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santafede33さん のコメント

今年の夏は、例年通り、肌寒い日々が続いた。それもそうだ、メキシコをはじめとするラテンアメリカの首都は、大体2000メートルを超える高地に作られていることが殆どだからだ。コロンビア・ボゴタ、エクアドル・キト、ペルー・クスコ、ボリビア・ラパス、チリ・サンティアゴ、そしてメキシコ・メキシコシティ。なので、世界的な異常気象なのか、全く実感がわかない日々が続いていた。異常気象も先進国だけが独占しているトピックにさえ見える。
6月からは雨期が始まったことも相まって、我々の非常に短い夏が始まる。

そんな今年の夏は、何度も海に出かける機会があった。ビーチに行くたびに、そこは夏のようだった。まるで夏を演じているような雰囲気だった。私たちが失ってしまった。(首都に住む人間たちは、とっくの昔に夏を放棄し始めている、というのは嘘で。我々の夏は、実は4月のリザレクションにやってくる。土埃と信仰と血が混ざり合う、我々の神をたたえるための季節)こちらでもビーチに行けば、少しは湿気を感じる。だが、日本のような湿気とはほど遠く、あまりにも過ごしやすく、ビールは軽く、女性たちはどこまで行っても褐色で健康的だ。夏と軽さが、彼女たちをそうさせているように見える。

今年はフレッシュだったか?と聞かれれば、その答えは、Síだ。だが、この答えは、もう500年前から変わっていない。フレッシュでなかった夏を僕達は知らないし、フレッシュさがない時期に憧れたりさえもする。たまには、フレッシュでなく、軽くなく、健康的でない夏がいい。
そんな我々のパイサたちが、現在の日本に大量に押し寄せている。(そういえば、この間、日本への直行便フライトに乗る密輸犯の増加に政府が警告を出していた。)そんな彼らが、現在、大量に救急搬送されていると聞いている。日本は世界一の治安を誇る国だと知っている彼らは、すべてを信頼してしまう。ここにいては信頼できることがとても乏しいから。そして、日本に行った私たちのパイサたちは口を揃えていう。日本の救急車がどれだけ素晴らしいか、どれだけ素晴らしい病院食だったか。それも含めて、憧れる。

私たちにとって一番大切なのは、憧れを失ってしまうことの悲しさだ。その憧れが、フレッシュネスを生みつづけている。

たとえ、わたしたちの住む街が地獄だったとしても。それは憧れとは関係のないことだ。
No.5
13ヶ月前
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 *今日の日記は「大恐慌へのラジオデイズ」と多くがリンクしているので、「あれは聴かない派」の皆さんは、この数回で良いので聴いて頂きたい。最新回は今夜0時にアップされます。    整体師にも精神分析医(元)にも「今、物凄いエネルギーが出ているから、いろんなことが起こると思うんで、とにかく気をつけてください笑」と、一字一句違わない台詞を言われているうちに(なんと)8月が終わってしまった。ここでいう「エネルギー」の実態解釈が違うだけで、両者の言うことは全く同じだ。    今、形成外科の待合室で書いている。もう忘れてしまった方もいるかも知れない。公道で自転車と激しくぶつかって、一瞬で左太ももが肉離れを起こした。あれの2度目のチェックである。自覚的には8割方治っているのだが、骨盤の付け根のあたりがまだちょっと痛い。あと10分ほどで呼ばれるはずだ。    たった昨日の話になる。昨日やっと、インプラントの前歯の本歯(決定義歯)が入った。テクノロジーの発達はどれも素晴らしい。3 D プリンターによって完全修復された「元々の歯」と、全く同じ、としか言えない感覚。「え?オレ、なんか一時的に(元々の)歯を外して、違う歯でも入れてたかね?」とでも言うべき感覚。  
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