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--今日はプロデューサーの山内さんにお話を伺っていきます。

山内:質問される側があんま慣れてないんですけど、よろしくお願いします。

--まず、VISUNAVI Japanのプロデューサーになった経緯を教えてもらえますか?

山内:遡ると、2022年に「#V系って知ってる?」っていうプロジェクトが立ち上がるんですよ。その時に同名のラジオ番組が2022年の10月からスタートするということで、その番組のDJ探しが行われてたらしいんです。皆さんご存知のように「#V系って知ってる?」はDEZERTのSORAさん旗振り進んでいたプロジェクトで。ある関係者から聞いたところによると、その番組のDJの条件が、ヴィジュアル系にある程度詳しい男性で、ラジオパーソナリティ歴のある人だったらしいんですよ。そんな条件に当てはまる人物っていうことで、どこかの会議で僕の名前が挙がっていたそうで、「こういう番組があるんだけど興味ない?」ってSORAさんから直接ご連絡いただきましたね。

--SORAさんとのご関係は?

山内:これはいろいろなところで公言してるんですけど、10年以上前かな?コンビニ夜勤の仲間なんです。2人で一緒に品出ししたりしてました。そんな縁があって、それから10年ぐらい節目節目でDEZERTのライヴを拝見させていただいていたんです。個人的にもDEZERTの曲とか歌詞が大好きで。そんな感じで、彼とは毎年何回かは必ず顔を合わせたり食事に行く関係でしたね。僕が以前やっていたラジオ番組にもSORAさんと千秋さんにはゲストで出ていただいたりと、何かと縁はずっと繋がっていたのかなと感じます。そういう経緯もあり、SORAさんが「#V系って知ってる?」のDJに推薦してくださったんだと思いますよ…多分!

--いきなりヴィジュアル系のジャンルに飛び込むことに不安はなかったんですか?

山内:いや、それで言うと自分の中ではヴィジュアル系のジャンルに飛び込むという感覚はなくて、子役の頃からやってきた芸能の仕事の中で、ヴィジュアル系番組のレギュラーDJという新しい仕事が一つ増えたぐらいの認識でしたね。自分は10歳ぐらいから子役として活動していて、俳優やらラジオDJやらイベントMCやらもともと芸能関係の仕事をしてるんです。

--「#V系って知ってる?」は今年の3月まで続いたわけですが、印象的な回はありますか?

山内:それで言ったら全部なんですけど、やっぱり初回は相当プレッシャーがありましたね。DEZERTのSORAさんとキズの来夢さんが出演した回で、hideさんスペシャルだったんですけど、hideさんっていうレジェンドアーティスト特集することに対するプレッシャーは相当でした。

--すごい反響でしたよね。

山内:あと、これは裏話なんですけど、自分はラジオDJとして番組に呼ばれたと思っていたんですが、なにやら番組を立ち上げる仕事自体も僕がやることになってたんですよ(笑)。どうしてそういう流れになったのかいまだにわからないんですけど。ラジオ番組を立ち上げた経験なんかまったくないのに、なぜか僕がやることになっていて。それこそ番組のSNSアカウントを開設するのか?とか番組のバナー画像は?とか。そもそもバナー画像って何それ?みたいなそんなレベルだったので、あの時は番組が始まったことに対する安堵がでかくて、もう頭がいっぱいでしたね。それで、ここからようやくVISUNAVI Japan(旧びじゅなび)の話になってくるんです。

--どういう流れだったんでしょう?

山内:「#V系って知ってる?」っていうラジオ番組は、どうやら”びじゅなび”っていうメディアの番組らしくて。その番組でDJをやる以上は、びじゅなびの仕事も一緒にやりませんか?ってご提案があったんですよ。当時、僕は前の所属事務所であるサンミュージックを抜けていて、しかもコロナ禍とバッティングして芸能だけじゃ食っていけなかったんです。それこそ警備員のバイトを多い時は週に5回6回してることもありました。

--山内さん、警備員大好きですもんね。

山内:やってみたら、人の安全を守る仕事っていうのが意外とやりがいあったのよ(笑)。なんなら今でも週に1回ぐらいやりたいもん。で、当時のことに話を戻しますね。

--話の腰折ってすみません(笑)。

山内:自分としても芸能で収入源を確保しなきゃいけないっていうところもあり、正直なこと言うと深い考えもなしにびじゅなびの手伝いをします!って答えたんです。それがまさか5日後に始まる番組を立ち上げろみたいなことだと思わなかったんですけど(笑)。今にして思うとぶっ飛んでる。いい経験ですね。

--そこからプロデューサーになった経緯も教えてください。

山内:えーっとね、最初はラジオ番組だけをやっている感じだったんですけども、徐々にメディアとしてのびじゅなびのあり方を考える立場にもなってきて、自然と業務が増えていった感じです。それこそ存続させるために興行をやりだしたりとか。そうやって、このメディアの根本を考えることが増えたことの延長でプロデューサーになった感覚ですね。

--指名された感じですか?

