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ハルユウさん のコメント

みなぼんのブログを読んで、過去イチで呆れたのは僕だけでしょうか。

内容は首をかしげることばかりですけど、特に呆れたのは「もし襲われそうになった、襲われたことが苦痛でたまらないなら、直ぐにでも事務所を退所すべきです」という一文です。

普通にセカンドレイプしてません?

「嫌なら全力で拒絶すべきだった」「性被害を受けたらすぐに警察にかけこむべきだった」
過去に何度も聞いたような、性被害者をさらに傷つける言葉をまさかよしりん先生の秘書が言うとは思いませんでした。

苦痛でたまらないなら逃げればいいなんて、人間はそんな簡単に判断できません。
心理学用語で「正常性バイアス」「同調性バイアス」という言葉があります。
正常性バイアスは「少々の異常を正常の範囲内の変異と理解して無視する」心理状態です。
東日本大震災で津波が迫っているのに、堤防を見に行ったり、なかなか避難しようとしなかったりして結果亡くなった人が大勢いましたが、あれは正常性バイアスです。
Jアラートが鳴っても、誰も避難しないのも同様です。
つまり、人間は基本的に「安全神話」の中に生きています。

話を戻すと、ジャニーズ事務所に入った子供達は、ジャニー氏のよからぬ噂を聞いていたとしても「まさか、皆に尊敬されているジャニーさんが僕に変なことをするはずがない」と思い込むようになります。
その結果、いざ現実に直面すると心理的に回避の機会を逸し、性被害に遭います。
ジャニー氏は当然、「他の子もみんなやっているんだよ」などと言って警戒心を解いてきたでしょう。
そうなると、今度は「尊敬している先輩も皆これをされてきたんだから、これは普通のこと。騒ぐようなことではない」という同調性バイアスが働きます。

ましてや、ジャニー氏は子供達の指導者で神様のような存在です。
子供達のリスク認知が遅れるのは当然であり、その結果、誰にも相談できず、事務所に留まって被害に遭い続けるおそれが高まります。
事務所を退所しようにも、同調性バイアスで退所を決意できなくなります。

性被害者の多くは似たような精神状態に陥って、告発が難しくなります。
現実を認めたとしても、今度は自分自身を責めて、なかったことにしようとします。
未成年の子供なら、なおさらです。

さらに、親の責任はどうでしょうか。
「芸能界はヤクザの世界」、「性接待や性加害は当たり前」。
そんなことを、芸能界に憧れる者たちが果たして信じるんでしょうか。
タレント達やアイドルだって事あるごとにメディアで「仲の良いグループです」「枕営業なんて聞いたことありません」などと健全性をアピールしていますよね。

ジャニー氏の性加害は、1999年に性的虐待疑惑として「週刊文春」が報じ、ジャニーズ側が名誉毀損で提訴。その結果、性的虐待行為の証言の真実性が認定され、判決が確定しました。しかし、これを報じたマスコミはほとんどいませんでした。

今よりも圧倒的にマスコミの影響力が強い時代です。大きく報じられなければ、「妬み嫉みから来る噂でしょ?」と正常性バイアスが働いて、信じない親や子供がいても不思議ではありません。

薬害エイズも同様です。
「脱正義論」の中には、血友病患者と医者のこんなやり取りが描かれています。

「先生 この血液製剤だいじょーぶですかねえ?」
「アメリカではぼくと同じ血友病患者がエイズになったというニュースをやってましたけど…」

「わははは 大丈夫! 心配いらん」
「エイズなんかそう簡単にかかる病気じゃないんだから」

血友病患者たちやその親は、医者の言葉を信じるという正常性バイアス、さらに周りも血液製剤を使っているからという同調性バイアスが働き、結果、多くの人がエイズを発症させました。

僕には、薬害エイズの子供も性被害に遭った子供もどちらも「まったく思いもよらずに」被害に遭ってしまったと思います。

他人の性被害まで勝手に暴露するのはどうか。
確かにダメでしょう。
しかし、被害者にしてみれば、これまで言えなかったことがようやく言える状況にまでなりました。世間に認知が広がっていくスピードを落としたくないという焦る気持ちゆえ、耳目を惹いたとも考えられます。
それでもダメだと思いますけど。

念のために言いますが、僕はキャンセル・カルチャーについては、よしりん先生と同様に反対の立場です。
しかし、犯罪性があるならそれは明らかにすべきだと思います。
被害者への同情心とかではなく、性愛を含む少年愛を否定するからです。
同性愛は別にいいんですけど、いびつな少年愛は相手が子供だけに、合意とみなされない犯罪です。ましてや13歳以下を対象とする小児性愛は、精神障害と認定されています。ジャニー氏もその可能性は高いでしょう。戦国時代は殿様と小姓という関係がありましたが、同じようなものを現代に持ち込むのは、日本の伝統でもなんでもなく因習だと考えています。

