むとの見通しを発表。日本はマイナス2.6%、米国がマイナス2.8%、ユーロ圏がマイナス4.7%と、主要国・地域の総崩れを予想した。

    https://www.jiji.com/jc/article?k=2020032400237&g=int 

    (転載終了)

    世界経済をマイナスにするような恐慌は過去に何度も起きてきた。 

    1929年のニューヨーク発の世界大恐慌 

    1998年のアジア通貨危機 

    2008年のリーマンショック など。 

    一国単位では80年代の日本の不動産バブルの崩壊など。

    今回のコロナショックが、上記の恐慌やバブル崩壊と違うのは実体経済の取引の減少が原因になっていることだ。

     ・従来の恐慌のパターン 

    株や不動産バブルの崩壊→金融機関の破綻→銀行の信用創造量(銀行貸出しによるお金の創造)の急激な減少→失業と倒産の急増により消費や投資が減少→実体経済の企業の破綻→GDPの大幅低下 

    ・今回のコロナショックのパターン 

    コロナウィルスの感染の拡大→外出規制→実体経済の消費の激減、工場の稼働の停止→失業の急増、投資の減少→GDPの大幅低下

    つまり従来の恐慌は金融経済の破綻が実体経済に波及していく流れだったが、今回のコロナショックは実体経済の取引の激減がGDPの大幅低下を起こしているということである。 

    しかも、実体経済の側面から見ても、このコロナショックは以下のような特殊性がある。 

    それをリチャード・ヴェルナー氏の信用創造理論に基づいて解説する。

     GDP=実体経済向けの信用創造量(実体経済向けの取引に使われたお金の量)×実体経済向けの信用創造量の流通速度

    これは、主流の経済学で用いられている、

     GDP=個人消費+設備投資+政府支出+純輸出 

    と同じことを信用創造量の観点から述べている。 

    本来ならGDPを低下させるのは「実体経済向けの取引に使われた信用創造量」の減少であり、「実体経済向けの信用創造量の流通速度」は「一定」であるということがヴェルナー氏の信用創造理論の特徴であった。GDP向け(実体経済)の取引は人々の生活習慣に根差しており、大数の法則が働くために、流通速度は一定である。

    購買力の流通速度が一定であるという仮定は主流派の経済学(古典派、ケインズ派、マネタリズムなど)でも理論の前提として述べられてきたことだ。 

    一方で主流経済学では、購買力の流通速度の低下が起きてきた。

    それは、購買力をマネーストック(貨幣量、つまり現金+預金)で計算するためである。

    マネーストックの根本的な問題点は現金+預金であるために、金融経済向けと実体経済向けに購買力の向かい先を分割できないことである(実体経済向け預金、金融経済向け預金なるものは存在しない)。

    しかしヴェルナー氏は信用創造量を購買力の量に用いることで、実体経済向けと金融経済向けに購買力を分けることを可能にさせた。

    そして実体経済向けに使われた信用創造量の流通速度は一定であることを証明した。

    以下の図を参考

     そのため、上記の理論を私が図解にした場合、商品量や商品価格に影響を与えるのは、流通速度ではなく、信用創造量であることを強調してきた。

    影響の矢印が左側のブロックの信用創造量からしか出ていないことに注目していただきたい。

    流通速度は一定なのだから、商品量や商品価格には影響を与えないという図解である 

    従来の世界恐慌やハイパーインフレも含めた多くの景気変動は上記の理論の観点で適切に説明をすることが出来た。

     

    しかし今回のコロナショックは、信用創造量の減少が起きる前からGDPが大幅に低下する大不況に突入している。

     これはGDPの低下の原因が信用創造量の減少ではなく、「実体経済向けの信用創造量の流通速度の低下」に原因があるためである。

     世界的な感染爆発と外出禁止令によって生じた消費の減少が流通速度を低下させた。

    今回のコロナショックによるGDPの減少を表すと以下のようになる。

    赤文字の「実体経済向けの信用創造量の流通速度」が急速に低下し、その影響で右側のブロックの「実体経済向けの商品の取引量」を激減させた。

    今後は商品価格の下落圧力を高め、デフレ不況になっていくだろう。

    このようにコロナショックは一定であった実体経済の購買力の流通速度を急減させるという極めて特異な現象を生じさせている。

    今後は恐慌によって銀行業の経営も圧迫していくので、銀行貸し出しの減少、つまり信用創造量の減少も起こるだろう。

    このような緊急時の危機には、政府が大規模に「実体経済向けの信用創造量の増加を伴う財政出動」を行わなくてはならない。

    この特異な現象も主流経済学のペテンを暴露したヴェルナー理論によって適切に解明することが出来るのである。




    上記図の全体像の解説はこちら 

    <リンク>【操作される資本主義経済 図解のまとめ】 

    https://ameblo.jp/amanomotoyasu/entry-12439985745.html




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    (記事終了)





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    <リンク>【操作される資本主義経済 図解のまとめ】

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