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リカオンさん のコメント

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(不妊治療の続きです。)

出産の準備のため地元の病院への転院を控え、不妊治療の先生にお礼とお別れを言いに行きました。その時先生は、44歳で妊娠した私の例が他の不妊治療している女性達の励みになっていると言われました。それを聞き、私の治療例が知らない誰かの不妊治療を奨励していると初めて知りました。それは科学や医学の進歩なのかも知れないし、子を持ちたい夫婦の福音なのかも知れないのですが、一方で本当にその方向性が良いのかと疑問を持ちました。

2021年には日本で生まれた子のうち、8.6%が体外受精児といいます。また海外を含めて50歳や60歳を過ぎた女性が子どもを出産したと驚きをもって報道されます。しかし、それは果たして歓迎すべき事なのか。

年齢に関係なく子どもを持つ事ができると若い人達に誤ったメッセージを送る事にならないのか。35歳を過ぎると高齢出産でリスクを伴うとか、卵子が老化するとか、実はこんな苦労が待っているとは若い人は知らないのではないか。

病気のために不妊になっているのであれば治療の必要性は納得できます。
しかし社会的な要因で妊娠を恣意的に遅らせて不妊治療をしている場合は、社会で改善すべきだと私は考えます。

2022年の統計では、女性の平均初婚年齢が29.7歳、ほぼ30歳。夫婦生活を2年過ごして子供ができなければ不妊と判断されます。結婚して2年たち、32歳で婦人科の門をたたくと既に高齢出産まですぐそこ、誰もが人ごとではないという厳しい日本の状況です。

そして日本は2021年に中国についで世界で2番目に多い50万件の体外受精を実施しているといいます。人口が3倍近いアメリカですら41万件です。日本の多さが際立ちます。社会の男尊女卑、キャリアか子どもかどっちにするのかと迫られ、両方手に入れたいという希望の狭間で、苦しみ悩んで選択した結果の不妊治療。そしてそれが年々増えているという。

もしも20代の若さでキャリアも結婚も子どもも両立できるのであれば、つらい不妊治療をしなくてもよい人が沢山増えるはずなのです。仕事と家庭の両立という願いは贅沢なのでしょうか?

最近では結婚年齢の上昇やキャリア重視に対応するため、未婚の女性が卵子を若いうちに貯蔵しておき、ライフプランに応じて妊娠できるよう準備される方もいる。

昔、農家の子育ては女性も貴重な働き手で、家族総出で田畑で働き、田んぼの隅で赤ん坊をカゴに入れ、赤ちゃんが腹を空かせて泣けば母親は働く手を止めてお乳を飲ませていたはず。大家族で仕事や育児や家事を助け合う共同作業をしていたはず。仕事と子育ては同時にしていたのです。
昔を懐かしむのではなく、昔の良いところ、優れていたところを今と比べて評価し、どうしたら良いところを取り入れる事ができるのか、それを考える事が必要なのではないか。

自分で高齢出産をして自己矛盾に聞こえるかも知れませんが、もっと女性がキャリアを諦める事なく、体に負担の少ない若いうちに自然に子どもを産み育てられる社会に変えていくことを考えたいです。

子どもが欲しいと考えている女性の皆様が、愚かな私の経験を読んでいただけたなら、なるべく若いうちの妊活をお勧めいたします。「いのち短し恋せよ乙女」とは昔の人はうまく表現されました。卵子の数は生まれた時には既に決まっていると言います。現代人がいくら長寿になっても、繁殖に関する臓器の年齢までは伴って来ないのです。しかし日本は妊活の高年齢化という女性の体にとって歓迎されない方向へ進んでいるように見えます。