山内:そうそう。山内さんがプロデューサーやった方がいいんじゃない?みたいに。

--プロデューサーとしてはどんなことを考えてるんですか?

山内:現代においてポータルサイトの必要性の有無っていうのも問われている気がしていて。ただその中でびじゅなびっていうものは、分け隔てなく様々なヴィジュアル系バンド応援してきた存在として今後も残っていくべきだし、生き残っていかなきゃいけない。そこで厳しい現実を直視すればするほど、ただのポータルサイトではなく未来のために何をしたらいいんだろうっていうことが命題になってくるんですよ。どうやって生き残っていくかっていうのを考えてる。

--具体的にはどういう方法がありました?

山内:まずはとにかくこのシーン全体が盛り上がることを一生懸命考えることが根本にあるんですけどね。具体的に言うと、インタビューやライヴレポートの実施、ライヴイベントで半永続的に続く組織を目指していくのが第一の課題。これはまだプロデューサーになる前ですけど、2023年には主催ライヴを合計3本やったのかな。4月に池袋EDGE、8月に恵比寿リキッドルーム。そして11月にまた池袋EDGE。このブッキングもいつしか僕がやるようになっていったんです。特に2023年11月に開催した「Visual Rock is not “DEAD”003」に関しては、僕が初めてゼロからブッキングしたイベントで。その時出演したバンドもnuriéこそキャリアはありましたけど、ほかは当時ほとんどライヴ経験がない色々な十字架、始動から1年も経たないCHAQLA.、MAMA.、孔雀座っていう正直なところ数字も全く見込めない感じだったんです。


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--めちゃくちゃカッコいいバンドいるから観に来いって誘ってくれましたよね。

山内:そうだったかも。音楽やライヴに光るものがあって、何の確証もないながらにいけるんじゃないかって信じれたんだよね。そしたらそのイベントは想定よりもはるかに多くのお客さんが来てくれて、あの日がきっかけでこのシーンの未来に手応え感じたかな。そこからさまざまなバンドさんと関わりながら、メディアとして将来のビジョンを提言していくことが増えていって、気がついたらプロデューサーになったという感じですね。2024年の2月ですかね。のあか先生(ex.CHAQLA.)と喫茶店にいたときにプロデューサーになったのを覚えてる。そのタイミングで“びじゅなび”から“VISUNAVI Japan”に屋号も改めました。

--プロデューサーって具体的にどんなお仕事をしてるんですか?

山内:先ほども言ったように、VISUNAVI Japanというメディアが長く続いていくようにしていかなきゃいけないっていうのがまず第一ですよね。みんなが大好きなこのシーンをもっと広げていく。ポータルサイトの形式もある程度守りながら、メディアとしてちゃんと独立していくこと考えてますね。そのために独自記事や独自コンテンツをより拡張させていっている最中です。「Visunavi Magazine」やポッドキャスト「Inventions」もですし、2024年4月から立ち上げた対バンライヴ「KHIMAIRA」しかり。

--「KHIMAIRA」も盛り上がってますよね。

山内:イベントはただお金稼ぎをするのではなくて、バンドやお客さん、シーンに寄与できるものは何かというところまで見ていかないと、二手三手先で手詰まりになると思ってたんです。そういう意味で、カロリーは高いけど、毎回のようにスペシャルゲストバンドが登場して、はるかに下の世代と対バンするという構図を成立させる必要があったんだよね。目先のことではなく、将来的に意味のあるイベント作りもメディア主催として始める第一のことだった。もちろん広告収入とかだけでガッポガッポ儲かれば言うことはないんですけど。そんな甘い世界じゃないんで。

--マネタイズは順調ですか?

