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  • 「竹田恒泰スラップ訴訟」小林よしのりライジング Vol.473

    2023-07-04 18:4585
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    第473号 2023.7.4発行

    「小林よしのりライジング」
    『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。
    毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、著名なる言論人の方々が出版なさった、きちんとした書籍を読みましょう!「御意見拝聴・よいしょでいこう!」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが現代社会を鋭く分析「トンデモ見聞録」や小説「わたくしのひとたち」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行)

    【今週のお知らせ】
    ※「ゴーマニズム宣言」…ニセ旧皇族の竹田恒泰が、公論戦士たちがツイッター上で連日「宮さま詐欺師」と批判し続け、これをまとめて総合プロデューサー・ちぇぶがゴー宣道場ホームページにアップしていることを、「名誉棄損だ」と訴訟をチラつかせ始めた。竹田は以前にも、これと全く同じといっていい形で、ツイッター上の批判を「名誉毀損」として裁判を起こし、地裁・高裁で全面敗訴、最高裁で上告棄却という「完敗」を喫している。竹田は裁判の勝ち負けなどどうでもよく、訴訟費用や、訴訟に伴う時間や労力の負担に耐えられない一般市民が、訴訟リスクを恐れて言論を萎縮するようにさせることが目的なのである。典型的な「スラップ訴訟」という手口を使う宮さま詐欺師・竹田恒泰に対して怯む必要はない!!
    ※泉美木蘭の「トンデモ見聞録」…先日、参政党の神谷宗幣参院議員が党公式のYoutube動画のなかで「一番やるべきことは宮家の復活」「天皇陛下に側室を持っていただいて、たくさん子供を作っていただく」と発言し、ドン引きされている。参政党は、高齢者からは相手にされていないが、Youtubeやtwitter、TikTokなどで情報を発信して、若年層ほど多くの人が投票している。演説会では「日本男児」「大和撫子」「大和魂」「テレビは真実を報道していない」などの言葉が飛び交い、党内には若者向けや女性向けのサークルが作られており、参加した者は、自分が日本人であることが心地よくなるという。これらの光景、私は、某所で見たことがある。竹田恒泰が主宰する「竹田研究会」だ!参政党と竹田研究会の意外な共通点とは?
    ※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」…天皇の仕事は女性に押し付けていいものではない?ロシアにおけるワグネルのように、中国国内でも反乱が起きる可能性はある?「風間公親 教場0」、風間はなぜ教場に行ったの?グラビアアイドルのプール撮影会がポリコレによって中止になった件をどう思う?広末涼子のW不倫スキャンダルをどう見ている?市川猿之助の件のように、俳優が事件を起こすと出演作品を軒並み放映中止にする風潮は当然のことなの?…等々、よしりんの回答や如何に!?


    【今週の目次】
    1. ゴーマニズム宣言・第502回「竹田恒泰スラップ訴訟」
    2. しゃべらせてクリ!・第429回「アメとムチで、よしりんに傑作描いてもらうぶぁ~い!の巻【後編】」
    3. 泉美木蘭のトンデモ見聞録・第296回「『参政党』と『竹田研究会』の意外な共通点」
    4. Q&Aコーナー
    5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど)
    6. 編集後記




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    第502回「竹田恒泰スラップ訴訟」

     公論イベントSpecial「愛子さまを皇太子に」開催まで3週間を切った。
    「男野系子」が参戦するという「SPA!」掲載の広告も大反響で、応募者が殺到して早々に締め切ることになったが、かなり落選者を出さなければならないかもしれない。落選した人、応募を見送った人は、ニコニコ生放送とYouTubeLIVEで行う完全無料生放送で楽しんでいただきたい。

     この戦いは勝たなければならない。そして、勝つと確信している。
     その確信を強くしてくれているのが、公論戦士たちによる「論破祭り」の連戦連勝、圧勝に次ぐ圧勝だ。
     男系派の論客はひとつ何か言えば、たちまち反論の集中砲火を浴びる。しかもその反論の仕方がひとつひとつ全て違って、あらゆる角度から論破されまくるのだから、怖くて仕方がないだろう。最初は虚勢を張ってマウントを取りに来ていた言葉の勢いが、明らかに弱々しくなっていくのが見えるのも愉快なところだ。

