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田畑 佑樹さん のコメント


 イタリア料理にまつわる素敵な文に無粋を塗りつけるようですけども、今回の選挙は以前に菊地さんが指摘しておられた「純粋選挙」そのものでしたね。より正確には、石破時代までは「もう負けるのヤダ」な精神性がどの候補にも蔓延していたのが、今回から明らかに「勝つぞ!! 勝てるの最高だぞ」のほうに振り切れたと思います。高市のバブル躁傾向が為した業でしょうね。抑鬱性を前提として政治的言論を書き散らす罠に未だにはまり続けている者たちは、首相による躁のウィッチクラフトの進行状況にすら気付けないまま、もはや自己目的化した後手後手を受け入れているかのようです。「そもそも質的に違いすぎて同質化を望んでもいない陣営どうしは、敵対すらできない」という原理としてこれほど解りやすい例もないですね。

 今回、ブルーノートの外タレキャンセル穴埋めくらいの急拵えで組まれた「中道改革連合」という名のバンドがありましたが、このネーミングから私は「2020年代にもなって未だ弁証法が有効だと思ってるやついるんだなあ」と思わされました。もはや右も左も無い状況での「中道」自称というのは、A音が何hzだか解らないままチューニングしたバンドの演奏のようなもので、悪い意味での物悲しさばかりが募ります。
 来春に出す予定のアルバム用に「基準も無しに “中庸” 標榜するお前は妄動のあまりライ麦 farm から falls off/アウト宣告されるまでもなく今生から退場」というリリックを書いていたのですが、測らずも今回の選挙結果の一端を言い当てたようになってしまい(笑) 「自分の音楽作品のなかで、当てたくもないことが当たってしまった」ときの気持ちって、本当になんとも言えないですね。

「中道改革連合」のネーミングに戻りますが、「中道」の二語だけなら弁証法っぽいのに、続く「改革」でヘーゲルからマルクスの線を飛ばして一気に革マルに繋がってしまう塩梅になっていて、多分無意識にやってるとはいえマズいバンド名だなあと思いました。20世紀を踏まえず21世紀やってるつもりの人々の、根無草的センスとでも言いましょうか。
 そのような「中道」自称よりも、明らかな単極性=躁に振り切れた党首が漲らせる「勝ち」への欲望に持ってかれたというのは、「中道」をうろうろしている自己拘束的なニューロシスよりも単極に振り切れたサイコシスのほうが現実原則に働きかける力が強い、という20世紀的原理の新たな例かもしれません。加えて、(かねてより菊地さんがご指摘のように)ソーシャルメディアは誰しもを勝てなくする装置なので、その空間で高市の躁状態への批判を書き続ける行為自体が着実な自滅への道だと、理解はできても何らかの恐怖によって受け入れられなかったのでしょうね。

「中道」で何かを言っているつもりの大衆が自滅を慢性化させ、一方で「勝ちたい」の単極に振り切れた人が一番ギンギンして現実への影響も及ぼせてしまっている(←これ、単なるピューリタニズム的な世俗成功志向の変形としか思えないのですが)。というのは、一時期のUSAヒップホップ界隈で結局のところカニエが一番元気だった頃の引き写しのようです。やはり音楽は、政治や経済の世界より一歩早いですね。そして当のカニエはもはや双極性の躁転ですらない状態に入った(何より、彼本人が双極性の診断名を拒絶した)ので、これからのUSA(とそれを追従する日本)の政局も「もはや躁ですらない何か」に至るのかもしれません。現在のトランプを見ていると、明らかにその徴候どころか前景化がありますね。
No.1
2ヶ月前
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 いんやー。所ジョージの歌じゃないけれども「今日は1日何をしようか1週間も休んじゃったから~」(この歌は、「会社を1日休んじゃった」から「1年間休んじゃった」までエスカレートする。すごい面白い)という感じで、まずは9度の発熱が3日、続いて下痢が4日、やっと昨日どっちも治ったが、南方から復員した日本兵だ。熱消耗と下痢消耗のダブルはキツい。    んでまあ、うなされながら X とインスタだけやって1週間過ごしたんだけれども、気がつくと選挙と冬季オリンピックをやっていて、まあ選挙は、ウケるというか、やっとオレも政治に興味が湧いてきたよ!ぐらい酷いことになっている。    日本はやっぱり凄い。一応、西側先進国で、投票の根拠が「総理が可愛くて、あと人柄」って笑、これ、子供の発言じゃないんだよ40代女性なのよ。ポピュリズムの極限値じゃないのかコレは笑。国民側が望んで主体的にポピュリズムに突っ込んでいるんだか
ビュロ菊だより
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