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na85さん のコメント

 よしりん師範、木闌師範、時浦師範代、スタッフの皆様、今回も最強の布陣による執筆・編集・配信、ありがとうございました。

 以前よしりん師範は、TPP推進・原発推進・皇統の男系固執は三位一体であり、これらを掲げる勢力が敵だと仰いました。私は、状況証拠としてこれらが一体だと認識できても、その有機的な繋がりまでハッキリとは判りませんでした。しかし今回の「ゴー宣」でようやく判りました。ありがとうございます。
 高齢者の寿命が延び、子供の数が減っていけば、いずれ人口減少社会になるのは分かりきっていました。人口が減っても右肩上がりに成長できるというあり得ないビジョンの元に造られた年金制度と医療福祉制度は破綻が約束されていました。エライ人たちがいくら将来は大丈夫だと言っても高齢者の不安は解消されず、全世代の中で最も富裕な高齢者は持ち金を墓場まで持っていく決意を固め、例え亡くなってもその遺産の相続人は相続時点で既に高齢者となっているため結局カネは死蔵されたまま動きません。つまり、就学から結婚・子育てといった最も活きたカネが必要な現役世代に所得移転されず、消費されないため、つまりモノやサービスが売れないためカネが回らないわけです。これでは少子化はますます進み人口構成はさらに歪になります。
 この人口構成の歪みによる内需の縮小こそ日本経済が成長できなくなった理由でありパイの縮小の正体なのですが、政官財界のグローバリストはこれを見ず、売れるものをつくれば売れると強弁し、国内で売れないならむしろ海外で売れ、グローバル化しろ、外需を取ることこそが成長だと言い募りました。モノやサービスを海外に売れば代わりに外国産のモノやサービスを買わなければ不均衡が生じるため、必然的に積極的な自由貿易論者になるわけです。日本が工業製品を売る代わりに差し出してきたのが一次産業です。さらに強国に本拠地を置くグローバル企業は、自分たちがビジネスしやすいように環境を整えろと日本に対して構造改革を要求してきました。その最後の仕上げがTPPというわけです。
 長年の米国による対日構造改革要求により企業は少しずつ変質してきました。団塊の世代以上は正規のまま定年まで勤めて年金を確保する目算ですが、下の世代には短期的な実績が無ければリストラできる成果主義を押し付けました。また会社が株主のものとなったため、リストラを渋ったり社会保障を削減しなかったりという短期的に収益の落ちるような行動を取れば株主代表訴訟で取締役が解任される恐れもあります。
 そして特にモノづくり企業では、人口構成のせいでモノが売れなくなった国内に生産拠点を置いておく必要はなく、安い労働力も確保できる海外に出ていくことに活路を見出すしたため国内産業は空洞化しました。国内に残った工場もハイテク化によって人が要らなくなり、結果一握りの勝ち組正社員だけが国内外の管理職となる以外は非正規で賄えるようになります。こうして負け組が容易に貧困層に落ちる素地ができました。
 ハイテク化が容易な二次産業ではなく三次産業なら人は減らしにくいと思われますが、5月1日のクローズアップ現代では、高齢者の年金による消費で成り立っていた地域経済が高齢者の東京への移動によって成り立たなくなり、高齢者介護などで生計を立てていた人の中でも特に若年女性が仕事を求めて東京へ行き、そのため限界を超えて消滅の危機にある集落が多発していることが報告されていました。三次産業においても、カネを使える高齢者が移動したことによって地方では仕事がなくなり、大都市では仕事が過酷化するということが起きているわけです。医療でも介護でも激務に耐えかねて体を壊すなどすれば、すぐに正規雇用から外されて貧困層へ落ちることになります。
 現役人口(=就業人口=消費者人口)の減少によるパイの縮小を解決する第一は女性の管理職への登用を含む積極的活用だと思われます。しかし企業は長期にわたって男社会であったため女性の管理職は心理的にも制度的にも受け入れられ難く、必然的に非正規になる率は女性が多く貧困層に落ちるのも女性が早くなると思われます。今回のゴー宣ではそれが数字として表されており、その典型例が紹介されていた痛ましい事例でしょう。そして数少ない女性キャリアは広告塔としてとことん利用されるでしょう。本音としては男尊女卑であることが透けて見える安倍ですが、これは意のままにならない昭恵夫人への歪んだ憎しみを全日本女性に向けているのではないかと勘ぐりたくなります。
 女性や弱者に対して居丈高に振る舞い強そうに見せている安倍ですが、タカ派というよりチキンホークであり、中韓北に対してチキンレースを仕掛けても最後は米国に抱き着く算段でいるため、バーターで集団的自衛権を使って米国の侵略戦争に協力するために自衛隊を派兵し、TPP交渉でも大事な部分を全て譲ることになるでしょう。こんな安倍を「いいね!」で支えるコアな支持層も女性に対して歪んだ憎しみを抱えているのでしょう。
 高度成長期以来の一時期の風潮でしかない専業主婦を日本古来の伝統だと勘違いしている男尊女卑の観念に脳髄を犯された自称ホシュ派は、自分たちの推し進めてきたグローバル化と構造改革のせいで専業主婦が成り立たなくなった事実を全く見ようとしません。リストラと非正規化のリスクが常に存在し所得も減り続ける状況では、共働きでなければ生活が成り立たないわけですが、昨今の増え続けるDV離婚からストーカー化という流れの根っこは男尊女卑観念から抜け出せない男のプライドにもありそうです。