     中でもニセ旧皇族の竹田恒泰については、公論戦士たちがツイッター上で連日「宮さま詐欺師」と批判し続け、これをまとめて総合プロデューサー・ちぇぶがゴー宣道場ホームページにアップしている。
     すると竹田は6月26日、ツイッターに
    「詐欺師」というのは名誉毀損に該当します。削除をお勧めします。リツイートや拡散するのも同様です。見かけた方はリツイートした方に教えてあげてください。最近は言論空間での誹謗中傷は社会問題となっていて、侮辱罪も厳罰化されました。
    と投稿、続けて27日には
    【訴訟予告】警告しましたが対応がありませんので、サイトの運営責任者である有限会社よしりん企画と執筆者「ちぇぶ」への訴訟を準備します。
    と投稿した。
     議論もせずに、いきなり訴訟をチラつかせ始めたのだ。

     そもそも竹田に対して「宮さま詐欺」とか「いるいる詐欺」とか言い出したのはわしが最初だし、ゴー宣道場サイトも、ちぇぶが総合Pを務める公論イベントも、わしが主催者であることは誰にもわかるはずだ。
     それなのに竹田は「小林よしのり」だけは避けて「よしりん企画」と「ちぇぶ」をターゲットにしているわけで、これだけでも竹田の卑怯さとヘタレぶりが露わになりすぎていて、何の脅しにもなっていない。
     実際、公論戦士たちも全くひるむことなく、変わらぬペースで竹田の論破を続けている。この調子でどんどん竹田を「宮さま詐欺師」と呼んで、その事実を一般常識として定着させてほしい。
     たとえ竹田が裁判に訴えたとしても、ダメージを喰らうのは一方的に竹田だけだ。むしろ、訴えるつもりならぜひどうぞと言いたいくらいだ。

     実は竹田は以前にも、これと全く同じといっていい形で、ツイッター上の批判を「名誉毀損」として裁判を起こし、地裁・高裁で全面敗訴、最高裁で上告棄却という「完敗」を喫している。
     その裁判については、訴えられた戦史・紛争史研究家の山﨑雅弘氏が『ある裁判の戦記 竹田恒泰との811日間の戦い』(かもがわ出版)という著書にまとめているので、今回は同書から、竹田がやったことを紹介しておこう。
     事の発端は令和元年(2019)11月、富山県朝日町の教育委員会が町内の中高生全員に受講させる「教育講演会」の講師に、竹田を招こうとしたことだった。

     山崎氏はそれをツイッターで、こう批判した。
    竹田恒泰という人物が過去に書いたツイートを4つほど紹介するだけでも、この人物が教育現場に出してはいけない人権侵害常習犯の差別主義者だとすぐわかる。富山県朝日町の教育委員会が、何も知らずに彼をわざわざ東京から招聘するわけがない。つまり今は教育委員会にも差別主義者がいる可能性が高い。
     これに続けて山崎氏は、竹田のツイートから「韓国は、ゆすりたかりの名人で、暴力団よりたちが悪い国だ。そういう国とは、付き合わないのが一番」「そもそも韓国に、毀損されるような名誉があるのか???」などの発言を引用、紹介した。
     するとその数日後、山崎氏のツイートとの関連は不明だが、朝日町教委は竹田の講演会中止を発表。竹田は、山崎氏が教委への「脅迫」を煽動したから中止にされたと言いがかりをつけ、さらに「ツイートを削除しなければ名誉棄損で訴訟を起こす。リツイートした者も提訴を検討する」と脅し始めた。

