菊地成孔さん のコメント
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理論科高等の皆さん、そろそろ卒業が近づいておりまして、レジュメと言いますか、コンテンツと言いますか、モーダリティの話は前回の授業で収めた、という事で、モーダリティの実作や分析は初頭から高等までずらっとありますんでね、ジャコ・パストリアスの「ティーン・タウン」からウエイン・ショーターの「ピノキオ」まで、と言いましょうか、これはさっき言ったように、こんな時代であるのに、インターネット上に「これが正答」というコード進行がありません。エヴィデンスが存在しないわけです。
どの曲も10パターンぐらいがネット空間内に飛び交っている。出版物もありますが「公式」は一つもない。つまり、ワグナーの有名なトリスタン和音どころではなく、1曲まるまる多義的であって、これはにべもない言い方をすれば、現在のあらゆる音楽の書式にモーダリティ用のものがない、トーナリティ用で止まっているので、書き表せない。言うならば無文字社会の詩作を各国語に訳しているような話とも言えます。演奏用にも、作曲用にも、全てアコースティックジャズの標準装備でできているというのに。
さっきチャット GPT のモデル5に「ウエイン・ショーターの<ピノキオ>のコード進行の楽譜で、正しいものはどれ?」と聞きましたが、さっきまで僕が言っていたことと全く同じこと、つまり唯一の正当はない。とのことでしたので、これは正真正銘にない。という事実に、 AI 分の上乗せがちょこっと乗ったような形です。
とさて、無文字社会の詩作に比べれば、遥かに手元に近い話ですが、とはいえ、それを改めて1からやるのは結構大変です。それが(板書)「ナチュラル界とメロディック界」という、調性の拡張というか、整備し直した状態。を学ぶわけですが、これそうですね、例えば、 J-POP の歌詞、その多くが、日本語と英語の混ぜ物です。
混ぜ物なし。もいっぱいありますが、何が言いたいかというと、日本語とスワヒリ語の混ぜ物とか、日本語とフランス語さえないわけで、そうなると、ははあ、これは帰国子女のバイリンガルが書いたのかな?と言えば、違います。
僕は特撮関係がド素人なんで(愚形が玄人です)判断基準が出せませんが<現代日本人で「キングギドラ」を「キングヒドラ」だと思っていた人>を初めて知ったので、びっくりしましたが笑、J-HIP HOPも嗜まないわけですよね?もし嗜みが少しでもあったら、「空からの力」で日本の音楽史を変えたあの「キングギドラ」は、ゴジラと戦う「キングヒドラ」と無関係、もしくは捩りだと言うことになるので笑。
実際の命名については(当然ながら)全く知りませんでしたが、これは不覚という感じで、つまり<ヒドラ>自体は神話上の偏在体であるフュドラ=ハイドラ(日本だと八岐大蛇)やイソギンチャクなどの仲間?の可愛い感じのヒドラの存在は知らないでもなかったですけど、ちょっと考えればキングギドラの造形はキングハイドラ(これは英語です)からだろうなという推測はついたと思うんですが、ちょっと考えもしなかったのだと思います笑。
ましてやハイドラのロシア語読みが「ギドラ」とは思ってもおらず、「適当に凄そうな音にしたのだろう」と思っていたんですが笑、話が自走しまくっていますが笑、僕は特撮カルチャーはマジで凄いと思っています。僕が畏敬の念を覚えながらも全kう素人である唯一のカルチャーかも知れません。
一番良かった頃の「新しい学校のリーダーズ」の「東京コーリング」のMVを見た時、全然特撮の原典に当たったことがない僕でも、インターテクスチュアリティ(引用の紐付け効果)が手に取るように分かったので、それこそがポップだと思いました。
でも、ジブさんもKダブもオアシス(念の為、このお3方がキングギドラです)もひょっとして知らないかも知れないな、と思うのは、キングギドラ(特撮の方)の鳴き声がエレクトーンの音だということで、これは僕がタダ見し放題だった実家の隣の東宝まんが祭りかなんかで、最初にキングギドラの降臨を見た時から「あ、エレクトーン!」と思って声ばっかり気になっていました。エレクトーンが宇宙の音だった素晴らしい時代。
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