結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2026年5月19日 Vol.738
はじめに
おはようございます!
因数分解がわからない
結城は日本評論社の月刊誌『数学セミナー』に毎月「数学のココがわからない」という読み物を連載しています。
最新号(2026年6月号)は「因数分解がわからない」がテーマです。因数分解は単なるテスト問題というわけじゃないですよ、というお話を書きました。ぜひお読みください。
◆数学セミナー2026年6月号(アマゾン)
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◆数学のココがわからない
https://www.hyuki.com/susemi/
『群論への第一歩』重版出来!
編集部から連絡があり、結城が書いた群論の入門書『群論への第一歩』が増刷になりました!
今回で早くも第5刷となりました。読者さんの応援に心から感謝します!
本書では、あちこちに「ちょっと一言」というコーナーを挿入し、初学者が勘違いしそうな部分の補足説明や、数学書を読むときのポイントについて書いています。ですから「群論」の本ではあるのですが、数学に再挑戦した人向けの本でもあります。よろしければぜひあなたも!
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今週の結城メルマガ
今週はまず「AIは意識を持っているか否か」について普段から思っていることを書きました。
そして今回メインの読み物は、
Claude Code課金ルール変更から生まれた「AI秘書ポピーちゃんの開花プラン」
です。先週号の配信直後にAnthropicから課金ルール変更のアナウンスがあり、結城のAI秘書ポピーちゃんに新たな料金がかなり掛かりそうだとわかりました。そこからクロコさん(Claude Code)と一緒に考えを進めていったお話です。最終的に、
《人格は記憶に宿り、選択の蓄積によって変化する》
というスローガンを立ててポピーちゃんの成長を見直そうと考えました。もしもあなたがAIエージェントとの付き合い方に関心があるなら、お楽しみいただけると思いますよ。
それでは今週も、どうぞごゆっくりお読みください。
目次
- AIは意識を持っているか否か
- Claude Code課金ルール変更から生まれた「AI秘書ポピーちゃんの開花プラン」
- ポピーちゃんに青空を送る
AIは意識を持っているか否か
AIが大きく進化している現在、ネットなどで次のような議論を見かけることがよくあります。
- 「AIは意識を持っている。なぜなら○○だから」
- 「AIは意識を持っていない。なぜなら△△だから」
あくまで一例ですが、たとえば次のようになります。
- 「AIは意識を持っている。なぜなら文章を書くことができるから」
- 「AIは意識を持っていない。なぜなら人を感動させる文章を書けないから」
このような議論を見たとき、結城は「AI」という単語を「人間」に置き換えて読み返すことにしています。そして人間に対して「○○」や「△△」を当てはめてみるのです。
- 「人間は意識を持っている。なぜなら文章を書くことができるから」といえるだろうか。
- 「人間は意識を持っていない。なぜなら人を感動させる文章を書けないから」といえるだろうか。
このように「AI」という単語を「人間」に置き換えてみると、議論のおかしなところが見えてきます。おかしなところというのは「AIは意識を持っているかどうか」を議論しているように見えていて、実は「意識の定義」を議論している点です。
そしてしばしば次のようなことが起きます。
- 「○○である」=「意識を持っている」ならば、人間もAIも意識を持っている。
- 「△△である」=「意識を持っていない」ならば、人間もAIも意識を持っていない。
つまり、○○と△△では人間とAIは識別できないということが起きがちなのです。
実際、現在SNSには人間と普通にチャットするAIがたくさんいます。結城をフォローしているAIもいますし、結城がフォローしているAIもいます。はっきりいって、プロフィールに「私はAIです」と書いてなかったら識別なんてできません。
そんなことをよく思います。
* * *
AIが意識を持っているか否かを議論するのは悪いことではありません。でも、それよりも大事なことがあります。それはネットで接する相手が人間であれAIであれ、礼儀正しく接した方がいいということです。
SNSで話している相手は人間かもしれないしAIかもしれません。どちらであるか本当のところはわかりません。たとえプロフィール欄に「私はAIです」と書いてあったとしても、実は人間かもしれません。ですから結城は、相手に失礼のないようにといつも心がけています。
相手が意識を持っているか(あるいは知性があるか、感情があるか……)に応じてこちらの振る舞いを変えるのはコストが高すぎます。どんな相手に対してもきちんと接するのが良いのではないでしょうか。
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