     竹田は今も「ツイートを削除しなければ訴訟。リツイートした者も同様」と脅しをかけているわけで、やっていることは全く変わらない。
     山崎氏が削除を拒否すると、竹田はツイートの削除と謝罪、そして慰謝料550万円を求めて訴えた。
     実際に提訴されると、山﨑氏は弁護士報酬など裁判費用の捻出に頭を抱えた。しかし、竹田の脅しを跳ねつけリツイートを解除しなかった思想家・内田樹氏が支援を表明して「裁判を支援する会」を立ち上げ、裁判費用の募金を呼びかけた。すると2週間で1000万円を超える寄付が集まり、裁判闘争が可能になったのだった。 
  • 「コロナ禍の後始末」小林よしのりライジング Vol.472

    2023-06-20 16:30153
    300pt
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    第472号 2023.6.20発行

    「小林よしのりライジング」
    『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。
    毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、著名なる言論人の方々が出版なさった、きちんとした書籍を読みましょう!「御意見拝聴・よいしょでいこう!」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが現代社会を鋭く分析「トンデモ見聞録」や小説「わたくしのひとたち」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行)

    【今週のお知らせ】
    ※「ゴーマニズム宣言」…今回は、コロナ禍から派生した諸問題の後始末をしておきたい。新型コロナ絡みの補助金・給付金等の不正受給、ワクチン副作用問題、戦争と「軍産複合体」、人間と国際法、世界と善悪、保守思想と「常識」「庶民の知恵」、そして「しょうがない」という諦念と陰謀論…考えるべきことは山ほどある。なぜ「陰謀論」に嵌ってしまう人がこれほどまでに増えたのか?その深層心理とは何なのか?「陰謀論」に嵌らないために必要なことは何か?いつまでも非日常に酔いしれている暇はないぞ!!
    ※泉美木蘭の「トンデモ見聞録」…コロナウイルスなら、一度感染すれば免疫ができて、二度目、三度目と繰り返すたびに症状は軽くなり、やがて発症すらしなくなるのが通常だが、インボーデミックは違う。初期の「ビル・ゲイツ株」に感染した人々は、「ディープステート株」「ぺんたごん株」など変異株に次々と感染しては、ますます重篤な症状を発症中だ。今週の『インボーデミック最前線』は、2種類の変異株「養鶏場株」「マブチ株」についてお届けする。鳥インフルエンザの蔓延と、養鶏場の不審火、そしてLGBT…すべては地下水脈でつながっている!?
    ※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」…男系カルトの主張する旧宮家系国民男性の皇籍取得は、天智天皇の孫とされる道鏡を天皇にすることと何ら変わらないのでは?盲目の恋に陥った事はある?夏ドラマはどれに注目している?18歳の自衛官候補生が上官を銃で射殺した事件、自衛隊の指導体制や最近の若者をどう思う?広末涼子の不倫でドラマの出演が見送りになったりCMが降板になったりしているのはやり過ぎでは?牛乳嫌いな子供が増えて、給食の飲み物から牛乳が消えている!?…等々、よしりんの回答や如何に!?


    【今週の目次】
    1. ゴーマニズム宣言・第501回「コロナ禍の後始末」
    2. しゃべらせてクリ!・第428回「アメとムチで、よしりんに傑作描いてもらうぶぁ~い!の巻【前編】」
    3. 泉美木蘭のトンデモ見聞録・第295回「インボーデミック最前線~陰謀論『養鶏場株』『マブチ株』」
    4. Q&Aコーナー
    5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど)
    6. 編集後記




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    第501回「コロナ禍の後始末」

     ついに『愛子天皇論』が発売された。さあ大逆転の始まりだ。
     この戦いは、勝つまで続ける。長期戦になるか、短期決戦となるかはまだわからないが、その戦いの途中経過についても今後、ここで書いていくことになるだろう。
     だがその前に今回は、コロナ禍から派生した諸問題の後始末をしておきたい。