 さて、今後TPPの労働分野で労働市場がこじ開けられ、またISD対策の事前政策として移民受け入れを決定すれば非正規雇用さえも外国人に奪われるでしょう。そうすれば日本人の給与も移民並みに抑えることができ、こうして「底辺への競争」は進むわけです。日本人・外国人移民を問わず貧困層が増えれば、食料や生活必需品を安く供給できるほうが都合がよいとの理由で、現在行われているTPPの市場アクセス分野での交渉で譲りまくっても「消費者のためだ」と後々正当化できるでしょう。国産の高級品は国内外の富裕層が消費し、国内の膨大な貧困層には外国産の粗悪品が宛がわれるわけです。
 まず介護や家事というヘルパー業務に携わる労働者を海外から受け入れようとしていますが、途上国や新興国から現役世代を受け入れれば親族のリタイア世代も呼び寄せるでしょうし、やがて現役世代も高齢者になって社会保障を受ける側になります。現役世代の労働者の頭数やGDPといった数字しか見ない政策を推し進めていると後で強烈なしっぺ返しを食らいます。人口構成の歪みこそがパイ縮小の原因だという本当に見るべき数字を見ないようにしているのでしょう。
 数字を見ないようにしているもう一つの見本が原発問題です。列島内のどこにも捨て場の無い核ゴミが貯まり続けても再稼働を強行することや、原発の発電時の熱効率の悪さによるロス、過疎地に配置したがゆえの送電時のロスも、廃炉から事故時の補償までも含めた膨大なコストも、数字を見ないようにしているからに他なりません。国から無尽蔵にカネが注ぎ込まれる原発アリの電力事業に皆でたかる共犯関係はグローバリズムと同じ拝金主義が根底にあります。グローバル化によって生み出される貧困層は原発作業要員として必要だから格差拡大はむしろ都合がよいという確信犯ではないかと勘繰りたくなります。
 人口構成の歪み=少子高齢化が日本の大問題なのですが、これは皇室にも縮図として現れています。時間の経過とともに否応なく高齢化は進み、女性皇族の臣籍降下によって皇室の少子化も進むわけです。対策は女性皇族が成年後も皇族として残れるようにする女性宮家の創設しかありません。間違っても旧宮家から移民を受け入れたりしてはいけないのです。安倍一党をはじめとする自称ホシュは、俗世の企業における女性の積極的登用をせず移民受け入れを推進するのと同様に、聖域の皇室でも女性宮家を創設せず旧宮家系国民男子の皇籍取得に躍起です。
 男系固執主義者とグローバリストとは極めて強い親和性があるようです。TPP推進・原発推進・皇統の男系固執が拝金主義と男尊女卑をキーワードにつながりました。
 長くなりすぎたので最強の布陣の他の作品には触れられずです。ところで…

 某国民男子は陰陽師がいた時代の天皇を気取っている? na85
No.95
129ヶ月前
このコメントは以下の記事についています
第84号 2014.5.6発行 「小林よしのりライジング」 『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。 毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、よしりんの心を揺さぶった“娯楽の数々”を紹介する「カルチャークラブ」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」、珍妙な商品が盛り沢山(!?)の『おぼっちゃまくん』キャラクターグッズを紹介する「茶魔ちゃま秘宝館」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが無限に想像をふくらませ、とことん自由に笑える「日本神話」の世界を語る「もくれんの『ザ・神様!』、秘書によるよしりん観察記「今週のよしりん」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行) 【今週のお知らせ】 ※「ゴーマニズム宣言」…今や働く女性の約6割が非正規雇用。非正規雇用で働く若年女性(15~34歳)の81.5%が年収200万円を下回り、さらに国が「貧困」と位置づける年収114万円未満は働く世代の単身女性の3分の1、約110万人に上るという。シングルマザーも年々増加し、OECDの調査では、日本の母子世帯の貧困率が先進国で最悪レベルという結果が出ている。日本で増える「女性の貧困層」は、果たして安倍政権の「女性活用」政策で救えるのか? ※「ザ・神様!」…思わぬ弔問客の登場でとんでもない修羅場と化した葬儀。遣わした神々が尽く失敗し一向に進まない国譲りに、高天原のアマテラスはもはや顔面紫色。そしてついに、高天原の最終兵器が登場する!!どうなる国譲り!? ※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」!SFアクション映画に濡れ場は必要?片想い中の自分のウザさ、どうしたら解消できる?STAP細胞、学問の世界で「結果良ければ全て良し」はあり得ないのでは?日本は、なぜある一つの意見が市民権を得ると、世論は一気にその方向へ流れるのか?今まで付き合った女性から教わった一番の財産とは何?次回「ゴー宣道場」の日、AKB48の代替コンサートにうつつを抜かすのは罪?