葛飾北斎
日本で生まれ育った者ならば一度は聞いたことのある名前でしょう。



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『富嶽三十六景 神奈川沖浪裏』



もしも北斎の名を聞いたことがないとしても、
この絵の作者だと言えばきっとピンと来ることでしょう。
最近は新壱万円札の裏にこれが印刷されていることもあって、
北斎がより身近な存在となっています。

江戸時代後期に流行した浮世絵
それを描く浮世絵師の中でも代表的な人物である北斎は、
日本のみならず世界中で偉大な芸術家《Hokusai》としてその名を知られています。





フィンセント・ファン・ゴッホ
その名を一度も聞いたことがないという人を探すのはこれまた難しい、
世界中に名を轟かせるオランダの画家です。



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『ひまわり』



北斎が活躍した少し後、19世紀後半のヨーロッパに現れた
「ポスト印象主義」という新たな潮流の真っ只中で芸術の火花を爆発させたゴッホ。

短くも激しいその人生もあいまって、ゴッホは後世の人々に強烈な印象を残しました。





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ところでゴッホが活躍する19世紀の終盤頃、
日本の画壇とヨーロッパの画壇では奇妙なことが起こっていました。



日本の画壇では…

ペリーの黒船来航をきっかけに日本は開国し、西洋絵画が一気に日本へ入ってきました。
これを見た当時の日本人画家の多くは、

「いや~ 西洋絵画というのはまるでそこに本物があるかのようだ!
 こんなにスタイリッシュな絵は今まで見たことがない!
 我々も西洋絵画のような写実的な絵を早く描けるように頑張ろう!」

と、西洋の写実的な絵画に大きな価値を見出しました。

逆にこれまでの伝統的な浮世絵は、

「浮世絵なんてもう古臭くてやってらんねぇよ!
 これからの時代は何たって西洋絵画、写実主義よ!」

といって急激に遠ざけられてしまいます。

ヨーロッパの展示会に骨董品や名産品などを出品する際、
船の揺れでモノに傷がつかないよう紙で包んで運びましたが、
その包み紙に浮世絵が使われていたほどです。

今で言えば、引っ越しで食器を運ぶ時に
使わなくなった新聞紙や広告チラシを食器に巻いて運ぶようなものでしょうか。

芸術的価値を認めているものであれば、そんな使い方はしないでしょう。



■一方、ヨーロッパの画壇では…

ヨーロッパの画壇ではルネサンス以来写実主義が極まり、
「本物のように描かれた絵」こそが美しい絵画だとされてきました。
写実性ありき、写実性は当然の前提として、
その上でいかに個性を表現するかというところで画家たちは勝負していました。

しかし19世紀中頃になると、
ダゲレオタイプという技術を経て、写真が発明されました。
写真はものの数分で目の前にある人や物をそっくりそのまま写せてしまうという、
非常に画期的な技術です。
日本語では「真実を写す」と書いて写真といいます。

画家たちが何週間、何か月、場合によっては何年という苦心の末
やっと完成させる写実的絵画ですが、
写真はものの数分で、人間が描くよりもはるかに正確な「写実的絵画」を完成させます。

これを見た当時の画家たちはみな一様に嘆きました。

「俺たちの仕事が全部あの写真とかいうものに奪われていく…
 俺たちはこれからいったい何を糧にして生きていけばいいんだ…」

しかし、そんな絶望する画家たちのもとへ、
日本から浮世絵なる絵画が舞い込みます。

これを見た画家たちは衝撃を受けました。

な、なんだこの絵は!?
「日本? あのサムライ・ゲイシャの日本から!?」

「……そうか、絵って別に写実的じゃなくてもいいんだ!
 俺たちがこれから画家として目指すべき方向性はここにあるんじゃないか!」

「ホクサイ? ヒロシゲ? ウタマロ?
 ちょっとそれ貸して! 全部描き写して勉強するから!

写実性に拘らない斬新な構図や、明るく澄み切った色彩など、
《インパクト重視》の絵画がそこにはありました。

彼らは希望に満ちた眼差しで日本の浮世絵を眺めてその色づかいや筆運びを学び、
自分の芸術作品に取り入れられるものがないかと日々鍛錬に励みました。

こうして西洋絵画界隈に強烈なインパクトを与えた浮世絵は、
のちにジャポニスム(日本趣味)と呼ばれる一大ムーブメントを呼び起こすこととなりました。

そのムーブメントの中で、
絵画史上で重要な意味を持つ「印象派」「ポスト印象派」なども生まれていきます。





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つまり、日本の画壇とヨーロッパの画壇は当時
お互い無いものねだりをしていたということです。

日本人は「浮世絵はもうダメ、西洋絵画がとにかくカッコいい」と言い
西洋人は「写実絵はもうダメ、日本の浮世絵に光明を見出した」と言う。

「隣の芝生は青い」ということわざがあるように、
他人のものというのはとかく良く見えてしまうものです。

他人のものが良く見えるだけならば問題ないのですが、
「あの素晴らしいものと比較して自分のはなんてひどいんだ!」
という思考にまで陥ると、
せっかく本来自分が持っている良さを見失ってしまうことになってしまいます。

そしてこういうことはよくあることです。

本来の自分の良さを再確認するためには、
自分とは価値観が違うと思っている人や
絶対に負けたくないとライバル視している人の話を聞いてみるのが
案外有効だったりするのかもしれません。





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