山内:いやー、こればっかりは答えづらいですね(笑)。順調と言えば順調だし、大変といえばスーパー大変っていうところです。おかげさまでメディアに変貌していくびじゅなびが少しずつ認知され出している体感はあって、2年前と比べると売り上げはもう比べ物にならないレベルまでにはなっているんですが、さっきも言ったようにバンドとお客さん、シーンに寄与するための組織として頑張っていくにはまだまだ全然頑張り足りないなっていうのが正直なところです。まさにこのニコニコチャンネルもそういった力になっていて、会員登録してくれてる皆様のおかげで活動のやりがいになる気持ちと力を与えていただいてます。もっと頑張ります。

--プロデューサーになって印象的だったことを3つ教えてください。

山内:3つ?…難しいなぁ。ちょっと時間ちょうだい。

--楽しいことの方が多いですか?

山内:なんだろう…色々ありすぎて思い出せないです。ただ主催ライヴ「KHIMAIRA」に関して言うと、育っていったイベントが昨年12月にはSpotify O-WESTまでたどり着いたんですけど、目指してたソールドアウトには至らなくて悔しかったな。とは言え、2023年の時点と比べてもお客さんはすごい増えたし、いざライヴが始まってみると、各バンドが凄まじい気力のライヴをしてくださって感動した。


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最後、ステージ上でのアクシデントで救急車が来る事態になってライヴが中断するって終わり方になってしまったので、そこが一番悔いとして残ってるかなぁ。血まみれになったステージと、バックステージでの慌しさ。でもステージでは演奏が続いてるという状態の中で、何をどう判断をするのかっていうのはイベントの責任者である俺に全部問われてるわけじゃないですか。あの状況でライヴを中断して、演者をいち早く救急車で搬送するという当たり前のジャッジをできたことは良かったなと思いますけど。

--そのリベンジをやるんですよね?

山内:そう。今年の12月6日に同じO-WESTであるので、あの悔いを忘れさせる1日にしたいと思ってます。アクシデントで悲しい想いをしたMAMA.とMAMA.のお客さんにとってもね。あの日、色々な十字架もnuriéもCHAQLA.もまみれたも「#没」も「また来年もう1回やろう」って全員一致で伝えてくれて、一年越しにやり返せるのは楽しみですね。出演順も去年とまったく一緒だし。


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--アツいですね!-

山内:あ、あと印象深いこと、ほかにもあった!

--なんでしょう?

山内:立場上、解散が決まったバンドや脱退が決まったメンバーさんからの連絡ってやっぱりいち早くいただくことが多いんですよ。そういえば最近会ってないな、何してるかな?連絡しようかなって思ってる時に限って変な時間にLINE電話が鳴ってくると、もう嫌な予感しかしないんですよね。あ~出たくねーなって思うんですけど、出ると電話口が暗い声で、ああやっぱりかみたいなそういう経験が何度もあって、その度にツラい気持ちにはなります。バンドは取引相手でもあるけど、人と人として信頼して付き合ってるんで、そういう話を聞くと自分の内臓抉りとられたようなとてつもない喪失感に襲われるんですよね。メディアとして本当に力になり切れたのかなとか、その度に自問自答して苦しい思いをしますし、本当に言葉にならずに寝れない日々が続いたりとかする。

--誰にも言えないですもんね。

山内:そうそう。綺麗ごとだけじゃないのもわかってるし、メディアができることの限界も理解しているつもりだから、ツライ気持ちも乗り越えて糧にすることが仕事なのかなと思いますけど。なかなか割り切れないな。

--「KHIMAIRA」についても訊かせてください。自分は「KHIMAIRA」を2回観に行かさせていただいたことがあるんですけど、正直ヴィジュアル系ってこんなかっこいいんだって人生でも感じたことがないくらい興奮したんですよ。

山内:いつ来てくれたんだっけ?

--この前の3DAYSの初日と去年のO-WESTです。

山内:あー。「メリーやばすぎかっこよすぎ!」ってLINEくれたもんね(笑)。

--「KHIMAIRA」成功の秘訣ってなんなんですか?

山内:いや主催者の立場だと、そもそも成功とか失敗って言えないんだよね、正直なところ。それを決めるのはお客さんとバンドだから…っていう模範解答だとたぶんつまんないから、もうちょっと突っ込んだことをここから話しますね。

--お願いします。

山内:どう考えても、池袋EDGEに出るはずのないスペシャルゲストの存在だよね。それがセンセーショナルだったから、「KHIMAIRAに出るととんでもないバンドと対バンできるぞ」っていうブランディングが最初の方から確立できたというのがでかい。イベントに出てくれてる全バンドがカッコいいことは、ブッキングしてる身からすると信じてるんだけど、それが広がっていくかどうかっていうのは運にもかかってたんですよ。だからそういう意味で言うと、これぶっちゃけて言うんだけど、俺にとって「KHIMAIRA」に力を与えてくれたきっかけはやっぱRoyzなんですよ。


