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本当に実践的な有料ブロマガで購読者数を伸ばす方法(夜間飛行 井之上達矢)
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本当に実践的な有料ブロマガで購読者数を伸ばす方法(夜間飛行 井之上達矢)

2014-02-28 08:29
    第8回 ゲストの効用

    ■目的をはっきりさせる

    「よくあるメルマガのコンテンツ」として、Q&Aに並ぶ人気を誇るのが、「ゲストを呼ぶ」というものです。

    「これまで自分が頭の中で練り込んできたアイデアはすべて出し切ってしまった。ああ、どうしよう……」と暗澹たる気持ちになっているところに、別のメルマガ配信者から「お互いのメルマガに対談を掲載する形でコラボしませんか?」などと話を持ちかけられたら、飛びあがって喜ぶ人も多いことだと思います。

    この「ゲスト」というのは、メルマガの購読者増にはたして効果があるのかないのか。夜間飛行での経験から言うと、はっきりと「効果はある」と言えます。

    今年のお正月に夜間飛行では特別企画として、高城剛さんと津田大介さんの対談記事を配信しました。まずは夜間飛行で記事を制作し、記事の半分を夜間飛行にアカウント登録をしてくださっている方全員に、記事全文をそれぞれのメルマガ購読者に向けて配信しました。半分だけの試し読みをして、「この記事、面白い!」と興味を持ってくださった方は、高城さんか津田さんのどちらかのメルマガを購読すると全文が読めるという仕組みです。

    この「特別号」には、二人のプロフィールとともに、二人のメルマガ購読ページのURLを記載しておきました。高城さんのメルマガの購読者で「へえ、津田さんって鋭いところ突っ込んでくるよね。他の人にはどんなインタビューしているんだろう」と思った人が津田さんのメルマガを購読し、津田さんのメルマガの購読者で「高城さん、ぶっ飛んでるなあ。別の話も読んでみたい」と思った人が高城さんのメルマガを購読するように仕向けたわけです。

    結果として、高城さんと津田さんの購読者はあわせて数百人単位で増えることになりました。

    正直、これは夜間飛行の対談企画の中でも最高レベルに反響が大きかったものですが、ゲストをうまく使うと、これくらいのインパクトを出すことは可能であるということです。

    しかし、失敗例もたくさんあります。

    例えば、「とにかく毎回ゲストを呼んで話を聞く」という記事がメインコンテンツのメルマガは、たいていの場合、うまく購読者増につながっていません。あるいは、ツイッターのフォロワー数の多い宣伝力のある人を次々と対談ゲストにしたにもかかわらず、まったく購読者が伸びないこともよくあります。コラボ企画ではなく、ゲスト料を数万円払う場合は、これが原因でメルマガの継続が困難になってしまうことすらあります。

    こうした事例から見えてくる、メルマガにおいて「ゲスト」を呼ぶ際に考えるべきことは何か。

    私は、まず「ゲストの効用」は多様であることを認識すること、そして「ゲストの効用」と、自分のメルマガの魅力をうまく合致させることだと思います。

    ■ゲームやアニメの実況中継も「ゲストを呼ぶ」ことと同じ

    「ゲストを呼ぶ」というと、つい対談やインタビューをすることだけが頭に浮かぶ人も多いかと思います。しかし、メルマガにおいて(きっとあらゆるコンテンツ制作において)、ゲストというのはもう少し広い意味で捉えるべきだと、私は思います。

    私は、対談やインタビューはもちろん、Q&Aも、最近話題のニュース紹介・分析も、ゲームやアニメの実況中継も、「ゲストを呼ぶ」という行為の一つだと考えています。
    つまり、メルマガ発行者そのものとは「違う味」を入れることは、すべて「ゲストを呼んだ」と考えるということです。

    そして、さらに大切なことは、この「違う味を入れる」というのを、何のために行うのかをきちんと認識するということです。

    例えば、発行者が強烈なカリスマを持っていて、そのメルマガを購読しているのは、発行者のカリスマを味わいたいという人たちばかりだったとします。その場合、そのカリスマが「聞き手」として、さまざまなゲストの話を聞くというスタイルでは、購読者増にはつながりにくいでしょう。なぜなら、そのメルマガの本質は「配信者のカリスマ」を味わうことであるのにもかかわらず、「ゲストの違う味」を入れることで「自分の味わいたい味が薄まった」と読者が感じてしまうからです。

    まずは、「自分のメルマガ」は読者から何を求められているのかを認識し、「違う味」を入れることでどのような効果が現れるのかをできるだけ正確に把握することが大事です。
    これができていると、表面上は同じように「ゲストを呼んで話をし、それを文章に書き起こす」場合でも、読者の求めるテイストに調整することができます。

