対称性思考=「分類上違うものの間に深い共通性のあることを見出す能力」
無意識的思考の基底にあるのは対称性思考であり、このうえなくパワフルな思考である
ホモサピエンスとして誕生して以来この思考が働いており、いまでも強弱はあるが作動し続けている
神話的思考を生み出してきた無意識は、芸術・哲学・科学的創造・経済生活などにおいて、いぜんとして大きな働きを行なっている
無意識は数万年前ホモサピエンス(現生人類)の脳組織におこった革命的な変化をきっかけにして形成され、私たちの「心」の基体を形づくってきた
このとき、分化された知性領域を横断する流動的知性が発生
流動的知性は、脱領域性、高次元性、対称性などの特徴を持っている
比喩、象徴表現などを使い、異なるものをつなぐ知性
対称性思考の特徴=(全体把握、情緒性、矛盾をはらむ、多方向的、自在性)
過去と未来がひとつに融合して、神話的思考における「ドリームタイム」(夢の時間)と同じ無時間的表現をつくりだしている
個体同士をつなぐ同質的な「流れるもの」が発生して、個体を包摂する「種=クラス」の働きが前面にあらわれてくる
「心」の基体では、部分と全体が一致し「心」は無限の広がりと深さをもつものと思考されるようになる
人間の思考=非対称性思考(意識的・論理的思考)+対称性思考≡バイロジック(二重論理、2分心、複合ロジック)
区別し、分離し、論理的につなげる非対称性思考 その働きの極限として「神の概念」「国家」「資本主義経済」等々が出現
「一神教」と「国民国家」と「資本主義(グローバリゼーションもその延長)」と「科学」は形而上学の形態としては同型
これらの「圧倒的な非対称」が支配する無意識が抑圧された時代(アンハッピー状態)が続いている
対称性無意識の働きによってこの形而上学化された世界を「自然化」する
「一神教の神」をふたたび「自然」に接合する
言語:無意識の自律的な「みずからを構成しつつある秩序」と、すでに出来上がっている言語体系としての「すでに構成された秩序」とがお互いにせめぎあい具体的な言葉が語りだされる
贈与と交換:対称性/非対称性からとらえ直される
一神教:対称性の論理と非対称性の論理のバイロジックとしてつくられ、特異な一神教の形態を実現したこと。この「一」の原理が支配
仏教:純粋贈与(=対称性思考)としての布施の実践。仏=無意識=智慧=純粋贈与(布施)。色即是空(色と空は対称(同じ)である)。華厳経の法界=無限集合としての無意識
科学的アイデアの発想現場:対称性無意識の活動している思考の空間。
アート:内奥の無意識からわきあがってくる悦楽に触れようとする
神話は生と死、人間と自然などのバランス・対称性を維持することを目的としている
王は自然の力を手に入れ、かつ人間世界の権力も手にする野蛮な存在である。王の登場によって「クニ」が誕生
神話的思考は技術にストッパーをかけていた 人間は自然から力を手に入れることができるが(例えば鉄の入手)、その強力すぎる力は自然と人間との対称性を崩してしまう
「交換」は、等価値の商品(モノ)の交換であり、関わる人の人格や感情は無関係。モノの価値は定まっている
「贈与」はモノを媒介にした人格的なものの移動、信頼関係の構築である。モノの価値は不確定
「純粋贈与」はモノの循環ではなく、見返りも求めないような力の贈与、富の源泉。例えば農業(自然からの富)、ポトラッチ、密教の儀式、出産、豊かな恵みをもたらす女神の賛美
貨幣は、自然がもたらす純粋贈与の力を人間の側に移動させたものである(非対称化したもの)
神以前にはスピリットなる存在があった 流動し、自然から出て人間世界にも登場する。日本の八百万の神や妖怪に近い
スピリットを人間世界に持ち込むこと、つまり神の誕生に
来訪神 メビウス縫合型(表裏一体のメビウスの輪を保つ)、スピリットのようにあの世とこの世(表と裏)を行き来する。対称性の神
高神 トーラス型(ドーナツ型)、中心の穴にとどまり、常に見守り、人間のコミュニケーションすなわち言語体系を維持する。秩序の神
高神が元になりユダヤ教やキリスト教などの唯一神が発生 人間と自然との間に非対称性が生じ、一神教とクニの支配が成立
かつてのスピリットに代わり、商品が流動する。しかし商品はスピリットのように崇められる存在ではなく、人格もよろこびもない
近代科学や過去の宗教が陥りがちであった、固定的な分割の態度を超えていこうとするところに人類文化の希望を見ようとする
伝統的な宗教が自己から遠い超越者に向き合う事を求め、近代科学が自己の外部にある世界を分析し、支配していくことを目指したのに対し、
新霊性運動は自己が自ら体験し、それを通して自己がより高次のあり方へと成長していく
新霊性運動、自己は善悪の対立に引き裂かれたり、超越領域から切り離されたりした小さな「我」なのではなく、それらを包み込み、全宇宙の実体とも合致しうるような何か
自由の否定を含まないで、自己の多面性、重層性に気づきつつ、悪を包み込み、抱かえ込んで高次の自己に融合すること、これが「自己変容」
宗教を、「虚構の人格」を中心として社会を組織すること、そしてそれによって、生死を超えた人間同士の「つながり」を確保すること、と規定
人間の社会は常に、こうした永続的な「虚構の人格」を中心に据えることによって成り立っている