・Royzに時代が追いついた
・「KHIMAIRA」歴代ゲストのすごさとブッキングの裏話
・「かっこよければ残っていける時代にしたい」
・ファンに恥を欠かせたくない
・今気になる3バンド…インタビューは会員ページへ続く







2024年6月の「KHIMAIRA vol.2」のスペシャルゲストで出てくださったRoyzに関しては、2023冬にはもう出演が決まってた。「KHIMAIRA」がこの世に影も形もないのに、スペシャルゲストと1組と若手のマッチアップのバチバチのイベントだって説明だけで、気持ちひとつで「出るよ」って言ってくれたんです。

--それはどうしてだと思います?

山内:本当の答えはわからないけど、あのバンドの根本にある熱い漢気だと思うよ。それこそメリット/デメリット論どころか、リスクもあるのに。あの漢気は俺にとんでもない勇気をくれましたね。Royzって光の部分も闇の部分もあってヴィジュアル系のパラメーターで言うと、中心地に居るのにどのベクトルにも強い。それでいてキャリアもあるのに、変に落ち着かないでガッツが溢れてて、理想的なバンドだと思ったんですよ。そういう存在なら、どんなタイプの若手バンドとでも良い作用が生まれるなと思って。実はそれまでも事あるごとにオファーはしてたんですけど、熱意を受け取ってくださったのかなと思いました。ライヴ当日も全バンドとスタッフにお弁当まで用意してくださって、背中をこれでもかと見せてくれて。だから、ここ最近の快進撃とか武道館ワンマン決定とかも超すごいことなんですけど、僕からするとすごくないし、驚きもない。

--当たり前ってことですか?

山内:うん。シンプルに強靭なバンドが真っ当な評価を受ける時代が来ただけって思ってる。時代が追いついた。漢気ひとつで池袋EDGEの若手対バンに出てくるバンドだもん。そんなかっこいいバンド、みんな大好きになるよねって話。時系列的にはそのあとぐらいにvol.1の輸血子プロデュースDAYに櫻井有紀さんがRaphael曲のみをプレイするYUKI-Starring Raphael-でスペシャルゲスト出演することが決まるんです。

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--スペシャルゲストが出演することでどういう反応がありました?

山内:んー、やっぱり同じステージに同じ条件で上がってるのに、なんでこんなに説得力が違うんだろうっていうのを並列に体感できるのは大きかった。でも、レギュラー的に出てくださっていたバンドが、回を増すごとに凄まじい勢いで進化していったからイベントの強度も保てた気がします。DaizyStripperも割と早い段階で出演を決めてくださっていたし、月並みだけど感謝ばっかりです。そこは歴代すべてのスペシャルゲストバンドに感謝です。輸血子さんと櫻井有紀さんには個人的に感謝が深すぎるからちょっと別枠の想いがあるんですけど。というか、「KHIMAIRA」でやりたいことは明確にあったけど、その矢印を強くしてくれたのはこのお二方なんです。

--どういうことですか?

山内:この前観に来てくれたときさ、メリーってトリじゃなかったでしょ。

--あ、そういえばそうですね。

山内:あのスペシャルゲストが必ずしもトリじゃないっていうのは、輸血子さんが一番最初にやったのよ。

--やっぱり一番大御所がトリをやるのが普通なんですか?

山内:だと思うよ。でもさ、有紀さんがRaphaelだけをやる編成をオーダーしたうえに、有紀さんのあとに出てくるのが超若手のMAMA.っていう采配は俺じゃできないですね。あの采配をした輸血子さんと、その意図を汲んで快くOKしてくれた有紀さんのお陰でイベントのスリリングさがグッと増したんですよ。言っちゃうと、すごく変なことが起きるイベントなんだって決定づけてもらった。あの采配はすごいわ。9月にリキッドルームでやったとき、Verde/のあとにまみれたが出てくるタイテ組んだのも、自分のなかで「YUKKEさんならこうするかな」って考えたところもある。

--KHIMAIRAの歴史で印象的なSPECIAL GUESTはいますか?