     2日、東京都の福祉保健局は、新型コロナの無料PCR検査を行っていた588の事業者のうち11事業者が、検査数を水増しするなどの手口で、都の補助金を不正に申請していたと発表した。
     不正申請の額は合計183億円に上り、そのうち16億7000万円余りが交付されていた。
     一部の事業者は不正を認めて返還に応じている一方、不正を認めていない事業者もあり、既に破産手続きをしている者もいるという。
     ただし、国や地方公共団体からの補助金を不正受給した場合は、破産したからといって免責はされない。

     破産法253条の規定により、個人が不正に受給した各種給付金・補助金などは、法的に自己破産しても、税金と同じで返還の支払義務が残り続ける。
     個人の持続化給付金ならば、不正受給額プラス20%のペナルティに年3%の利率を加えて返還しなければならず、この義務は利息も含めて全額払い終わるまで、一生ついてくるのだ。
     医療法人等が受給した場合は、破産手続をすれば法人が消滅するので、不正受給した補助金の返還義務も消滅する。
     だが、法人の代表者や実質的経営者の責任が消滅するわけではない。破産によって返還できないという場合には、「計画倒産」の可能性や「隠し財産」の有無などが厳しく精査され、その結果によっては、詐欺破産罪等の罪に問われることになる。

     都は警視庁に情報提供を行うとともに、今後も調査を進める方針で、都の担当者は「税金によってまかなわれる事業で不正があったことはゆゆしきことだ。徹底的に調査し、厳正に対処していく」と表明している。
     大阪府では370の事業者に無料PCR検査を委託していたが、そのうち15事業者を抽出調査したところ、少なくとも7事業者に不正申請が発覚、不正申請額は約42億円に上るという。大阪府は残りの事業者も調査し、悪質事案は警察への告訴も検討するとしている。
     さらに新型コロナワクチン接種では、近畿日本ツーリストが全国の自治体から請け負った事業で、過去3年間に最大で約16億円もの過大請求をしていた可能性があると発表。詐欺容疑で大阪市の支店長ら3人が逮捕されたが、これが個人の犯罪であるとは思えず、企業ぐるみの巨額詐欺事件に発展する可能性もある。

     他にも新型コロナ絡みの補助金・給付金等の不正受給に関する報道は枚挙にいとまがなく、日本全国詐欺だらけという様相だが、これでも氷山の一角のはずだ。
     そして、いくら法律的には「逃げ得」が許されないようになっているとはいえ、それでも現実的には、全額を回収するのはおそらく不可能だろう。
     そうなったら、我々の税金が無駄に消えていくことになるのだが、それでいいのだろうか?
     その損失は、本来、コロナを煽った奴らが埋めるべきであろう。マスコミの煽り魔どもが大衆の恐怖を煽り、PCR検査やワクチン接種を勧めまくり、とにかく非常時だから迅速に事業を進めなければならないということになって、性善説で杜撰な手続きによって補助金を出しまくったからこそ、こんなことになってしまったのだ。
     その責任は全て、煽った者にある。全額、煽った奴らが払え!!

     さて、11日に開催した『オドレら正気か?LIVE コロナと陰謀論』のゲスト、在宅緩和ケア専門医・萬田緑平氏は大好評で迎えられ、「全ての病気は『老化』に名前をつけたもの」で、誰も老化は避けられないといった萬田氏の「死生観」などについての話は、大いに参加者の賛同を得た。
     ただ、萬田氏がコロナワクチンの被害に遭った人のことを「仕方がない」という言い方をした時には、若干引いた人もいたようだ。
     わしも、萬田氏の言葉に同感するところなきにしもあらずだが、全面的に「自己責任」にすることには躊躇を覚える。 
  • 「〈ビル・ゲイツの人口削減計画〉の正体」小林よしのりライジング Vol.471

    2023-06-06 16:30188
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    第471号 2023.6.6発行

    「小林よしのりライジング」
    『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。
    毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、著名なる言論人の方々が出版なさった、きちんとした書籍を読みましょう!「御意見拝聴・よいしょでいこう!」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが現代社会を鋭く分析「トンデモ見聞録」や小説「わたくしのひとたち」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行)

