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■視線をコントロールする
今回は、ブロマガに「目次」を付ける意味をお伝えしたいと思います。
目次なんてかったるいよね。そもそもブロマガという名称を考えても、「有料ブログ」の側面を強調したほうがいいんじゃない? ブログに目次なんて無いよ。頭が古いね。……と考える方もいるかもしれません。
一理あります。今後のブロマガ(メルマガ)、有料ブログが、目次をまったく必要としなくなる可能性はあります。
しかし、現状、ブロマガ(メルマガ)の購読者数上位に位置する、堀江貴文さんの『ブログでは言えない話』も、津田大介さんの『メディアの現場』も、藤沢数希さんの『週刊金融日記』も、「目次」があります。ここにはしっかりとした「理由」がある。以下、それについて私なりの分析を述べさせていただきます。
サンプルとして、津田大介さんの『メディアの現場』2013年7月13日号の目次を見てみましょう。
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《目次》
冒頭の挨拶
1.メディア/イベントプレイバック《part.1》
――なぜホリエモンは生き急ぐのか?
堀江貴文×津田大介 同世代対談
2.津田大介クロニクル
――ジャーナリズムと未来 ――北京
安替+津田大介+東浩紀
3.メディア/イベントプレイバック《part.2》
――新しい思想で日本をアップデートせよ!
編集長・東浩紀が語る『思想地図β3 日本2.0』の読み解き方
4.今週の原発情報クリッピング
5.津田大介のデジタル日記
6.140字で答えるQ&A
7.ふるまいよしこの「中国ジャーナリズム、ネットと歩む未来」《第11回》(外部寄稿)
8.速水健朗の「本を読まない津田に成り代わってブックレビュー」《第36回》(外部寄
稿)
9.岡ぱみゅの「がんばれ! 紙メディア!」《第12回》(外部寄稿)
10.今週のゼゼヒヒ(分析+紹介)
11.メディア・イベント出演、掲載予定(告知)
12.MIAUからのお知らせ(告知)
13.プレゼントコーナー(告知)
『オバマ再選の内幕――オバマ陣営を支えた日本人が語る選挙戦略』
14.第3回「オフラインミーティング in Tokyo」開催!(告知)
15.ネオローグユニオン(スタッフによる対話)
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はい、膨大な量であることが目次を眺めただけでも分かります。ブロマガ(メルマガ)の適切な分量がどのあたりにあるのか、といった議論はまた別の機会に譲るとして、この『メディアの現場』の目次には、いくつかの重要な工夫が施されています。その中で、ぜひ参考にしていただきたいのが、「視線のコントロール」です。
■ずっと直接語りかけられるのも辛い……
前号では、読者との距離感を狭めていくことが重要だという話をご紹介しました。
読者との距離を縮めるもっとも手っ取り早い方法は「語りかける」ことです。初対面の人と会った時に、場を馴染ませる時とやるべきことは同じです。「どうも」でも「今日は暑いですね」でも内容は何でもいいので、対象に語りかけることです。
津田さんのメルマガでもその要素はしっかりと入っています。「冒頭の挨拶」を抜き書きすると、こんな感じです。
「みなさんこんにちは。津田大介です。バルス! 何もかも崩壊させたい。そんな日常を送っているわけですが、2013年7月は自分の活動の明確な転機になる、そんな月になるだろうなと思っています」
「今日は暑いですね」という社会生活上の一般的な挨拶に比べると、かなり殺伐とした雰囲気が伝わってきますが、とにかく「もっと近くでオレの話を聞いてよ」という感じで読者にぐっと近寄ります。
そして、こう続けます。
「まず、2年前の夏からずっと準備を始めてきた政治メディア「ポリタス」が何とかメルマガ読者向けにクローズドベータでオープンしました(正式オープンは恐らく15日になると思います)。作るまではとりあえずできましたが、皆様ご想像のように、こういうかたちでデータを集めてきて、それを更新して、機能を増やしていくとなると、こんなケジラミのようなクソベンチャーでは、なかなか難しいわけです。そもそもマネタイズの手段がないですから(笑)。」
「メルマガの読者」だからこそ分かる「ついに来たか!」という告知につなげて、「場」のテンションを上げていきます。かつ、この続きで、津田さんの長年のテーマである「ジャーナリズムとマネタイズの両立」という観点から一席ぶちます。
つまり、『メディアの現場』において、この「冒頭の挨拶」は、「読者との距離」をぐっと近づけつつ、津田さんが今一番言いたいことを読者に対して直接的に語ってしまう、という機能を果たしています。