山内:そりゃ全バンドです。有紀さんはその後もご自身の主催にも「KHIMAIRA」で出会った若いバンドを呼び続けて、縁を繋いでくださってるのが本当に温かい人だなって思うし。有紀さんとRoyzがデカいことは当然として、DaizyStripperもリハの時点から稲妻が走るような演奏と歌唱力で背中がピクってなりましたね。それでいて皆さん優しいから、若手とも会話してくださって、それが嬉しい。早く“夏休み”から帰ってきてほしい。deadmanのときは今思い出しても背筋が凍る。出番終わったバンドがメイクも落とさずに関係者エリアで観てたんだけど、最後、完全暗転の「蟻塚」で超ダークに終わって、しばらくしたらさ、みんな笑ってたのよ。

--すごすぎて?

山内:お、その通り!「山内さんダメっすよ。エグすぎ!いやー、これはすごいわ…」って。本当に恐ろしいもの観た時に人って笑うしかないんだなって思った。

--その次のスペシャルゲストがMUCCなんですよね。

山内:そう。これもエライこと起きたなと思う。

--MUCCはヤバいですよ。ライヴは何回かしか観たことないですけど、ヴィジュアル系知らなくても超かっこいいと思ったバンドです。

山内:MUCCに出てもらいたいなって思ったのは、2024年の4月23日なんですよ。

--なんかの記念日ですか?

山内:いや、そういうわけじゃなくて。輸血子さんの取材企画で仙台貨物を川崎SUPERNOVA(https://ch.nicovideo.jp/visunavi/blomaga/ar2198528)に観に行った帰りの南武線で、当時のMUCCのマネージャーさんに「MUCCが池袋EDGEに出てる夢見ちゃったんですけど…これ正夢になったりしないですかね」って話したのを覚えてる。そこから2ヶ月後くらいにラジオ「#V系って知ってる?」のゲストがMUCCのミヤさんで、収録後に「ミヤさん……池袋EDGEって出たことあります?」って訊いたの。

--おぉ!

山内:そしたら一瞬間を空けて「……え、キマイラ?面白そうじゃん。」ってミヤさんが。

--すごい!

山内:そこから本格的に実現に向けて詰めていった感じ。そもそもMUCCの機材をEDGEのステージ載せきれられるのかとかそういうところから。情報解禁する数日前まで本当に出演が決定するかどうかわからなかったんです。超ヒヤヒヤしましたね。MUCCが出た「KHIMAIRA vol.6」はもともと白地の地味なフライヤーだったんだけど、MUCCが追加解禁された瞬間に黒に変わるの。

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※MUCC解禁前


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※解禁後


--なるほど。


山内:共演するCHAQLA.とMAMA.、「#没」とNAZAREには解禁される瞬間までMUCCが出ることは内緒にしてたんだけど、それはYUKKEさんのアイデア。あ、それで言うとMUCCはスペシャルゲストじゃないんだ。普通の1出演バンド扱いなんです。


#024 / #025 ミヤ(MUCC)× ANNIE A(CHAQLA.)★AfterTalk★ - ニコニコ動画



--そこはあえて?

山内:ちょっと経緯まで覚えてないですけど、俺がそう言った気がする。「出演順も山内くんの好きにして。俺らは指示された順番でやるから。」ってミヤさんがおっしゃってくださったんで、思い切って真ん中に。

--攻めますねぇ。

山内:NAZAREと「#没」にはMUCCの前を、MAMA.とCHAQLA.にはMUCCの後ろを経験してほしかったんですよね。転換を考えると本来ならMUCCトッパーの一択しかないんだけど、そこは強くエゴを通させてもらいました。あれを成立させてくださった楽器チームの皆さんには頭上がらない。

--その次が…

山内:あなたが大感動してたメリーですよ。たまんないよね。つい先日24周年ワンマンを観に行ったんだけど、相変わらずトガってるのに歴史が物を言う包容力もあって。こういうバンドが好きでこのジャンルにいるんだよなって再確認させられる。それでリキッドルームは初のダブルゲストでShouさん(Verde/)とmitsuさん。ソロワークスのかっこよさみたいなものをもっとちゃんと伝えたいなって思った。

--ソロとバンドの違いって何があるんですか?

山内:明確に違うことだらけだけど、その違いが一番解るのはステージだからここではあえて説明しなくていいかな。おふたりともすごい好き。人間として素敵なのが、ステージに全部出るんですよ。そういう意味でいうとより人間の純度が高いのがソロって言えるかもしれない。バックステージでもおふたりの周りに若いバンドマンがいっぱい集まってたらしくて、そういう空気作りもすごい嬉しい。またご一緒したいって思う。

--今後「KHIMAIRA」の目標はあるんですか?