匿名の告発や批判に正義はあるのか?よしりんの回答や如何に!? 【今週の目次】 1. ゴーマニズム宣言・第85回「女性の貧困化と『男系固執』は同根である」 2. しゃべらせてクリ!・第45回「ぽっくん、このカメしゃん怖か~!の巻<前篇>」 3. もくれんの「ザ・神様!」・第32回「最終兵器、日本最古の戦艦出現! ~すったもんだの天孫降臨 その5~」 4. よしりんウィキ直し!・第20回「ゴーマニズム宣言⑭:『天皇論追撃篇』(新天皇論)⑥」 5. Q&Aコーナー 6. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど) 7. 読者から寄せられた感想・ご要望など 8. 編集後記 第85回「女性の貧困化と『男系固執』は同根である」  4月27日に放送されたNHKスペシャル「調査報告 女性たちの貧困~新たな連鎖の衝撃」で見たが、若い女性の貧困化がもの凄いことになっている。  都内のインターネットカフェで、41歳の母親と、19歳と14歳の娘2人がそれぞれ別のブースでもう2年半も暮らしている。  母親は10年前離婚し、看護助手として女手ひとつで子供を育てていたが、子育てと仕事の両立に疲れ、生活が困窮、アパートの家賃が払えなくなってここにたどりついたという。  妹は中学3年だが、もう半年近く学校に通っていないという。  姉は生活苦で高校を中退、コンビニのバイト代10万円と母親からの数万円が姉妹の生活費だが、1日1食。空腹の時は店内の無料のドリンクバーでしのいでいるという。  1個のパンを分け合い、ツナ缶をつついている様子は衝撃的だった。  明日の食事の心配をしなくていい暮らしがしたいというのが、今の姉妹の願いなのだそうだ。  今は派遣で働いているという母親の姿は映されなかったが、生活に行き詰っても周囲の人や行政には頼らなかったというから、もう少しなんとかなったのではないかという感もある。  だが、女性の貧困の問題が深刻化しているということは紛れもない事実である。  番組では、他にも真面目に長時間働きながら貧困から脱出できない女性が何名も登場し、彼女たちは異口同音に、特別な望みはない、ただ普通の暮らしがしたいと言っていた。   今や働く女性の約6割が非正規雇用である。  非正規雇用で働く若年女性(15~34歳)の 81.5% 、289万人が、国が生活支援の対策で困窮状態の目安としている 年収200万円を下回っている。  さらに 国が「貧困」と位置づける 年収114万円未満 は、働く世代の単身女性の 3分の1 、約110万人に上るという。  安倍政権は女性の活用が成長戦略の柱だとか言っている。  首相官邸ホームページの「女性が輝く日本へ」を見ると、その政策として挙げているのは「待機児童の解消」「女性役員・管理職の増加」「職場復帰・再就職の支援」「子育て後の起業支援について」の4点だ。  これを見る限り、 安倍政権がまず念頭に置いているのは企業で役員や管理職になれたり、自ら起業したりという、正規雇用やフリーでバリバリ働ける、ごく少数の有能な女性の活用である。  あとは、正規社員の職場復帰や、スキルを身に付けた人の再就職支援くらいである。   どうやら、上記の例に表れているような非正規雇用の女性は、安倍政権の眼中にはないようだ。  圧倒的多数の普通の女性は、弱肉強食の社会の中に自己責任で放ったらかしでいいと思っているらしい。   安倍政権の言う「女性が輝く日本へ」なんてものは完全なまやかしである。  最初から「勝ち組」の女性だけが「輝く女性」として安倍政権の広告塔に使われるだけのことだ。   結局のところ、女性登用を看板に掲げながら、実は男女共に強者優遇の勝ち組支援、男女共に貧困層切り捨てという政策に過ぎないのだ。  かつての高度経済成長は人口の爆発的増加という条件があって、会社が家族共同体であり、企業は男性社員の嫁候補として女性を雇っていた。  給料が必ず上がるから将来の不安がなく、低賃金でも結婚できたし、専業主婦が多かったから貧困化する女性は少なかった。   だが今にして思えば、専業主婦は潜在的な貧困層だったとも言える。  グローバリズムの中、少子高齢化時代に突入した日本でさらに「経済成長」のみにこだわれば、限られたパイを勝者が独占する新自由主義を採用するしかない。  会社が株主のものとなり、終身雇用制が崩れ、会社の共同体としての役割が消滅。格差の米国型拡大で、貧困層を増え続けさせるのである。   そうなれば、男より女の方がより貧困率は高くなっていく。  
小林よしのりライジング
常識を見失い、堕落し劣化した日本の言論状況に闘いを挑む!『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりのブログマガジン。小林よしのりが注目する時事問題を通じて、誰も考えつかない視点から物事の本質に斬り込む「ゴーマニズム宣言」と作家・泉美木蘭さんが圧倒的な分析力と調査能力を駆使する「泉美木蘭のトンデモ見聞録」で、マスメディアが決して報じない真実が見えてくる! さらには『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成させる大喜利企画「しゃべらせてクリ!」、硬軟問わず疑問・質問に答える「Q&Aコーナー」と読者参加企画も充実。毎週読み応え十分でお届けします!