中條Dです。

 よく番組でもなんでも「ガチンコ勝負!!!!!!111」とかいう煽りが使われるじゃないですか。あの「ガチンコ」という言葉が使われだした当初はどうだったのかは覚えておりませんが、確実にこの言葉はインフレ仕切っておりまして、今や刺し身のツマほどの効力も持ち合わせておりません。完全に添え物。そうは言いつつも刺し身にツマが無いと物足りないじゃないですかw そんな理由で猫も杓子も「ガチンコ」しているわけですが……。

 ゲーム番組を担当しているため、何かと対決の番組企画に携わることが多く、その中で「じゃあここはガチンコ勝負ですね」と企画発案のテーブルでこの語が飛び交う瞬間があります。

「ガチンコ……ですねぇ。どっちが勝っても良いわけですから普通にやってもらいましょう」

 ……と若干覚めた感じで返事をしてしまうわたくしです。というのも「ガチンコ」という言葉に対してハードルというか、ガチンコって言うほどガチンコなのかなぁ……と言われる度に思ってしまうからです。別にガチンコじゃなくても楽しく対戦が行われていればそれでいいじゃんとしか思っていないのもあるのですが、そもそも昨今だと「ヤラセじゃない=ガチンコ」くらいの意味合いしか持っていません。

 モンストの『幽☆遊☆白書』コラボの際、4チームに分かれて団体戦を行う企画を行いましたが、ステージのスキップが発生した場合は「輪ゴムを指鉄砲で弾いて机の上の紙コップを全部落とさないとゲームに戻ってはいけない」というのはどうか(もちろん「霊丸」を模したアトラクション)という発案もしたのですが、いつの間にか無しになっていましたw あの番組でガチンコ感を出すのは難しいので、ならばいっそバラエティ寄りにしてしまえと思ってそのように提案したのですが。

 そもそも僕は「アメリカ横断ウルトラクイズ」とか「TVチャンピオン」とか「それクイズよりも別の要素の方が強いよね?」というタイプの番組を見て育った世代なもので、クイズの回答権を得るために砂漠へ封筒を取りに走ったり、お皿の上のスイーツを完食してからでないと早押しボタンを押せなかったり、そういうのが演出じゃないかと思っていたわけです。ただ、こういう事をやると「クイズとは?」という疑問がつくのですが、そもそもそういうパッケージなんだよという押し出しで乗り切っていたのが90年台だったわけです。

 たぶん、00年代から「ガチンコ」という言葉があちこちで使われるようになったのではと思います。もっと詳しく言うと、橋本真也vs小川直也の試合からだと思いますw 2000年4月7日、五回目のシングルマッチで橋本真也は「負けたら即引退」を掲げて臨み、結果、負けて本当に引退してしまうわけです。