山内:あるんだけど、まだ今言うべきではないっていう感じですかね。でも、池袋EDGEにビッグゲストが出てくるスタイルはまたやりたい。あれ、すごいカロリー使うんだけどね。だってさ、ラママ新人コント大会に何年かに1回、爆笑問題さんとかピンクの電話さんが突然出たりとかやっぱりワクワクするじゃないですか。

--わかりやすい例えをありがとうございます。

山内:でも、キャパ上げもしていきたいし、キャパ下げもしていきたい。一定の世代とか界隈で固まるんじゃなくて、もっと広げていきたいかな。固まっちゃうと入りづらいじゃん、クラスとかでも。「KHIMAIRA」は誰でもウェルカムな場所であれるように、キャパ下げも必要だってずっと思ってる。

--山内さんって今どんなスケジュールで動いてるんですか?

山内:お金周りの管理を勉強しながら、ポッドキャストのブッキング、ライヴとかトークライヴのオーガナイズ。各種プロモーションの企画立案と営業をしつつ、インタビューとかライヴレポートを書いたりもしてるからその日によってまちまちですね。あと年間で180本くらいはライヴ会場にも足を運んでるから休みはゼロ。あ、大晦日の「RIZIN」だけは絶対に現地に観に行く!でも、試合の合間にもブッキングメールとか送ってますよ。「バトルキマイラ」ってイベントがあるんだけど、鮮血A子ちゃんにオファーしたのは去年の大晦日「RIZIN」のさいたまスーパーアリーナからだったはず(笑)。

--ちゃんと寝てます?昔から全然寝てないですよね?

山内:1日3~4時間。あとの時間は全部仕事。プライベートなんかないよ。未来に希望があるから今はマジで頑張りどきなんだよね。この先何年かしてのんびりするのはいいけど、マジで今は死んだらそれはそれで仕方ないって思ってやってる。だからこそ大晦日の「RIZIN」のチケットだけはそりゃあ必死よ。今年は斎藤裕選手が出るからね。

--もういいですって(笑)。俳優をやっていたときとはどう違いますか?

山内:違わない。自分の思っているものを表現する場所とやり方が変わっただけ。よっぽど今の方ができてると思うけどね。俳優はさ、赤の他人書いた役を演じてセリフを読むわけじゃん。全然自分じゃないじゃんって想いが、俺はどっかあったわけ。それこそ「大好き!五つ子」の撮影に向かう電車で俺はDIR EN GREYとかMUCCを聴いてたし、全然ハートフルじゃねーじゃんっていう部分もあったりとかして。まあ、それはちょっと余談ではあるんだけど。今も別にステージで演奏もしないし歌詞も書かないし歌わないんだけど、自分の血が通ったものを作るっていう意味では俳優をやってる時以上に、今の方がよっぽど純血かなって思う。ただ違う部分も当然あるね。

--それはどんなところですか?

山内:体さえその場にあればどうにかなるってとこかな。俳優の場合は疲れた顔をしたら、その時点で仕事にならないから。めちゃくちゃ忙しいのに疲れた顔できないのがツラかった。忙しいと顔色悪くなるのは仕方ないんだけど、今は疲れ放題・働き放題だから、そこが違うな。俳優やってて…っていうかまたどっかでやる日があると思う。俺の中では一応3年前に主演映画もあるし、ちょっと区切りとしてはちょうどいいのかなってのも正直あるのね。多少のオファーはいただいているけど、とてもじゃないけどそこに出てる時間の余裕がない。セリフ覚えてテキトーにやるならできるけど、役作りってそんな甘くないし。普段、本気で音楽やってるバンドと関わっている以上、自分が仮にも本職の役者業をやるときは恥ずかしくないものを提示しないと面目ないからね。今はなかなか難しいなって思ってる。

--プロデューサー業と俳優業の違いってどんなところにありますか?

山内:全部違うけど、関係あることもある。これちょっと脱線するんだけど。裏方だけをやってると、表に立ってる人の傷つき方が想像できないと思うんです。特にこの時代ってSNSが発達してきて、ステージで顔と名前を出して矢面に立つ人っていうのは昔より傷つきやすい時代になっている。一方で裏方の人って顔が見えないことがほとんどじゃないですか。せいぜいクレジットに名前が載るぐらい。だから表に立つ人の痛みが想像できる分、俺はアーティストが嫌だって言ったことは基本的に無しにしたいとも思える感性ではあるかも。

--自分がされて嫌なことはしたくないってことですか?