    具体的にいきましょう。「読者が配信者のカリスマを味わいたいと考えている」場合、表面的な主役が「ゲスト」で、メルマガ配信者は「聞き手」として脇役になっていたとしても、本質的な主役はあくまで「メルマガ配信者」でなくてはいけません。ですから、メルマガ配信者の発言は「相手の話を引き出す相槌」ではなくて、「メルマガ配信者の価値観が色濃く反映されたもの」である必要があります。

    また、「へえ、こんな人とも親しくしてるんだ(バチバチ議論できるんだ)。やっぱりすごいな」と読者に思ってもらうために、「ゲスト」が話し手に徹する形式ではなくて、わずかであってもメルマガ配信者が普段している仕事へのコメントなど(「いつもメルマガ読んでますよ」とか)も欲しいところです。

    話題のニュース紹介・分析記事を作るときも同じようなことを考えて制作していく必要があります。

    できるだけ客観的な「紹介」こそが読者の満足度を高めるメルマガもあるでしょう。一方で、話題のニュース自体は、「話のネタ」でしかなくて、メルマガ発行者の「オリジナリティのある分析」こそが読者の満足度を高めるメルマガもあるでしょう。ここの認識がズレてしまうと、読者を掴むのは難しくなります。読者から「いや、あなたの意見はどうでもいいので、信頼できる情報を一つでも多く載せてください」と思われてしまったり、「情報自体は知っているので、しつこく説明しなくてもいいから、あなたの分析を読ませてくれ」と思われないようにしないといけません。

    「ゲスト」と呼ぶのであれば、何のために「ゲスト」を呼んでいるのかをよくよく考えるべきなのです。

    ■いろいろな「ゲスト」の使い方

    以下、いくつか「ゲスト」をうまく使っている事例を具体的に紹介してみます。

    津田大介さんのブロマガ『メディアの現場』で言うと、外部の人へのインタビューや外部の人による連載は、「世の中にはこんなに面白い/すごい人がいる」ということを紹介するものです。津田ブロマガの場合は、津田さんのカリスマ性で押し切る性格のものではないので、これがメインコンテンツになります。「原発情報クリッピング」は、できるだけ公平な視点から、質の高い情報を読者のかわりに選んで紹介するという「読者サービス」です。そして「ネオローグユニオン」は、味付けをガラリと変えることで読後感の調整をはかる「デザート」としての役割をもっています。

    藤沢数希さんのブロマガ『週刊金融日記』で言うと、Q&Aは、藤沢さんのメインコンテンツである「恋愛工学」に具体的なストーリーを帯びさせる役割を果たしています。「今週のマーケット」は、ブロマガ全体が単調にならないようにアクセントの役割を果たしつつ、藤沢さんの「本業」を読者に思い起こさせることで、金融工学を知り尽くした人が真剣に「恋愛工学」をすることの面白さを暗に主張しています。イレギュラーで入ってくる堀江貴文さんや池田信夫さんとの対談は、藤沢さんの頭の回転数を示すとともに(それは「恋愛工学」が聞くに値する理論であることを示しています)、広報の役割を担っています。

    このように、人気メルマガ・ブロマガは、「広い意味でのゲスト」を無駄なく使って、コンテンツの価値を高めています。

    ■自分のブロマガの売りは何なのかを理解する

    まとめましょう。

    まず、「ゲスト」は使い方次第で、とても効果的です。ネタづまりの解消にもなるし、自分の理論に説得力を持たせることもできます。全体が単調にならなくする効果も期待できますし、広報の役割を果たしてくれることもある。

    そして、「ゲスト」を、「専門家」や「フォロワーの多い有名人」に限って考えるのではなく(こう考えてしまうのは、ゲストの効果を「すごい人の紹介」と「広報」に偏って認識しているからだと思います。それではもったいないです)、「自分自身」や「自分の頭の中にあること」以外のすべてだと考えてみましょう。すると、ニュース、書籍、音楽、事件その他自分の身の回りにあるありとあらゆる事物が「ゲスト」として利用可能だとわかるはずです。また、いわゆる「先立つモノがないから……」という理由で「ゲスト」の利用を諦めていた人にも、工夫の余地が生まれてくると思います。

    結局、大切なのは、自分のメルマガは「何が売りなのか(読者は何を評価してくれているのか)」を理解することです。そこをあらためて見つめ直した後、いわゆる「対談」や「インタビュー」といった分かりやすいパターン以外においても、自分の「ゲスト」の使い方がメルマガ全体にとって効果的なものになっているのかどうかをチェックしてみることをおすすめしたいと思います。

    いかがでしたでしょうか。

    ゲストをうまく使うというのは、有料メルマガを軌道に乗せるために必要不可欠なことです。ぜひ挑戦してみてください。

    ご参考になれば幸いです。
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