「俺が何年待ったと思ってるんだよ、そりゃ見に行くさ。チケット超高かったけどさ、もう関係ねぇーって」

 2004年7月、僕が大学生の頃の話である。友達の今中くんが先週見てきたばかりのプロレス興行について語っていた。

「俺が一番好きなレスラーが武藤敬司。で、二番目くらいに好きなのが三沢光晴。この二人が対戦するんだから行くだろ。もうね、二人がロックアップ(組み合い)した瞬間、泣いたね。何年待ったと思ってんだよ! 俺がプロレス見始めてからずっとだぞ、ずっと! 俺は小学生くらいから見始めたから10年で済んだけど、オールドファンとか20年くらいだろ? やばいよな」

 そう興奮気味に話してくれた今中くんは、自身が泣いた瞬間とされる、武藤と三沢のロックアップの瞬間を何度もモノマネしてくれるのでした。シュパッと組み合ったのではないらしく、なんか「のっし」みたいな感じでゆっくり組み合ったらしいですよw

 まぁプロレスを知らない人からすれば「何の話だ」とお思いかもしれません。今でこそ団体間の交流が活発になっているプロレス界なんですが、昔は今では考えがたいほどの封建社会でして、二大巨塔とされていた団体に分かれて所属していたこの二人が交わることは決して無いだろうと言われていました。で、まぁ色々あって、二人は試合ができることになったんです。あれおかしいな、ここ感動的な話のはずなのに端折っちゃったw それは多くのプロレスファンからすれば「待ってました!」という話であり、文字通り待たされたファンの熱は非常に高いものがありました。

 あの時「泣いた」とまで言わしめた今中くんの気持ちを思えばですね、僕としては非常に物足りない何かを感じてしまいました。そう、10月3日にありました、マックスむらいとスプリングまおの共演です。