人と同じ事をして流されているだけでは、自分の人生を生きた事になりません。自分を縛る様々な思い込み、因習をぶち破り、声をあげ、行動に移されることを願ってやみません。それは不妊治療でも同じことが言えるのではないかと思い、筆をとりました。愛子天皇論の千葉麗子さんの不妊治療の回での感想でもあります。小林先生におかれましては不妊治療に取り組む女性の声を代弁していただき、ありがとうございました。
No.119
4週間前
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第502号 2024.4.30発行 「小林よしのりライジング」 『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。 毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、著名なる言論人の方々が出版なさった、きちんとした書籍を読みましょう!「御意見拝聴・よいしょでいこう!」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが現代社会を鋭く分析「トンデモ見聞録」や小説「わたくしのひとたち」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行) 【今週のお知らせ】 ※「ゴーマニズム宣言」…一昨日に投開票が行われた衆議院補欠選挙の東京15区は、小池百合子都知事が推した作家の乙武洋匡が、なんと百田尚樹の「日本保守党」の候補をも下回る5位落選という大惨敗を喫した。もうこれで小池百合子の影響力など完全に消え失せ、国政復帰など夢のまた夢になったとも言われているが、その選挙の前にまたも話題が再燃していたのが、小池の「学歴詐称疑惑」だった。法的にいえば、公職選挙の候補者が経歴を詐称した場合、公職選挙法違反の犯罪となり、有罪確定の場合は当選無効となる。しかし、そもそもわしは学歴なんかクソ食らえと思っているから、その攻防そのものがバカバカしくて見ていられなかった。なぜいつまで経っても「学歴信仰」が蔓延るのだろうか? ※泉美木蘭の「トンデモ見聞録」…過去、キリスト教を布教させようと数多の宣教師が日本に渡ってきたが、当時の日本人は、他国の文化に対してまったく不寛容な宣教師の傲慢さを見抜き跳ねのけてきた。ところが、それから500年近く経った現代の日本では、「人権」という言葉が「ただ1つの真実」として猛威を振るい、警戒心を抱かれることもなく、「人権遵守」のために、日本人みずから自国の文化をキャンセルしてしまうまでに布教と洗脳が進んでいる。ではその「人権」概念が生まれたフランス革命において、いったい何が起きていたのか知っているだろうか? ※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」…1000万部もコミックが売れると、原作者の生活水準はどのくらい変化するもの?障害者は人権を盾にしなければ戦えない!刑務所で何年も安らかに最期まで過ごしている凶悪犯などについてどう思う?家族でテレビのチャンネル争いをした記憶はある?自分が好きな歌手が憲法9条護持の左翼であっても気にしない?女性の管理職が増えるのは構わないが、それは実力が認められる形で行われるべきでは?日本の大ヒット漫画を生み出している作家は社会的にもっと評価されていいのでは?…等々、よしりんの回答や如何に!? 【今週の目次】 1. ゴーマニズム宣言・第531回「まだ学歴信仰?」 2. しゃべらせてクリ!・第457回「春はとにかくめでたいぶぁい! 歓迎の嵐ぶぁ~い!の巻【後編】」 3. 泉美木蘭のトンデモ見聞録・第325回「フランス革命に見る“人権カルト”の誕生」 4. Q&Aコーナー 5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど) 6. 編集後記 第531回「まだ学歴信仰?」 「作家の全てはそのデビュー作に表れる」 とよくいわれるが、その言葉は確かに当たっているなと、わしもデビュー50周年を前にした今、そう思っている。  一昨日に投開票が行われた衆議院補欠選挙の東京15区は、小池百合子都知事が推した作家の乙武洋匡が、なんと百田尚樹の「日本保守党」の候補をも下回る5位落選という大惨敗を喫した。  もうこれで小池百合子の影響力など完全に消え失せ、国政復帰など夢のまた夢になったとも言われているが、その選挙の前にまたも話題が再燃していたのが、小池の「学歴詐称疑惑」だった。  今となっては、もう小池がカイロ大学を出ていようがいまいが、そんなことはどうだってよかったということになるが、わしとしては「学歴」なんてものが何度も何度も持ち出されて来ること自体が、不快でたまらなかった。   法的にいえば、公職選挙の候補者が経歴を詐称した場合、公職選挙法違反の犯罪となり、有罪確定の場合は当選無効となる。  