「菊地成孔のアンダーグラウンドX (26/6/2=No.40)」
菅原洋一が亡くなって、そりゃあ故人がシャンソン出身の歌謡歌手として(亡くなるまで現役で、シャンソニエとしてジャンルミュージックに殉じた、生涯バイウエイの歌手だったことは言うまでもないけれども)テレビに毎日のように出演していた頃、それはテレビジョンの黄金期で、僕も毎日のように見狂っていたのでよく覚えているし、紐づけられた記憶がどさーっと山のように引きづり出されるような所はあるのだが、僕は90過ぎた人間というのは、ほとんどが半分は死んでいると思っていて、良くもまあ「人生100年時代」という、楊貴妃不老不死のプロレタリア版みたいな事をメディアは言うよなあと思った。
前にもちょっと書いたが、日本人の平均寿命は、医学の発展&公衆衛生の向上とガッツリ関わっている。戦後の高度成長期に、日本人の平均寿命は50代から80代へと一気にハイジャンプした。少しずつ少しずつと伸びていったのではない。これには「乳幼児の死亡率」という、これぞまさに数のカラクリ、というポイントを抜けば(各自検索)、結核に対する治療法の確立(抗生剤という概念の結実と使用開始)、公害の減衰と一般的な公衆衛生の激的向上(オリンピックに向けて)、更には問答無用の死病とされていたガン治療の発達、等々によって、大ジャンプを果たし、21世紀に入って、全く同じ構造で、60が80へ、そして80が100へ。という形で伸びているのだが、これはつまり、社会風俗、政治経済の預かり知らないところで(国民皆保険の制度化は大きいだろうが、医療法などは後付けであって、何せともかく薬品開発をはじめとした医療テクノロジーの向上が押し上げているのである。
何が言いたいのかというと、我々は環境とテクノロジーによってどんどん長生きさせられているわけで、これは、人間側の要請というか、人間が「誰だって1ヶ月だって長生きしたい」という前提に立たないと実行できない。この件は例の「誰だって反戦であって、好戦者はいない」が前提になるかどうかの話と同一線上にある。社会風俗、政治経済以前に、人間側の多様性と個人の尊厳が失われている。
僕は、もし人間の平均寿命が100になったら、90超えの人々には尊厳死の権利を国が与えるべきだと思う。ゴダールが示したことはこれだ。
「菊地成孔のアンダーグラウンドX (26/5/29=No.39)」
「軽い肺炎」を庇ったままゲンロンに出たら、結果として熱が40度まで上がって咳と痰が3倍付けになってしまった笑。前回、「仕事がオーヴァーフローして倒れてしまった」と書いたその口で、ゲンロン1発で再び(もっと酷く笑)倒れてしまったという形。あまりに咳と痰がひどいので、またコロナかなと思い、あらゆる感染症のチェックをしたが、すべてネガティヴだったので、まあまあ良かったとはいえ、今、ロキソニンで解熱こそしているが、昨夜39~40度台を往復したので、目と指先しか動かせない状態で書いている。特に「Hair Cut 100」のチケットを入手していた方々には大変申し訳ありません。何もかもあずまんが悪い、というか僕が悪い、というかそもそも松尾くんが全部悪い笑。もう本当に政治ブーム終わってほしいよ麻辣湯ブームぐらいのもんなんだから。
というか、シンプルな話で、歴史の反復性(帝政や王政の復古や日本の右傾化)といった、巨視的な話、というか、<ネタ>はともかく「誰も彼も=素人もバカも、戦争について真剣に語る」「事が」「ブーム」なんて、こないだのゲンロンに沿っていえば、サイレント転向して左翼リベラル化した新人類バブル世代と、上の世代への嫉妬から自分の世代に呪いのようにしがみつく就職氷河期世代、団塊ジュニア世代という、本来、結束する根拠がなかった3世代の人々が、歴史の反復という大事実と、「Xのお友達」トランプの出現によって一丸となっただけで生じたモンで、火鍋とラーメンとブッフェが健康志向と刺激という火力でマッシュアップしてでき上がった麻辣湯ブームと大差ないでしょ。
「菊地成孔のアンダーグラウンドX (26/5/26=No.38)」
例によって例の如くだが、仕事がオーヴァーフロウして倒れてしまった、今僕は、大切な友人がガンになって(ドラムの秋元ではないです念の為。秋元に寛解のテレパシーを送ってくださいみなさん。でないと、僕が「ポピュリズムに屈せず=石若を絶対に雇用しないというストイシズムの王」であることが見えなくなっちゃうじゃん。逆か?笑)、術後(かなりの大手術)のリハビリをちょこっとサポートしながら生活している訳だが、「ああ、介護疲れみたいなやつですね。介護するほうが倒れたりするんで気をつけてください」といったアレではなく、ガン患者の術後は免疫力がガタ落ちするので酷い風邪を引いてしまい、そのままそれをガッツリ貰ってしまった笑。
ちょっと前に謎風邪で声が出なくなった時、多分アレは宇川くんと同じやつだったんだと思うが、今またアフターコヴィッド19として、新型のウイルスができているので、車とかAIの業界のようだ。僕は完全な非喫煙者になってまだ8~9年で、その前は40年ぐらい吸っていたので、今になって肺気腫がちょこっと出来ているので、新型の風邪なんかくらうとすぐ肺にくる。XーRAYの結果「軽い肺炎ですこれは」と言われて、いろんな吸引役とか貰った。親父が肺ガンで死んだので、僕もそうなるだろうきっと。肺ガンは日本人男性の死因の1位だからコンサバである。
菊地成孔
音楽家/文筆家/音楽講師 ジャズメンとして活動/思想の軸足をジャズミュージックに置きながらも、ジャンル横断的な音楽/著述活動を旺盛に展開し、ラジオ/テレビ番組でのナヴィゲーター、選曲家、批評家、ファッションブランドとのコラボレーター、映画/テレビの音楽監督、プロデューサー、パーティーオーガナイザー等々としても評価が高い。
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