そして、クリエイターのためにもです。
クリエイターは成果や功績さえ出せれば、犯罪も免責される、なんて世界を望むんですか。
それって「芸能人はみんな大麻やクスリやってる」みたいな思い込みと同様の風評被害を生みませんか。
創作に真摯に向き合う人間たちを侮辱することになりませんか。

最後に山下達郎について。
ジャニー氏を尊敬しているなら、別にそれで良いと思っています。ご縁とご恩を大事にしているのも素晴らしいです。
ただ、引っかかったのは松尾氏の一連の発言を「憶測に基づく批判」と矮小化したこと。
そして、「今回の報道が出るまで噂でしかなくて」と噂を知っていながら、何も知ろうとしなかったことです。
普通、クライアントのよからぬ噂を聞いたら、巻き込まれぬよう調べると思うんですが。文春ぐらい読めるでしょ。
音楽家なのに耳を塞いでいたんだなあと考えたら、なんかダサいな~、忖度してんな~と思いました。
歌は好きなんですけどね。
No.69
17ヶ月前
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  第475号 2023.7.18発行 「小林よしのりライジング」 『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。 毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、著名なる言論人の方々が出版なさった、きちんとした書籍を読みましょう!「御意見拝聴・よいしょでいこう!」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが現代社会を鋭く分析「トンデモ見聞録」や小説「わたくしのひとたち」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行) 【今週のお知らせ】 ※「ゴーマニズム宣言」…先週は「LGBT理解増進法」について書いたが、偶然その配信日にトランスジェンダー女性の女子トイレ使用制限をめぐる訴訟の最高裁判決があった。これは非常に意義のある判決で、次はそれを書こうと準備していたのだが、その翌日にはryuchell(りゅうちぇる)の自殺という衝撃的なニュースが入ってきた。りゅうちぇるのことは最新刊『よしりん辻説法⑥ 恋愛論・完』でも描いているが、今回の件でさらに考え直した部分がある。「性自認」に対する正確な知識とは何なのか?「SNSにおける誹謗中傷が原因」としてしまって良いのか?政治家がネット投稿を取り締まると言い出したことはどう考えるべきなのか?「ホルモン治療によって精神バランスが崩れたため」という意見はどうなのか?この件から考えるべきことは膨大にある! ※泉美木蘭の「トンデモ見聞録」…現在、ヘルパンギーナが大流行中だ。今年は全国約3000の小児科定点医療機関から2万人以上の報告があり、過去10年で最も多い数となっている。小児科専門医の斎藤昭彦氏によると、「コロナ対策で病気になる機会が減って、免疫が低下したことが原因の1つと考えられる」という。このヘルパンギーナの流行を知らせる記事によれば、ヘルパンギーナの原因であるエンテロウイルスは、腸管で増殖するため、便の中のウイルスが圧倒的に多いらしい。そのため、「糞口感染」が主な感染ルートになるという。某学者から「下水が完備されている先進国では大きな問題にならない」「接触感染はほとんどない」と否定されていた「糞口感染」!!これはどう考えるべきなのか? ※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」…インド版アニメ『おぼっちゃまくん』の契約では先生もちゃんと儲けられる内容になってるの?一生独り身でいるということは、孤独死だけでなく私生活全て晒されてしまうという覚悟も持たなければならないもの?ロシアは日本に対してもウクライナ同様、未だに征服心丸出しでは!?ジャニー喜多川氏の件で、山下達郎氏がジャニーズ擁護論者とネット民からみなされて炎上している件をどう捉えている?…等々、よしりんの回答や如何に!? 【今週の目次】 1. ゴーマニズム宣言・第504回「〈性自認〉の曖昧さを保守としてどう捉えるか?」 2. しゃべらせてクリ!・第431回「スーパー絶交仮面は今日も飛ぶのでしゅ!の巻【後編】」 3. 泉美木蘭のトンデモ見聞録・第298回「腸管で増えるウイルス、やはり糞口感染・接触感染だった」 4. Q&Aコーナー 5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど) 6. 編集後記 第504回「〈性自認〉の曖昧さを保守としてどう捉えるか?」  ひたすら弱者・少数者に同調し、あまつさえ弱者・少数者は「聖なる者」と思い込んだら、それは左翼、乃至リベラル・サヨクの空疎な立場に回収されてしまう。