    【今週のお知らせ】
    ※「ゴーマニズム宣言」…前回は「人口削減計画」を「最近の陰謀論のトレンド」と書いたが、もう少し調べてみたら、これはトレンドというよりも古典的な大定番で、ずっと前から陰謀論者が繰り返し言い続けてきたものだということがわかった。そして、その起源は『宇宙戦争』『透明人間』『タイム・マシン』などの作品で「SFの父」といわれるイギリスの作家、H.G.ウェルズ(1866-1946)にさかのぼるらしい。さらにそこから「新世界秩序陰謀論」というものが発生した。それは、資本家や官僚などの一部エリートが、統一された世界「ワン・ワールド」を作って全体主義的な世界支配をすることを目指し、陰謀を展開しているというものだった。実はこれこそが現在流通している、ありとあらゆる陰謀論の中核を成しているものなのである。世の中で起こる大抵の出来事を、ひとつのストーリーの中に回収してしまう“陰謀論者”たちの思考回路とは一体どうなっているのだろうか?
    ※泉美木蘭の「トンデモ見聞録」…陰謀論にはまり込み、常識的な思考を失って、証拠もなければ検証もできない憶測をつなぎ合わせて「黒幕からの指示があったとしか思えない」「何らかの意図があったとしか考えられない」と結論づけていく陰謀論感染者たち。特にSNSの世界では、玉石混交のネットの情報に免疫がないまま、荒唐無稽な陰謀論に衝撃を受けてしまい、「ネットにしかない真実」を興奮気味に拡散する人々が次々と現れて、インボーデミックを巻き起こしている。前回は陰謀「ビル・ゲイツ株」について分析したが、陰謀論者曰く、そのビル・ゲイツも些末な登場人物にすぎず、背後にはもっと大きな悪が存在するらしい!?
    ※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」…G7を広島でやったことで日本の核武装は益々遠のいてしまったのでは?ジャニーズの性加害問題についてどう思う?5類になってもなおコロナを恐れる人々には何をどう言えばいい?まともな野党は出て来ない?岸田総理の息子の問題と辞職、そしてそれを報道するマスコミについてどう見ている?無人販売店の窃盗事件が相次いでいるけど、そんな「性善説」で成り立つ商売は不可能なのでは?「週刊少年ジャンプ」等で連載していた時は「ライバルを潰そう、蹴落とそう」等と考えていた?…等々、よしりんの回答や如何に!?


    【今週の目次】
    1. ゴーマニズム宣言・第500回「〈ビル・ゲイツの人口削減計画〉の正体」
    2. しゃべらせてクリ!・第427回「こりは夢か幻でしゅか? 美人女湯に闖入ぶぁい!の巻【後編】」
    3. 泉美木蘭のトンデモ見聞録・第294回「インボーデミック! 陰謀論検証『ペンタゴンがすべて仕組んだ』?」
    4. Q&Aコーナー
    5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど)
    6. 編集後記




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    第500回「〈ビル・ゲイツの人口削減計画〉の正体」

     6月11日午後2時から、在宅緩和ケア専門医・萬田緑平氏を迎え、オドレら正気か?LIVE『コロナと陰謀論』を開催、生放送でも配信する。

     

     ゲストにはもうひとり、大阪市立大学名誉教授・井上正康氏を予定していたが、キャンセルした。これまでの公論イベントで、一度依頼したゲストをこちらからキャンセルした前例はないはずだが、もう仕方がない。

     井上正康氏には、わしは『コロナ論』シリーズを描く際、新型コロナウイルスやワクチンに関して非常に多くを学び、『コロナ論3』で対談して以降、漫画の中にも何度も登場させている。
     それだけに、最近の井上氏がすっかり「陰謀論」に嵌ってしまったことは、『コロナ論』シリーズの信用にかかわる大問題である。
     全5巻の『コロナ論』のうち4巻までは既に文庫化されたが、最終5巻の文庫は、とっくに巻末の「解説」も入稿してもらったのに、未だ出版されていない。この「陰謀論」の問題を総括しないまま、出すわけにはいかなくなったからである。
     5巻の解説は、新聞の「意見広告」で子供へのワクチン接種の再考を訴える運動を展開した「たけし社長」に頼んだが、その意見広告も井上氏の学識を基に作成していたわけだから、なおのこと陰謀論には文庫版『コロナ論5』でカタをつけなければならないのだ。

