…とはいえ、前作、前々作のベースになった「時空警察ヴェッカーχ(かい)」シリーズと違い、僕は原作提供と監修に留まり、吉久直志さんにお任せした作品でした。
畑澤はその頃、中国広東省広州市に居を移しており(出張とかそういうものではなく「移住」してました)、現地でアニメ・特撮番組の原作や総監督等をやってました。
仕事の合間に現地のメイド喫茶(ほぼ中国で最初のメイド喫茶)にいる可愛い女の子を集めてアイドルユニット風のPVを作ったり(笑)もしてました。
中国はアメリカと並ぶ超大国に成長していくまさに渦中で、現地に暮らした4年半でエンタメ界も急激に変化・進化していきました(あまり深化はしなかった)。
とはいえ、「ヴェッカー1983」は「原作」としては特に思い入れがあり、知る人は知る1983年当時の自分の体験を元にしていた物語でした。https://ameblo.jp/kazuyahatazawaに詳しく書いてます。
…という事で、自分の手で(脚本・演出で)ちゃんと語りなおしたいと思ってました(舞台「ヴェッカー1983」自体は舞台の面白さを教えてくれた吉久直志さんの傑作だと思います)。
ところがそれからもう10年が経ち、1983年はもう40年近く前になってしまった。2021年の演者さんに演じてもらいお客さんに観てもらうなら、30年以内がぎりぎりかな、と思いました。
という訳で本作の舞台は1993年です。今から28年前、という中途半端な年代ですが…。時空刑事たちが今回向かうのは1993年ですが、あくまで視点は現代(2021年)です。
現代…「今」という「今」は過去の小さな出来事が積み重なってあるのであり、少しでも何かが違ったら「今」は少し違ったかもしれない。
「エヴェイユ」「エトランジェ」の世界では歴史を揺るがす(分岐させる)大事件だった「ノエルサンドレ」事件を、裏側から観た物語とも言えます。
100年後、200年後の時空刑事たちが1983年に集まり、乱戦を繰り広げた「ヴェッカー1983」とは全く違う物語になります。「ヴェッカー1983」の時空刑事である時空刑事サナ、レイ、アンが登場しますが、役割や性格付け(もちろん演者も)は全然違います。
教科書に残る偉人や大事件ではなく、少女たちの何気ない日常が変わっていく事で歴史が変わっていく、動いていく…というこのシリーズのテーマに時空刑事たちが直接切り込む話になります。
「あなたはあの頃、何をしていましたか?好きな人はいましたか?」
…というのがテーマです。