この世に楽園はないのだから、リアリズムに立脚した理想に向かう道を選ばざるを得ない。空想平和主義や、空想平等主義に堕ちるわけにはいかない。  先週は「LGBT理解増進法」について書いたが、偶然その配信日にトランスジェンダー女性の女子トイレ使用制限をめぐる訴訟の最高裁判決があった。  これは非常に意義のある判決で、次はそれを書こうと準備していたのだが、その翌日にはryuchell(りゅうちぇる)の自殺という衝撃的なニュースが入ってきた。  りゅうちぇるのことは最新刊『よしりん辻説法⑥ 恋愛論・完』でも描いているので、これは先に論じなければならないだろう。  りゅうちぇるについてはわしも見誤っていて、極めて普通の道徳的な感覚で捉えていた部分があった。  だから、りゅうちぇるとぺこが離婚した際は、まずぺこが可哀想だと感じ、りゅうちぇるは無責任じゃないかと思ってしまった。  それで、こんなことなら結婚しなければよかったし、子供を作らなければよかっただろうという道徳的な気持ちから、『恋愛論・完』の中で 「自分探しは子供をつくる前に終わらせておかねばな」 と書いてしまったのである。  だがこれではまだ「性自認」の認識が甘かったと言わざるを得ない。 「性自認」はどこかの時点で固定するもので、自身の意識の上でも踏ん切りがつけられるものだという思い込みが残っていたのだが、それは間違っていた。   人によっては、「性自認」が一生定まらずに揺れ動き続ける場合もあるし、それは本人の意識ではどうにもならないものだった。   りゅうちぇるの性自認は、幼少時にはLGBTのどれにも当てはまらなかったらしい。 前回書いたが、心の性にはLGBT以外に、 無性 (女性でも男性でもない)、 両性 (女性でも男性でもある)、 中性 (男性と女性の中間)という「Xジェンダー」と呼ばれるものもある。  りゅうちぇるは、身体性は男性で、女の子が好き、かわいいものが大好きで、仕草のいちいちが女っぽく、何をしてもからかわれることが多かったそうで、 「これで男の子が好きな方がまだわかりやすいし、楽って思っちゃってた。それか普通の男の子になりたいと思ってた。こんなにかわいいものが好きなのに、なんで女の子が好きなんだろう」 という葛藤を抱えていたと自ら語っていた。  りゅうちぇるは高校卒業後に沖縄から上京、バイト先の古着店でぺこと出会い、交際に発展。二人でタレントとして成功した後、結婚。男児が誕生する。  りゅうちぇるはこの時のことを、「 女性を好きになることは、僕の人生の中で、初めての事でした」「一生一緒に居たいと思えたからこそ結婚して 夫婦になる道を選択し そしてその愛が形になり、最愛の息子も生まれました」 と振り返っていた。  しかしその後、りゅうちぇるは 「父親」であることは心の底から誇りに思えるのに、「夫」であるということはものすごく苦しくなってしまい、生きていくことさえ辛いと思う瞬間もあったという。 「父親」の自認は誇りなのに、「夫」の自認は苦痛なんて、標準的な男であるわしからすれば、意味が分からないと思ってしまう。  そして、全ての気持ちをぺこに打ち明け、話し合った結果 「これからは“夫”と“妻”ではなく、人生のパートナー、そしてかけがえのない息子の親として、家族で人生を過ごしていこうね」 ということになり、離婚。そしてその後も家族として同居を続けていた。   血のつながった「親子」であれば、自分がこの子の父親だという関係は自然に受け入れられたが、元は他人である「夫婦」の場合は、その前提に「男」と「女」という性自認がなければ、関係が成り立たなかったということらしい。  りゅうちぇるにはおそらく「男」という明確な性自認がなく、それでもぺこと恋をして子供も出来て 「父」にはなったが、「夫」であり続けることには耐えられなかったのだろう。  そのために離婚して、ぺこと「夫婦」ではなくなるが、「人生のパートナー」ではあり続け、家族として一緒に生活するという判断をしたのだ。  では、離婚から1年足らずで自殺という悲劇に至った理由は何なのだろうか? 
小林よしのりライジング
常識を見失い、堕落し劣化した日本の言論状況に闘いを挑む!『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりのブログマガジン。小林よしのりが注目する時事問題を通じて、誰も考えつかない視点から物事の本質に斬り込む「ゴーマニズム宣言」と作家・泉美木蘭さんが圧倒的な分析力と調査能力を駆使する「泉美木蘭のトンデモ見聞録」で、マスメディアが決して報じない真実が見えてくる! さらには『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成させる大喜利企画「しゃべらせてクリ!」、硬軟問わず疑問・質問に答える「Q&Aコーナー」と読者参加企画も充実。毎週読み応え十分でお届けします!