「なるほど、じゃあ、それで終わりでいいじゃないか。簡潔ですっきりしてる。あるいは、どうしてもたくさん言いたいことがあるのであれば、目次なんてわざわざ作らなくても、そのテンションで最後までいけばいいんじゃない?」と思う方もいらっしゃるかと思います。でも、どうやら事はそれほど単純ではありません。著者がハイテンションのままに、読者の目を見ながら(イメージです)言いたいことを叩きつけていると、読者は「うわ、暑苦しい!」と解約ボタンをポチリと押してしまうようなのです。
■じゃあ、ちょっとやってみましょうか
では、どうしたらいいのか? そこで出てくるのが、「対談録」「講演録」といった、著者が読者に直接語りかけるのとは違ったパターンで、自分の言いたいことを表現する方法です。
『メディアの現場』の目次を見なおしてみると、「冒頭の挨拶」の後は、「なぜホリエモンは生き急ぐのか? 堀江貴文×津田大介 同世代対談」「ジャーナリズムと未来 ――北京 安替+津田大介+東浩紀」「新しい思想で日本をアップデートせよ! 編集長・東浩紀が語る『思想地図β3 日本2.0』の読み解き方」と3本続けて、対談・鼎談記事が入ります。
これはどのような効果を持っているかというと、著者(この場合は津田さん)の視線を、直接的に読者にあてるのではなくて、ゲスト(この場合は、堀江さんほか)にあてることで、「暑苦しさ」を軽減しながら、読者からこちらに踏み込んできてもらうように誘っているのです。(もちろん「講演録の再録」は「イチから書きおろし」よりもラクだという制作上の都合もあると思います。ただそれだけではない、ということです)
ブロマガの著者の方には芸人さんも多いので、お笑いの芸を喩え話に使わせていただいて僭越ですが、ちょうどイメージとしては漫才をやっている最中に「ちょっとやってみましょうか」という言葉とともに、「ミニコント」を挟むのと似ていると思います。
「どーもー、○○です!」という挨拶+簡単なネタで、自己紹介と「場」をあたためる。
そして、お客さんが近くに寄ってきたなというタイミングで、「ちょっとやってみましょうか」と体の向きをお客さんから相方のほうに少しだけ傾け、「ミニコント」をする。この黄金の流れがメルマガでも応用可能なのです。
もう少し踏み込んで説明しましょう。
「ミニコント」というのは、もちろん相方に話しかけている風にしているだけで、最終的に話しかけているのは「お客さん」です。対談やインタビューも実は同じです。対談相手と話しているのではありますが、それがメディアに掲載されることが前提とされている対談はすべて、最終的に「読者」に向かって話しかけている。この「迂回」が、読者を惹きつける効果を持つのです。
「へえ、ミニコント形式だと読者がぐいぐい寄ってくるのなら、全部対談でいいじゃないか」と思う方もいるかもしれません。しかし、それだとどうしても読者からすると、「著者が遠い」感じがしてしまいます。
重要なのは、ひとつの号(一回の漫才)の中に「両方」入れることなのです。
多くの漫才が「挨拶」→「ミニコント」→「素に戻ってネタ」→「ミニコント」→「素に戻ってネタ」→「オチ」といった形を取るように、重要なのは、「著者が読者に直接語りかける」場面と、「著者が相方の方を向きつつ、読者に語りかける」場面が、サンドイッチになること。
そしてサンドイッチを作るために、「目次」が必要だということになるのです。
もちろん、めちゃくちゃに作りこんだコントが、映画や小説という形で商品として通用しているように、純粋にコントに特化した形で成功するのは不可能だと言いたいわけではありません。ただ、サンドイッチにする効能を、ぜひみなさんにお考えいただきたいと思います。
『メディアの現場』では、後半で情報告知とともに、「デジタル日記」や「Q&A」で、ぐっと読者の方に視線を向けて、距離を縮めてきます。著者の視線を痛いほど感じる記事と、読者から著者の横顔を覗きに行く記事が、バランスよく混ざっていること。これが『メディアの現場』がたくさんの購読者を獲得できている理由のひとつではないかと私は考えています。
15個も目次を立てる必要はありません。サンドイッチを作るのであれば、3つでもOKです。「著者→読者」「(著者→ゲスト)→読者」「著者→読者」(→は視線の方向)を、「挨拶」「対談」「コラム」でもいいですし、「コラム」「取材(どこかに行ってルポするなど)」「Q&A」でも十分に条件は満たしているはずです。
「視線のコントロール」という視点で、ぜひご自身のブロマガを見直してみてください。
ご参考になれば幸いです。
<次回は、効果的な「Q&A」記事の作り方について解説したいと思います>
※編集部へのご連絡はこちらからお願いします。
コメント
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他4件のコメントを表示
ざけんな
もくじくじもじもくくもじもじくじくも
内容を反映してない釣り目次なんて意味無いだろ
ウテナじゃないじゃないか
完全に釣られたwwww
ウテナにつられたのに!
ウテナじゃねええじゃん
ウテナじゃない・・・
ウテナかと思った・・・。
絶対!運命!黙示録!!