山内:俺の場合は言われたことを極力やるタイプだった分、やりたくないって発言するときって、絶対にやりたくないのね。裏方的立場で面白さとかバズリとかインプレッションを考えると、意志に反したことも提案したくなるだろうし、当たり前にそういう人もいる。そういう意味で言うと良くも悪くも俺はそれになりきれないけど、最近はそれを良い部分だって割り切るようにしてますね。俳優のときから言ってるけど、アーティストは裏方仕事を体験すべきだし、裏方は曲作って歌詞書いてステージに立つべきだと思います。やっぱお互い持ちつ持たれつだからね。

--そういう影響もあるんですね。

山内:俳優のときはいくつものヒット作に恵まれて、街に出たらサインと写真で人だかりができて警察が出動するとか、そんなのが日常だったんですよ。盛ってないよ?(笑)

--疑ってないですよ!

山内:でも、それって実力とイコールじゃないことも理解しているし、人生においてそういう時間の方が短いってことも知ってる。自分は一瞬当たった陽が強すぎただけで、基本的には日陰の人間だと思ってるから、承認欲求みたいなものがない。なくなったというよりは、承認欲求が芽生えるより前に承認されてたから、ちょっと変な感じなんですよね。でも、それも裏方的なことには相性がいいんじゃないかなって周りを見渡してるとすごく感じるかな。

--逆にプロデューサー業をやってるから俳優業に影響することもあるんじゃないですか?

山内:それはわかんない。この先になってわかるんじゃない?でも、プロデューサー業っていうよりは、そこで出会った人たちとの経験がフィードバックされるんだと思う。

--今後ヴィジュアル系業界での野望はありますか?

山内:俺の課題でもあるんだけど、もっともっと世代と世代を繋ぎたい。ヴィジュアル系ってメインストリームだった頃と比べてどうとか、やっぱ言われるじゃないですか。でも、メインストリームであることだけが正義じゃないし、みんながそれを目指してるわけでもない。どんな家庭にも家系図があるように、ヴィジュアル系っていう大家族がもっと密になるといいなって思う。30年やってるベテランの方と、1年目のバンドが対バンしたりとか、そういう家系図の美しさを味わえるようなシーンにしたいかなっていう淡い想いはあります。素敵なジャンルだと思ってるからこそ。一番若い人たちが育たないと、作り上げてきたものが根っこから腐っちゃうんですよね。もっともっと下の世代とか層をすくい上げるってこともしていきたいなと思います。今残ってるバンドってみんなかっこいいから残ってるんですよ、つまるところ。だから、せめてかっこよければ残っていける時代にしたいですね。漠然としてるけど。まずは想いっていう種を撒かないと始まらないからね。

--山内さん個人としては?

山内:自分に関わってくれる人をとにかく幸せにしたい。もうこれは俺の人生のすべて。誰かを幸せにできなかったら自分が幸せになることはないんだよ。今日この人と仕事してよかったな、今日この人のインタビューを受けてよかったな、今日この人とご飯行ってよかったな、この人のために時間使ってよかったなって、もれなく100%全員に思わせたい。そんなこと無理なんだけど、そう思ってやってます。だから苦しいです。毎日自分を否定されてる気持ちになります、ほかでもない自分自身に。もっと頑張ります。

--その原動力はなんなんですか?

山内:いくつかあるんですけど、まずはファンですかね。もともと俳優畑で20数年やってきたんで、ヴィジュアル系にどっぷり移籍した感のある俺のことをファンの人はどう思ってるかわかんないし、ここを読んでいると到底思わないんだけど。やっぱりファンの言葉を聞くと、恥かかせたくねーなって気持ちになるんだよ。それは原動力ですね。ファンがいなければもう少し頑張らなくて済むんですけど、まだ少し残ってるんで(笑)。

--ファンの人がいるから表にも立ってる印象があります。

山内:それもあるし、自分が出た方がスムーズなことが多いってのもある。でも、自分はいわゆるすごく売れた時代の何倍も、すごく売れてない時代が長いんで。そういう時期にも応援してくれた人たちのことを思い浮かべると、毎日毎日一生懸命生きることでアンサーしていくしかないかな。今時は推し活って言葉に集約されがちですけど、誰かを応援する行為とか追っかけることって、よくわかんないヤツが馬鹿にしやすい趣味じゃないですか。そういうヤツらにやんや言われながらも…言われてるかわかんないけどね、応援して力を与えてくれた人のことを大事にするっていうのは表に立つ者の宿命だと思ってる。ちょっとかっこつけた言い方かも知れないけど、そう思う。