もしそうなれば小池の政治生命は完全に終わることになるから、小池の失脚を狙う側は何度でもその問題を持ち出すだろうし、小池は必死で防御するだろう。   しかし、そもそもわしは学歴なんかクソ食らえと思っているから、その攻防そのものがバカバカしくて見ていられなかった。  卒業しているかどうかなんて、卒業証書か関連の書類を出せば一発で証明されて終わる話なのに、それがこれだけ何度も蒸し返されるということは、小池の側が未だに卒業したという決定的な証拠すら出せていないのだろうと思えるが、もし本当に学歴詐称だったとしたら、小池は日本国内の学歴では足りないから「カイロ大学卒」なんて学歴を持ってきて、箔をつけようとしていたということになる。  そしてこれに対して、学歴が違うということばかり責め立てていたら、 結局はどっちが勝とうが「学歴が大事」という印象を広めるばっかりになるわけで、わしにはそれが許せなかったのである。  繰り返して言うが、わしは学歴なんてクソ食らえと思っている。   そして、そのことはもうデビュー作『東大一直線』で描いている。  そもそも『東大一直線』は、学歴社会を批判するために描いた作品だった。   主人公・東大通は、この社会は受験戦争に勝った学歴のある者の天下だということを 脳の右半球の直感 で悟り 、学歴のない奴はクソだと言いながら、受験勉強に猛進する。 ところが肝心の受験勉強に必要な、 脳の左半球の論理的能力 がパーだった というキャラである。  その姿を通して受験戦争の滑稽さを描いた作品は大ヒットして、続編『東大快進撃』では東大安田講堂の崩壊を描いて終わっていった。  わしはこれで学歴社会のバカバカしさは描き尽くしたのだが、それから40年以上経ってその認識が浸透したかといったら、全然である。やっぱり今も学歴がもてはやされる世の中は続いているのだ。   テレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」が山口真由をコメンテーターにして、この人は東大を出て、ハーバードも出て、とにかく凄い人なんだというイメージをこれでもかとばかりに大衆に刷り込んだのも、その典型例といえる。  わしから見れば、山口真由なんかただのバカとしか思えない。何しろ皇室に関することを竹田恒泰の本を読んで勉強して、間違った事ばっかり言っているような始末なのだから。  わしは学歴というものに何の憧れもなければ、何の幻想も持っていない。テストの出題者が求める解答を書く技術に長けているだけで、そもそも出題者が間違っているのではないかという疑問など、間違っても浮かばないのが学歴秀才というものなのだ。   ところが未だに新聞には毎年、大学入学試験の問題と解答が何面も使って掲載されていて、あれを見ると、無駄に紙面を使うなと言いたくなる。  そして、それよりもっとわからないのは 週刊誌の大学合格者報道だ。  かつては「東大合格者全氏名」なんてものが載っていて、さすがにこれは個人情報保護ということでやらなくなったが、その後も 「大学合格者高校別ランキング」を毎年「週刊朝日」と「サンデー毎日」が競って載せてきた。  しかし昨年「週刊朝日」が休刊になり、もうそんなバカな企画は一誌だけになったかと思っていたら、なんと朝日はこれを「AERA」に移して継続したものだから、びっくりしてしまった。  しかも 「AERA」はその号だけ定価もページ数も増大した特別号にして、全192ページの雑誌のうち116ページをその特集に費やしていた。 そしてその号の巻頭特集は「上司と部下 飲み誘うのムズすぎ問題」というあまりにもどーでもいい記事を組んでいて、どっからどう見ても「大学合格者高校別ランキング」のためだけに出された雑誌という体になっていた。  どの高校から名門大学の合格者がどれだけ多く出たかなんて、報道する必要があることとは到底思えないが、しかしそれが、これだけ特別扱いするほど商売になる企画らしい。あまりにもバカすぎて、わしには意味が一切わからない。  学歴信仰のインテリ知識人がいかに醜いかという実態は、有難いことに香山リカがしっかり見せてくれた。 
小林よしのりライジング
常識を見失い、堕落し劣化した日本の言論状況に闘いを挑む!『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりのブログマガジン。小林よしのりが注目する時事問題を通じて、誰も考えつかない視点から物事の本質に斬り込む「ゴーマニズム宣言」と作家・泉美木蘭さんが圧倒的な分析力と調査能力を駆使する「泉美木蘭のトンデモ見聞録」で、マスメディアが決して報じない真実が見えてくる! さらには『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成させる大喜利企画「しゃべらせてクリ!」、硬軟問わず疑問・質問に答える「Q&Aコーナー」と読者参加企画も充実。毎週読み応え十分でお届けします!