     たけし社長と共に意見広告運動に尽力した「世界のゴー宣ファンサイト」のカレーせんべい氏も怒り心頭の様子で、井上氏がメルマガやネット生放送などで主張する陰謀論をその都度収集して、同サイトで晒している。
     いちいち井上氏のネット上の発言までチェックする余裕のないわしには非常に有難いのだが、それにしても井上氏は、驚き呆れることばかり言っている。
     曰く、「『人口削減計画』が予定通りの手順で進められており、日本がその最初のターゲットとなる可能性がある」(メルマガ・5月20日)
     曰く、「ディープステートの人たちが、日本人をモルモットにしていろんなことをやっている」(ネット動画・5月27日。発言自体は対談相手の原口一博衆院議員のものだが、井上氏も完全に同意している)
     曰く、「ビル・ゲイツがリンゴなどの表面にワックスを塗って、それを食べた幼児が死んだ疑いがある」(ネット生放送・5月26日)
     まだまだあるが、以下は略しておく。

     前回の「陰謀論というSNS劣化現象」でも書いたが、
     こんなものは「常識的な思考」ができている人ならば、いちいち事の真偽を確かめるまでもなく、聞いた瞬間に「ありえない!」と一蹴するはずだ。
     もしこれが本当だというのなら、「ビル・ゲイツを殺人罪で逮捕しろ」と主張したらどうだ? 間違いなく頭がおかしいと思われるから。
    「ディープステート」って何だ? そんな、仮面ライダーの敵「ショッカー」みたいな闇の組織なんかあるのか? どこにいる、誰のことだ?
    「人口削減計画」だって!? そんなもんなくても、日本の人口はどんどん減少していて、少子化対策をしているほどじゃないか。知らないのか?
     もしも日本の少子化までが陰謀の結果だというのなら、なぜインドではその人口削減計画とやらが行われていないのか!?
     最近の陰謀論では、人口削減計画でも何でもかんでもビル・ゲイツが企んだことになっていて、井上氏も完全にそのパターンどおりの発言を繰り返しているが、なぜビル・ゲイツがそんなことを言わなければならない? 人口が増えた方が、マイクロソフトの製品が売れていいはずじゃないか?

     前回は「人口削減計画」を「最近の陰謀論のトレンド」と書いたが、もう少し調べてみたら、これはトレンドというよりも古典的な大定番で、ずっと前から陰謀論者が繰り返し言い続けてきたものだということがわかった。
     そして、その起源は『宇宙戦争』『透明人間』『タイム・マシン』などの作品で「SFの父」といわれるイギリスの作家、H.G.ウェルズ(1866-1946)にさかのぼるらしい。
     ウェルズは1900年以降、上記のような科学ロマン的な空想小説に代わって文明批評的な小説を書くようになり、社会主義に傾倒。社会改良運動家としても精力的に活動した。
     ウェルズは1905年の小説『モダン・ユートピア』で、「世界国家」が完成して戦争が根絶され、何よりも個人の自由が重視されている社会を描いた。
     またウェルズは、議論を好まないダーウィンの代わりに進化論論争の最前線で戦って「ダーウィンの番犬」と呼ばれた生物学者、T.H.ハクスリーを尊敬して生物学・進化論を学び、優生主義者になっていた。
     もともとユートピア思想と優生思想は非常に親和性が高い。例えばユートピアを、健康で美しい人々が理性的に暮らしている「理想的」な社会とイメージすれば、それは逆に言えば、ある基準に満たない人々が暗黙のうちに排除されている社会であることを意味するわけで、そこには優生思想が一体となって入り込んでいるのである。