--ストイックですよね。

山内:まぁかっこいい人ばっかり周りにいるから、ついていくためにはそうなっちゃんだよね。でも、もっと上手に休むことに来年からはチャレンジしていこうと思う。そのためにも頼ってくれたバンドの力になりたい。プロモーションやらで、VISUNAVI Japanに予算を割いてくれたバンドの売り上げが上がったり、動員が増えたって聞くと家でガッツポーズして泣いてるもん、マジで(笑)。1回でも自分を頼ってくれたバンドのことは何があってずっと応援してる。どうしても体は一つしかないから、そのバンドのライヴを観たり、直接会うことって限られてくるんだけどね。みんなのSNSとかHPのスケジュール見て、今日はどこでライヴしてるんだろうとか考えて、いっつも応援してる。バンドが調子上がってきたとか成功体験を聞くと嬉しいんですよ。俺自身が劣等感の塊だから。

--そうなんですか?意外です。すごい自信家なイメージですよ。

山内:それ前の事務所のマネージャーにも言われたよ。「しゅうちゃんはいつも自信があるよね」って。でも、子どもの頃から家ではずっと“ブサイク”だとか“頭が悪い”みたいな言われ方をして育ったからね。子役で忙しくて、成績が悪い時期とかもあったけど、それでも学年で上から5番目ぐらいの成績だったんだよ?

--むしろそういうイメージですけどね。

山内:でも、子どもの頃から自分はブサイクで能力がないんだと思いながら生きてたから。朝ドラ出ようが、昼ドラでようがずっと俺は欠陥品なんだなって思って生きて来ちゃったんだよね。だから今は少しずつ自分の自信を取り戻しているところなのかもしれない。

--10年後のVISUNAVI Japanはどうなっていると思いますか?

山内:少なくともポータルサイトとしてはひとつ完結してると思うよ。もしもポータルサイトとして生き残ってるんだとしたら、全員参加型みたいないびつ形しかないんじゃないかな。でも。それは美しくないような気がする。

--ライバルっているんですか?

山内:どの業界でもそうだけど、競合媒体を全部倒したらそりゃ金銭的には良い形になるだろうね。でも、俺その考えが一番違うと思うんですよ。この閉ざされた世界で、やれ競合だとか言って潰し合いをしてると本当に全体の規模が縮小しちゃうからライバルが増えると嬉しいよね。ライバルっていうか、良い音楽や文化をキャッチするアンテナが多ければ多いほどシーンにとってプラスだと思います。自分だけが良ければいいっていう考えが一番、衰退を加速させるからね。

--今、注目してるバンドはいますか?

山内:言ってもわかんないだろ(笑)。

--まぁまぁまぁ。

山内:色々な十字架はわかる?

--去年観ました。めちゃくちゃで最高でした。話で聞いてるだけだとわからなかったけど、実際に観たら面白過ぎました。

山内:色々な十字架、鮮血A子ちゃん、Z CLEARが今パッと浮かびますね。

--それぞれ、理由を教えてください。

山内:あ、ベスト3的な捉え方をされるとまた違うんだけど、どのバンドにもあとひとつ同じ要素が加わったらとんでもないことになるなって感じさせられるから同時に挙げました。もちろんこの3バンド以外にもカッコいいバンドっていっぱいいるんだけど、実はちょっと共通してる所があるなと思って、気になる3バンドですね。

--どういう要素なんですか?

山内:俺の主観なんで、この話題はこの辺で。

--その3バンドも今後の「KHIMAIRA」に出てくるのが楽しみですね。

山内:色々十字架に関しては12月の「KHIMAIRA-revenge of the grief-」にも出るしね。ありがたいですよ。とても頼りにしてます。鮮血A子ちゃんとZ CLEARに関しても、今後も一緒にやることはきっと増えるでしょうね。俺が一緒にやっていきたいなと思ってるだけなんですけど。

--ぶっちゃけ、「大好き!五つ子」の頃と今、どっちがやりがい感じてます?

山内:断然、今だね。と言うか、コンビニや警備員のバイトの方が、俳優よりやりがい感じてた。俺はほとんどの出演作がテレビドラマと映画だったから、いただくファンレター以外にお客さんのフィードバックがなかったのよ。これだけSNSが発達してる時代にドラマに出まくってたらわかんないけど。承認欲求モンスターになってたかもしれないしね。最新のものにやりがいを感じるのは健全でいいなって思ってます。

--ありがとうございました。それでは最後に今後の抱負を。

山内:もっとかっこよくなりたい。見た目とかお金じゃなくて、生き方に価値を見出される男になりたいと思ってます。